第14回 授賞式レポート

 2018年3月15日、如水会館にて、「第14回ガラスびんアワード」授賞式が行われました。その模様をレポートします。

齋藤 信雄会長からの開会の挨拶

 本日は時節柄お忙しい中、ご出席くださいました受賞関係者の皆様、ご来賓の皆様、プレス関係の方、そして今回も審査の労をお取りいただきましたリリー・フランキーさん、富永美樹さんに、この場を借りまして厚く御礼申し上げます。ここに第14回ガラスびんアワード授賞式を開催できましたことは、ひとえに日頃の皆様方のご支援の賜物と、協会を代表しまして感謝申し上げる次第です。

 本日は、受賞会社の皆様に加え、ご来賓として経済産業省・製造産業局生活製品課、ならびに産業技術環境局より担当企画官の皆様はじめ、関係団体の皆様、会員の皆様、そして日頃よりお世話になっている関係の皆様など、約170名の皆様にご臨席いただきました。誠にありがとうございます。

 さて、今回のガラスびんアワードのエントリー数は297エントリー449本となり、3年連続で過去最高を更新しました。背景として、昨年度の審査基準刷新、表彰カテゴリーの再整備により、ガラスびんの持つ機能性、環境性、デザイン性に加え、時代のトレンドやライフスタイル、商品開発の意図など、さまざまな視点からガラスびんを評価することで、より多くの商品にスポットが当たるようになったことがあります。本年もガラスびんの新たな息吹を感じさせてくれる商品や、商品開発のストーリーを1本のガラスびんから感じさせてくれるものなど、ガラスびんの新たな可能性を示唆するたくさんの商品に出会うことができました。このことを私ども関係者一同、ガラスびんへの熱い期待と激励のメッセージとして受け止め、大変うれしく感じております。

 一方今回より、海外で商品化されたものについてもエントリー対象にしましたところ、複数の企業様より出展がありました。今後日本のガラスびんが海外のマーケットで商品化され、新たな需要やニーズに応える可能性も感じさせてくれるアワードになりました。

 このように数多くのエントリー商品が揃った中、去る2月14日にリリー・フランキー審査委員長、富永美樹審査委員により厳正なる最終審査が行われ、6点の賞とガラスびん協会特別賞2点が決定されました。

 これからも当協会に加盟する会員各社は、新しい時代のニーズに応えながら、ガラスびんの特性や優位性を活かしたガラスびんを提供を通して日々技術の研鑽をはかり、一層の努力を重ねてまいりたいと思っております。

 皆様方には引き続き、格別のご支援を賜りますようお願い申し上げまして、協会を代表し開会のご挨拶とさせていただきます。

受賞商品一覧

最優秀賞

久保田 雪峰

 この商品は、自然指向のライフスタイルを提案しているスノーピーク様と私どもが共同開発した、初めての商品です。共に新潟に根差す両社の、「アウトドアでも日本酒を楽しんでもらいたい」という熱意から生まれました。パッケージ全体にこだわりを持ち、ガラスびんにはスノーピークのブランドカラーである黒を用い、「久保田」の墨文字をガラスびんに直接印刷することにより和紙とガラスびんに絶妙なインパクトを持たせることができました。中身もパンチの効いた味わいです。スノーピーク様には意匠に重要な役割を果たしていただき、感謝します。本日はありがとうございました。

朝日酒造株式会社
新野 康弘様

優秀賞

ファーストエッセンス ジン

 昨年、岐阜県(郡上八幡)で蒸留所を立ち上げ、地元産のフルーツなど身近なものを原料に蒸留しています。自分が初めて造ったお酒を発売するにあたり、詰める容器も地元のモノをという事で、ガラスびんは大垣市の日本耐酸壜工業さんにお願いし、ラベルは美濃和紙、印刷は郡上八幡がシルクスクリーン印刷発祥の地ということで、職人さんにお願いし、一枚一枚手刷りをしていただきました。シンプルな中にも、多くの「作り手」の想いが詰まった商品になりましたので、見かけましたら是非、飲んでみてください。本日はありがとうございました。

