2018年09月25日

海外情報(2018年9月分)

1. 2017年EUガラス容器業界生産量

 FEVEの集計(内容は非公開)によれば、2017年のガラス容器生産量は重量で21.5百万トン(前年比2%増)、数量で781億本(前年比2.4%増)であった。これは輸出が好調であったこと、欧州で食料、飲料びん需要が強かったことによる。

出典:FEVE Newsletter September 2018 No.474

2. O-I社が最新のデジタル3D印刷によるEXPRESSIONS製品を発表

 O-I社は、デジタル3D印刷技術を使ったEXPRESSIONS製品を発表した。これは2014年から同社が開発を進めてきたもので、デザイン、パッケージングの専門家、そして自社の製品をより目立つようにしたいと望むすべての食料・飲料販売業者向けに開発された革新的な技術だとしている。(従来のACLスクリーン印刷とは違って)色彩とデザインの可能性拡大、高度なカスタマイズが可能、少量製品にも対応、工業的な印刷速度、最大解像度は720dpiといった特徴がある。当面、ヨーロッパ地域で先行し、順次、米国、その他地域に拡大するようだ。

出典:O-I社HP、Pakegingeurope.com他

訳注1:本件に関するO-I社のお知らせ(2018年9月6日付)は以下のURLを参照ください。

デジタル3D印刷された製品の写真は、以下の2件のURLに掲載されているので参照ください。

その他次のURLにも本件記事が掲載されています。

訳注2:本件は、デジタル印刷(インクジェット印刷)がガラスびんでも本格的に使われるようになったということだけではなく、O-I 社にとって企業変革の一環であったようだ。O-Iヨーロッパ社長のトルノ氏は「O-I社にはイノベーションをもたらす企業風土があり、当社R&Dは長年エンジニアリング志向で成形機や溶解炉のイノべーションをもたらしてきた。しかし、当社は会社変革のアジェンダを設定し、当社都合のイノベーションを少なくし、消費者市場トレンドやお得意先のニーズに寄り添ったイノベーションを行うパラダイムシフトを目指しており、今回のO-I EXPRESSIONSは30年の業界生活で初めて経験する成長とイノベーションに向かった新しいアプローチだ。」と述べている。

3. 英国ガラス技術協会(SGT;Society of Glass Technology)年会のテーマはエネルギー問題

 2018年9月2日~5日にかけてケンブリッジのマレーエドワードカレッジ(Murray Edwards College)で開催されたSGTの産業部門(9月4日開催)でのテーマは、エネルギー問題であった。Dave Dalton氏(CEO, British Glass Manufacturers Confederation)が『ガラスの将来』、Stuart Hakes氏(CEO, FIC Ltd. ; SGT 次期会長)が『電気溶融』と題してそれぞれ基調講演を行った。

出典:SGTのHP

訳注1:SGT2018年年会のアブストラクトは以下のURLを参照ください。

訳注2:パリ協定の発効を受け、各国・地域はそれぞれの事情を勘案した温室効果ガス排出量削減目標を出している。資源エネルギー庁のHPによると、日本は、2013年比で2030年までに26%削減、EUは2013年比で2030年までに24%削減という目標を掲げている。
英国ガラス産業界はカーボンニュートラルを目指して電気溶融指向だが、今年のフェニックスアワードを受賞したヴィーガント社オリバー・ビーガント氏はGlassworldwide誌(2018年⒎-8月号)のインタビューに答えて、「時間はあまりないが、電気溶融以外の他の道も徹底的に調査するべきだ」と述べている。

4. 米国でリターナブルびんが復活

 米国で殆ど見られなくなったリターナブルびんが復活した。オレゴン州ではその環境特性が評価され、小規模ながら地ビール業者からリターナブルびん入りビールが発売された。これは、米国の州としては最初の例だという。

出典:Portland Tribune社HP他

訳注1:記事詳細は以下のURLを参照ください。

地元ローカルTVニュース動画が以下のURLから視聴できます。(最初にCMが入ります)

5. SGD Pharma社が中国湛江工場を増強

 SGD Pharma社は、中国南部の広東省 湛江市(Zhanjing)にある工場に7百万ユーロ(約9億円;1ユーロ=129.5円換算)を投資して、溶解炉の改修、生産ラインの自動化、クリーンルーム化、印刷加工現場の自動化等を行う。同工場はタイプⅡおよびタイプⅢのフリントびんを年間1.2百万本生産している。

出典:FEVE Newsletter September 2018 No.474

訳注1:同工場の概要は以下のURLから参照ください。

SGD Pharma社については以下のURLを参照ください。