第15回 授賞式レポート

 2019年3月13日、如水会館にて、「第15回ガラスびんアワード」授賞式が行われました。その模様をレポートします。

齋藤 信雄会長からの開会の挨拶

本日は時節柄お忙しい中、ご出席いただきました受賞関係者の皆様、ご来賓の皆様、プレス関係の方々、そして今回も審査の労をお取りいただきましたリリー・フランキーさん、富永美樹さんに、厚く御礼を申し上げます。ここに第15回ガラスびんアワード授賞式を開催できましたことは、ひとえに日頃の皆様のご支援、ご協力の賜物と、協会を代表いたしまして心より感謝申し上げる次第です。
 本日は、受賞会社の皆様に加え、ご来賓として、経済産業省・製造産業局生活製品課より岩村課長様をはじめ、関係団体の皆様、会員の皆様、そして日頃よりお世話になっている関係の皆様など、185名の皆様にご臨席いただきましたことをご報告させていただきます。
さて、第15回ガラスびんアワードは263エントリー、362本と数多くのエントリーをいただき、デザイン性、機能性、環境性、オリジナリティなど、時代を映し出すさまざまなガラスびんが、その魅力を大いに競い合いました。近年は高度な加飾技術により、ガラスびんをグラフィカルに表現する流れの中、今回は透明感のあるガラスびん本来の美しさを前面に出し、中身をストレートにアピールする商品が際立ち、新鮮な印象を受けました。そしてもう一つ、他素材容器ではおなじみの商品がガラスびんで商品化されエントリーいただきましたことは、あらためてガラスびんの持つ素材特性、環境特性をご評価いただいたものと感じております。
このように、今回も数多くのエントリー商品が揃い、去る2月7日、リリー・フランキー審査委員長、富永美樹審査委員により厳正なる最終審査が行われ、6点の賞と、日本ガラスびん協会特別賞2点が決定されました。審査員のお二方には、これより開催される授賞式におきまして受賞商品をご紹介いただきながら、評価のコメントを添え、栄えある受賞に華を添えていただければ幸甚に存じます。
さて、ガラスびんアワードは皆様のご支援ご協力により、数々の変遷をたどりながら、節目の15回を迎えることができました。これも、多くの皆様にご注目いただいている証として、業界関係者一同、しっかり携えてまいりたいと思っております。これからも当協会に加盟する会員各社は、つねに新しい時代のニーズに応えながら、ガラスびんの素材価値、中身を守る安心・安全性、資源循環をベースとした環境配慮をキーワードに、技術の研鑽に励み、努力を重ねてまいりたいと思っております。
皆様には引き続き、格別のご支援を賜りますようお願い申し上げまして、協会を代表し開会のご挨拶とさせていただきます。

受賞商品一覧

最優秀賞

い・ろ・は・す グラススパークリングウォーター

 この商品は2015年、当時の弊社社長ティム・ブレットから「日本にはこんなに美味しい天然水があるのに、どうしてレストランでちゃんと日本ブランドの炭酸水を提供しないのか?」とお叱りを受けたことから生まれました。正直、収益構造の厳しい飲料水をガラスびんで商品化するとなると、実現までの道のりは平坦ではありませんでした。そんな中、デザインオフィスnendoの佐藤オオキさんにご協力いただき、その他たくさんの人たちの努力によって、このような美しいガラスびんに入った日本の美味しい炭酸水が誕生しました。今回の受賞を契機にますますグラスの「い・ろ・は・す」が広まり、ガラスびん業界にも貢献していければと考えております。このたびはありがとうございました。

日本コカ・コーラ株式会社
高木直樹 様

優秀賞

わつなぎ

 「わつなぎ」は、飲料メーカーとしてお客様により豊かな飲用体験を提供しようと、業務店用、プロユースのプレミアムシロップの開発を目的にスタートしたブランドです。テーマは日本の、和の素材。味、フレーバーの素材だけでなく、甘みを出す糖の原料からデザインに至るまですべて日本、和を貫いて進めてきました。たとえばこのびんの形状は、漢数字の「八」をモチーフにしており、日本古来の聖数としてとても縁起のよい数字ということから、皆様に良いことがあるようにとの願いを込めています。これからもより良いブランドになるよう頑張っていきたいと思います。本当にありがとうございました。

サントリー食品インターナショナル株式会社
西田一生 様

優秀賞

cangoxina(カンゴシナ)