アルケミエ 辰巳蒸留所
辰巳 祥平様

優秀賞

NEXT5 THE HARVEST 2017

 実際の米の凹凸で型取ったボトルデザインは、パリ在住の建築家、田根剛氏に依頼しました。なかなかお会いできずメールでの喧々諤々としたやりとりが続き、正直、挫けそうになったこともありましたが、出来上がった商品はなんと一日で完売。さらにこのような賞までいただくことができ本当に良かったです。今後、日本酒を世界に広めるにあたっては中味だけでなく、このガラスびんのように容器も一緒に持っていき、日本酒をアピール出来たらと思います。引き続き皆様のご協力をお願いいたします。本日はありがとうございました。

福禄寿酒造株式会社
渡邊 康衛様

機能・環境賞

キリンビール
最軽量ビール中びん(丸正びん)

 私たちキリングループでは、ガラスびんをはじめ包装資材の使いやすさや軽量化に日ごろより取り組んでいます。この「リターナブル最軽量ビールびん」もその一環として開発しました。今回は90gの軽量化にチャレンジしましたので、苦労も多かったですがグループが一丸となり、そして、細かな要望に応えていただいた、日本山村硝子様のご尽力で、無事に導入することができました。今後も地球にやさしい容器を目指し、開発してまいりますので、新しいガラスびんを見かけましたら、是非、手にとってみてください。本日はありがとうございました。

キリン株式会社
柳田 典子様

リリー・フランキー賞

ウェッジウッド アイスドリンクセット

 私どもはウェッジウッドやロイヤルコペンハーゲンといった食器を主に扱っていますが、今回のギフトセットは食品を担当するチームで企画しました。通常、イギリス人はアイスティやアイスコーヒーを飲まないので、日本の暑い夏のご贈答用に、日本独自に開発し販売しています。ガラスびんの採用は、やはり“高級感”を出すにはガラスのびんではないかと、本社サイドも私共も満場一致で決まりました。季節のご挨拶に、ぜひこの商品を心に留めていただければと思います。本日はありがとうございました。

フィスカース ジャパン株式会社
木田 由香里様

富永美樹賞

はちみつDAYS

 近代養蜂発祥の地、岐阜県でハチミツを作っています。今回賞をいただいたのは、専用ハチミツという切り口で、トースト用、ヨーグルト用などの定番以外にも、さまざまな料理により合うハチミツをと、何百種類から厳選したシリーズ商品です。ガラスびんは、シンプルさの中に和のあたたかみがあるようなデザインを採用しました。また、茶道具の『尻張型』を応用した、中味を最後まで取り出しやすい形状なので、ストレスなく便利にお使いいただけると思います。これからもハチミツの可能性が広がる商品づくりに励んでまいります。本日はありがとうございました。

株式会社秋田屋本店
中村 浩康様

ガラスびん協会特別賞

ポッカレモン100

 レモン製品の販売で創業し、ちょうど昨年60周年を迎えました。その間、時代に応じて中身を100%果汁にしたり、容器の形態を変えたりと変化がありましたが、唯一変わっていないのが、ガラスびんのボトルです。大きな理由は、レモンの大敵である酸化による品質劣化を軽減してくれることです。長きにわたり我々の品質を守ってくださった、関係各社の皆様に厚く感謝申し上げます。今後とも、ガラスびんに入ったポッカレモンをご愛顧ください。本日はありがとうございました。

ポッカサッポロフード&ビバレッジ株式会社
嶋津 克彦様

ガラスびん協会特別賞

大島椿

 私の祖父が伊豆大島で創業した当時からの主力商品で、今では椿油市場でシェア8割超、日本で一番売れているヘアオイルに成長させていただきました。そして奇しくも本日、創業91年を迎えます。椿油といえばおばあちゃんの髪油のイメージですが、実は2000年ごろから口コミサイトを中心に若い層にも厚い支持をいただいています。これからも「大島椿」はこの刻印入りのガラスびんとともに、品質の高い椿油を皆様にお届けしてまいります。名誉ある賞をいただき、誠にありがとうございました。

株式会社大島椿本舗
岡田 一郎様

審査委員からの祝辞

審査委員長 リリー・フランキー
 今年の傾向は、ご覧の通り、最優秀賞も優秀賞も共通して“攻めた”デザインでした。いずれも、きわどいギリギリのところを攻めて成功しているパターンだと思います。久保田さんの真っ黒な感じは、なかなか勇気が要ると思いますし、薬びん風のジンも、中味の味すら想像しなくても良い位の勢いを感じます。一歩間違うと成立しない程、ハイクオリティなデザインだと思います。今年はそのように、ガラスびんの中に新しいチャレンジを見せていただきました。
 私も“飲み屋”をやっていますが、もう片方の優秀賞である福禄寿酒造さんの商品を含め、この3つがバーの棚にあったら、間違いなくお客さんに「あれなーに?」と言われると思いました。ガラスびんのデザインが飲み屋の話題になって、「じゃあそれ、飲んでみようかな。」と、ガラスびんをきっかけにお客さんとバーテンがつながる。そんな価値ある商品が、今年は賞をもらったと感じています。また来年も、このような新しいデザインに出会えることを楽しみにしています。皆さん、本日はおめでとうございます。

審査委員 富永 美樹
 今回は本当に一目惚れといいましょうか、一瞬で「あ、ほしい。」「贈ってみたい。」と思わせてくれる商品がたくさん選ばれたと思います。その中でも最優秀賞は、審査会の会場でガラスびんを見た瞬間、私の中で想像が広がりました。「銀座の雑踏に、50代半ばの素敵なおじさまが黒いスーツに身を包んで、そこだけ“パーッ”とスポットライトが当たっているような…この方なら一杯くらい飲みに行きたいな。」と思わせるような、それくらいの格好良さがありました。
 審査委員をやらせていただき6年目になりますが、先日、主婦向けのお昼の情報番組の新しいコーナーの中で、我が家の冷蔵庫を紹介する機会があったのですが、来られた女性の芸人さんが「びんだらけ!」と驚かれて、「私もようやくガラスびんが大好きであることが全国のお茶の間にさりげなく伝わったかも。」と、つい嬉しくなってしまいました。市販されているガラスびん商品は、使い切ったガラスびんを洗って、自分でつくった甘酒や塩麹などを入れています。今回の富永美樹賞「はちみつDAYS」は、間違いなく我が家の冷蔵庫のレギュラー入りになると思います。来年も皆様、是非、素敵なガラスびんをつくってください。本日はおめでとうございました。

第14回ガラスびんアワード2017・合同懇親会

 ガラスびんアワード授賞式に続いて、合同懇親会が開催されました。当協会副会長である磯矢硝子工業株式会社 取締役副社長 大西貞明より乾杯の発声とともに合同懇親会が開宴となりました。ご歓談の中、協会からは各地域でガラスびんに接している女性を紹介する「びんむすめプロジェクト」や、ガラスびんの良さを伝えてくださっている「ガラスびん応援隊」などの広報活動を紹介させていただきました。温かなお祝いの気持ちと活気に満ちた、大変賑やかな合同懇親会となりました。

中締め

ガラスびんフォーラム 会長
日本精工硝子株式会社 代表取締役社長
小西 慈郎

 受賞された各社の皆様、本当におめでとうございます。また、審査いただいたリリー・フランキーさん、富永美樹さん、ありがとうございました。受賞商品を改めて見ますと、ガラスびんにはガラスびんでないと表現できない世界があり、長い年月使われつづけているのには意味があるということがよく分かります。そしてそのことを、ここに会した皆さんが共有されたということが、本アワードの大きな意義であると感じています。
 そこで、この場に終わらず、ぜひとも今日からガラスびんのすばらしさを発信していただきたい。会場だけで170人、50社。バックグラウンドを考えるとおそらく約1万人の関係者がおられる。1人が「ガラスびんっていいね」と5人に言えば5万人、その人がまた3人に広めると150万人、1年も経てば日本を10周するくらいの影響力が生まれます。そういう場として今後このアワードが発展することを、私自身強く期待しております。本日は誠にありがとうございました。