 鹿児島県南九州市で芋焼酎ならびに、最近はクラフトジン、フレーバースピリッツを作っています。この商品は、日本が世界に誇る蒸留酒を作りたいという思いから、留め型で企画したものです。底が七角形になっており、正角形ではない不安定さの中に美を追求しました。中身の焼酎も、原料の薩摩芋や米はその年々で気候、天候の影響を受けるため、そんな不確定さを楽しんでもらいたいという願いも込めています。また、偏心した注ぎ口は雫が跳ねず、最後の一滴まで注げるようになっています。これからも頑張って商品づくりをしていきますので、応援よろしくお願いします。本日はありがとうございました。

有限会社 佐多宗二商店
中原章仁 様

機能・環境賞

七味唐からし 一味唐からし 山椒七味 粉山椒
拉麺七味 伊太利庵七味 どんぶり七味

 280年ほど前から長野の地で七味唐辛子を作っています。善光寺参りのお土産等で皆さん一度は目にしていただいたことがあるかもしれませんが、今日までずっと缶のイメージで親しまれてきました。しかし近年、食生活の安全性や安心などお客様のニーズが大きく変わり、清潔で風味を損なわないなどの点から、缶よりも機能的に優れているガラスびんを今回初めて採用。こういったデザインのものを作らせていただくに至りました。これもひとえに、第一硝子様のご協力あってのことと心から感謝しております。このたびはこのようなすばらしい賞をいただき、誠にありがとうございました。

有限会社 八幡屋礒五郎
室賀ゆう貴 様

リリー・フランキー賞

リポビタンD クリスマスボトル2018

 「リポビタン」は頑張る人を応援するブランドとして1962年から60年近く、おなじみのガラスびんのフォルム、デザインでやってきました。今回のデザインボトルは、新しい層、新しい用途の可能性を探る一つの挑戦でした。60年続くイメージを変えるのは大変でしたが、その変化に対してこのような賞をいただき非常にうれしいです。結果としても、若い人や、今までなかなか手がのびなかった人が買ってくださったということがあります。これからも「リポビタン」ないしこのびんが広く生活者の手にわたる取り組みを継続していきますので、よろしくお願いいたします。このたびはありがとうございました。

大正製薬株式会社
秋山卓也 様

富永美樹賞

南泉 軌跡 (種子島宇宙センター打上げ50周年記念)

 種子島(鹿児島県)の南端で小さな蔵元を営んでいます。この商品はその名の通り、種子島宇宙センターのロケット打上げ50周年の昨年、JAXAの方々に声をかけていただき共同開発した記念焼酎です。味は、南泉白麹、黒麹、宇宙麹(※注)の3つを飲みやすくブレンドし、びんは、大気圏から宇宙空間へ飛び出してゆく神秘的なイメージでデザインしました。JAXAをはじめロケット関係の方々が種子島でこの50年頑張ってこられた実績を土台に生まれた商品です。そうした先人の皆様と、今回の開発関係者の皆様の双方に感謝しながら、今日は皆で喜びを分かち合いたいと思います。本当にありがとうございました。
※実際宇宙に持って行って育てた麹

上妻酒造株式会社
上妻寛大 様

ガラスびん協会特別賞

こだわり酒場のレモンサワーの素

 商品コンセプトは、一流のシェフや板長が提供する美味しいお酒ではなく、居酒屋でちょっと不愛想な頑固おやじが黙って出すようなレモンサワーです。ボトルデザインも、陶工の名匠が作るボトルではなく、町場の匠が毎日一本一本丁寧に作っているようなびんを目指しました。ガラスびんのこの無骨な手触りまで感じていただきたく、ぜひシュリンクを剥いで手に取ってみていただければと思います。商品の具現化に際しては、図面の製作から修正まで丁寧かつスピーディにご対応いただきました、石塚硝子の皆様に感謝申し上げます。本日はありがとうございました。

サントリースピリッツ株式会社
藤本勝之 様

ガラスびん協会特別賞

マイシロップ

 マイシロップの誕生は今から90年前。世界の一流シロップメーカーの製品を当時扱っていたことから、独自に研究を重ね、昭和4年に大阪の工場でフルーツシロップの製造を開始したのが始まりです。包装形態が多様化する中、マイシロップは発売当初よりびん詰め製品であり、イチゴ、メロン、レモン等の種別を消費者が一目で判別できること、耐熱性、保存性に優れ、清潔感もあることなど、まさにガラスびんの特性、優越性によって商品が成り立っております。これからもさらに多くの消費者に好まれるよう製造・販売に努力してまいります。誠にありがとうございました。

株式会社 明治屋
中川健治 様

審査委員からの祝辞

審査委員長 リリー・フランキー
 受賞された皆さん、おめでとうございます。今回のアワードの特徴として、今まで他素材を使っていた容器がガラスびんになるという状況が見うけられました。たとえば、最優秀賞の「い・ろ・は・す グラススパークリングウォーター」、長野の「七味唐からし」他、です。ガラスにしたことにより機能面が向上し、その透明感を活かしてデザイン性も高くなっている。こういった流れは、ガラスびんの特性はもとより、私たちアワード関係者が十何年の間、真面目に取り組んできたことに対する評価でもあるようで、嬉しく感じています。ありがとうございました。

審査委員 富永 美樹
 審査員をさせていただいて7回目になりますが、実は最優秀賞を選出するにあたっては、今回が一番貢献できたのではないかなとこっそり思っております。この件については後ほどトークセッションでお話しさせてください。それともう一つ、毎回私たち審査委員は審査のたびにガラスびんのよさをいろいろ学ばせていただき、それが各賞に反映されているわけですが、今回の富永美樹賞はそういう理屈抜きに「ガラスびんが好き!」という原点に立ち返って選んだ気がしています。受賞の皆様、このたびはおめでとうございました。

15周年記念トークセッション

<参加者>
審査委員 富永 美樹
審査委員長 リリー・フランキー
日本ガラスびん協会 齋藤会長

司会:長年審査委員を務めていただいているお二人ですが、ガラスびんに対するいろいろな思いもおありかと思います。それぞれ振り返っていただき、印象に残った商品や審査についてお聞かせください。

齋藤:リリーさんは2009年の第6回から15回まで10年間、富永さんは2012年の第9回から7年間、それぞれ審査に携わっていただいており、本当にありがとうございます。

富永:こちらこそ、ありがとうございます。7年を振り返ると、たくさんいろんなものを選ばせていただいたなと思います。実は、毎年審査の方法は同じで、最終審査に残ってきたものが部屋にばーっと並べられているんですね。そこで、リリーさんが良いと思ったものに緑色の付箋、私はピンクの付箋を貼っていく。審査委員長、委員、ですから、まずはリリーさんに行っていただいて、その後を私が追っかけて貼っていくわけです。それで、二人ともが貼ったものの中から各賞が選ばれる。……はずが、なんと今回の最優秀賞「い・ろ・は・す グラススパークリングウォーター」は、初め私しか貼っていなかったんです。

リリー:柄まで見えてなかったんだよね。

富永:たぶんリリーさん、ちょっと老眼が始まってるんです(笑)。たくさんのびんが並ぶ中、すごくシンプルで、たしかにすごく目を引く存在ではないんですよ。私も初めは、随分シンプルなのがあるなと思って近寄って、まずボトルのキャップが黄緑なことに気が付いて、あれ?と思ってよく見たら「ILOHAS」って書いてあった。で、そうなんだ!ってまず驚いて。どうしてもペットボトルのイメージがあるブランドですよね。くしゅっと小さくなってごみを減らせますとか、広告とかを見る限りなんですけど、かなり早い段階から環境への取り組みをされているイメージがあったので。それからリリーさんのところに行って「これ、いろはす、いろはすですよ!これ、いろはすですよ!すごいですよね!」って3回くらい言ったんです(笑)。するとリリーさんが、緑の付箋を付けてくれました。

リリー:実際に手に取って見るまで、このびんの波紋とかが分からなかったんですよ。でもこれくらいうねりのあるびんとなると、どんなテーブルに置いても、それこそレストランとかでもいいし、クラブでも、どこに置いても絶対映えますよ。

齋藤:ガラスびん本来の美しさが前面に出たデザインですね。

富永:そうですね。あとはやっぱり、そういうペットボトルのイメージが強いブランドがびんを作ってくれたっていう喜びもありましたし……。

リリー:そこなんです。もともと他素材のイメージが付いている商品じゃないですか。同じく今回の「七味唐からし」も、僕も長野に行くといつも買いますけど、あれも缶に入っているから雰囲気があるんですよね。雰囲気はあるけど、やっぱり缶は中身が劣化しやすいと知っているから、缶を開けたらまずビニール袋に入れてあるっていう。そのビニールから缶に移し替えるストレスが実は結構あったんですよ。じゃあ最初からびんに入れてくれたほうが密閉性があっていいのにって。

富永:ですよね。七味ってすごく風味が大事じゃないですか? 私もそういうものがどうして今までびんに入っていなかったんだろうって、逆に不思議に思ったくらい。

リリー:だから、もともと違うマテリアルのイメージがあったものが、ガラスの素材に移ったことで機能性もデザイン性も高くなったとなると、ちょっと嬉しいですよね。

齋藤:それは本当に嬉しいですね。

リリー:そういう意味では今回の「リポビタン」も面白くて、あれはもともとびんだけれども、急にプレゼントできるものに生まれ変わったというか。あの色だと今までは差し入れになってもプレゼントにはなり得なかったので。

富永:たしかに。これだとシーズンによっていろんな文言を入れられるし、なんだかいいブームになりそうな予感がしますよね。

司会:リリーさんは10年間を振り返っていただいていかがですか? 

リリー:こうやって1年に1回見せてもらうと、毎回のエントリー商品がやっぱりすごく時代を反映しているんですよね。エコロジーに特化している年もあれば、華美なデザインが流行している時もあったり……。

富永:ありました、ありました。

リリー:そういう中で10年……。これは私たちが考えていかなくてはならないことかもしれませんが、審査は基本的に私たち2人で、荒選びをみなさんにしていただいた何百点の中から一生懸命選びますけれども、その審査会で意見が分かれることもやっぱりあって。

富永:今回もかなり難航しましたよね。

リリー:たとえばね、今回だって、1つのメーカーさんが5部門6部門獲っても別にいいと私は思うわけですよ。厳しいようですが、いいものを作るというのは馴れ合いではだめなんですから。だから、せっかくこういうセッションの場が1年に1回あるんだから、メーカーさんと製びん会社の方とか、いろんな関係者の方にはこの場でちゃんと意見交換をしていただいて、みんなで本当にいいものを作ることを考えていきたいなと。

司会:齋藤会長、こんなふうにしっかり審査をしてくださっていて、業界全体に思い入れを持っていただいているというのはやっぱり嬉しいものですよね。

齋藤:本当です。とくにお二人には長年、外でも日頃からガラスびんのことを発信していただいているので、もっともっといろんなところでガラスびんの良さを宣伝していただけるよう、我々も努力を続けていかなければと思いました。

富永:今後もガラスびんの更なる可能性に期待しています。

司会:これからもお二人がどんなガラスびんを選ばれていくのか、またどんなふうに発信してくださるのか、ぜひ皆さんご注目いただければと思います。ありがとうございました。

第15回ガラスびんアワード2018・合同懇親会

 ガラスびんアワード授賞式に続いて、合同懇親会が開催されました。当協会副会長である磯矢硝子工業株式会社 相談役 大西貞明より乾杯の発声とともに合同懇親会が開宴となりました。ご歓談の中、協会からは各地域でガラスびんに接している女性を紹介する「びんむすめプロジェクト」や、ガラスびんの良さを伝えていただいている「ガラスびん応援隊」などの広報活動を紹介させていただきました。温かなお祝いの気持ちと活気に満ちた、和やかな雰囲気の合同懇親会となりました。

中締め

日本ガラスびん協会 理事
石塚硝子株式会社 代表取締役社長 執行役員
石塚 久継

 各賞を受賞された皆様、誠におめでとうございます。本日の授賞式に始まり、そして懇親会という時間の中で、受賞された皆様もお集まりいただいた多くの関係者の皆様も、普段以上にガラスびんというものを身近に感じていただけたのではないかと思っております。いろいろな素材の容器がございますが、ガラス素材のガラスびんをどうかお忘れになりませんよう。そして、今後の新製品等にもぜひガラスびんをご採用いただけましたら、私どもとしましても大変うれしい限りでございます。
 私ども日本ガラスびん協会ではこれからも、先ほどご紹介しました「びんむすめプロジェクト」、「TOKYO BINZUME CLUB」など、ガラスびんの良さを伝えていく広報活動を続けてまいります。皆様方におかれましても、引き続きのご支援をよろしくお願いいたします。本日はありがとうございました。