2019年04月01日

2019年「ガラス産業連合会新年会」開催報告

左から、硝子繊維協会、板硝子協会、電気硝子工業会、日本硝子製品工業会、日本ガラスびん協会の各会長
(ニューガラスフォーラム会長はご欠席)

東京ではこの冬、乾燥した日が続き、寒さも厳しい毎日となっています。そんな中、恒例となりました「ガラス産業連合会(GIC)新年会」が、2019年1月25日(金)に東京都千代田区の如水会館にて開催されました。
ガラス産業連合会は2000年3月に設立され、この新年会は今年で第19回目となりました。今年も経済産業省、学界、会員企業、関連団体、報道機関等総勢352名の参加があり、昨年をやや上回る多くの方による盛況な新年会となりました。

この新年会は、ガラス産業連合会に所属する板硝子協会、硝子繊維協会、一般社団法人日本硝子製品工業会、日本ガラスびん協会、電気硝子工業会、一般社団法人ニューガラスフォーラムの6団体で主催しており、今年は硝子繊維協会の津田通利専務理事の司会により行われました。
加盟6団体の、フランシス・ショレー硝子繊維協会会長(マグ・イゾベール株式会社代表取締役社長)、島村琢哉板硝子協会会長(AGC株式会社代表取締役社長執行役員CEO)、小林善則電気硝子工業会会長(AGC株式会社常務執行役員電子カンパニープレジデント)、岡本毅日本硝子製品工業会会長(岡本硝子株式会社代表取締役社長)、齋藤信雄日本ガラスびん協会会長(東洋ガラス株式会社相談役)の各会長紹介(鈴木洋ニューガラスフォーラム会長(HOYA株式会社取締役代表執行役最高経営責任者)はご欠席)に続き、ガラス産業連合会のフランシス・ショレー会長から挨拶がありました。挨拶の要旨は次の通りでした。

昨年の日本国内は緩やかな景気回復を維持し、今年の1月には「いざなぎ景気」を超え、戦後最長を更新している。しかし、国際的には、米中対立や英国のEU 離脱問題など多くの課題を抱えている。
その中でガラス産業の共通課題としては、環境や省エネに関する課題であり、最近ではリサイクルに関する課題も重要なテーマである。
ガラス産業連合会では、2000年3月の設立以来、会員6団体が一致団結し、環境問題や省エネ問題を中心に、官庁・学界の皆様のご指導の下で活動を行っている。環境対応の活動では、産業における資源リサイクルに関する情報調査を行っており、ISOやREACHなど欧州の化学物質規制の動向や環境に関する法規制、環境指標などガラス業界としての情報提供を行っている。また、国際ガラス会議が昨年9月に4日間にわたって開催され、世界約30ヶ国から600名近い参加者が集まり、ガラス産業連合会として協力させて頂いた。
省エネ関連では、2020年の省エネ基準適合義務化については遅れ気味の状況にある。COP21にてCO2削減目標を達成するには立ち止まっている場合ではない。この遅れを挽回すべくガラス産業連合会として、各関連団体はパブリックコメントを通してさらなる提案をし、各会員企業が従来行っている省エネ適合商品の普及の加速に注力することが重要。また古くて新しいテーマとしてガラスリサイクルがある。ガラスびん協会は全国約2,600カ所にリサイクル拠点があり、マテリアルリサイクルの仕組みが構築されている。一方、自動車ガラスや太陽光パネルのガラスについては、まだ多くの課題が残っている。年間20万トン以上のガラスカレットをリサイクルしているグラスウール業界を始め、ガラス産業連合会としては、今後前向きに仕組みつくりに協力していきたい。
他方、専門家や研究者だけでなく、一般の方々への情報発信として、ホームページのリニューアルや2016年から参加した「青少年のための科学の祭典」での関連ガラス製品の認知度向上に取り組んでいる。本年もガラス産業連合会では、共通の課題である環境問題、成長戦略としてのプロセス関連技術や新材料関連技術といった技術開発、それと同時に、ガラスをもっと消費者の皆様に親しんで頂くための広報活動に、産・学・官の連携を一層充実させ、社会の貢献に引き続き務めていくので、変わらぬご支援、ご協力をお願いしたい。

次に、ご来賓代表として、上田洋三経済産業省大臣官房審議官からご祝辞があり、その要旨は次の通りでした。

国内では、今年10月に消費税が10%に引き上げられる見通しであるが、国民生活や経済活動に混乱が生じないよう様々な対策を講じていきたい。世界に目を向けると、保護主義的な動きが広がっていく中、日本は自由貿易の旗手として主導的な役割を果たす必要がある。昨年末に発効したTPP11のさらなる拡大を目指し、また、今年2月に発効予定の日欧EPAなどを活用した企業の海外展開を積極的に支援していきたい。
我が国経済は大きな変革期に直面しており、AI、IOTなどを活用した最先端の技術の進展により、産業やものつくりのあり方そのものが大きく変わろうとしている。
このような状況の下、我が国が世界に対して、新たなモデルを示していけるよう経済産業省としても、”Connected Industries”の実現など世界をリードする挑戦に、産業界の皆様とともに果敢に取り組んでいきたい。
ガラスの業界では、少子高齢化と人口減少による国内ガラス需要の減少という課題がある。しかし、足下では、2020年の東京オリ・パラや都心の再開発など、地域限定的ではあるが、堅調に推移している。新規着工に加えて、建て替え需要を取り込み、複層ガラスなどの省エネ効果の高い製品や防犯・防災面で優れた強化ガラスの普及が重要である。自動車産業は100年に1度の大変革期を迎えており、例えば、コネクテッド化、5G対応など高機能ガラス需要も想定されるため、このようなチャンスを踏まえて、第四次産業革命を牽引する素材開発の取り組みに期待したい。
地球温暖化対策については、ガラス産業連合会では、断熱性の高いグラスウールや窓ガラスの消費者への普及・啓発を推進頂いている。本年6月には大阪でG20が開催される。SDGsやESG投資といった国際的な潮流も一層活発化してきており、地球環境問題についてもイノベーションにより解決できるよう日本も積極的に発信していきたい。経済産業省としても引き続き、国土交通省、環境省との連携事業である「ネットゼロエネルギーハウス」の導入支援等を通じて、企業の積極果敢な取り組みの後押しをしていきたい。

その後、齋藤信雄ガラス産業連合会理事から、ガラス産業連合会は6団体が結集して活動を進めている団体で、様々なガラスを市場に供給している他には無い団体である。
今一度、ガラス産業連合会のキャッチフレーズである「ガラスは人に優しい、ガラスは地球に優しい、ガラスには未来と夢がある。」を思い起こし、ますます発展するよう尽力したい、との挨拶と乾杯の発声により歓談となりました。

午後5時から始まった今年のガラス産業連合会新年会は瞬く間に時間が経過し、最後に、平尾一之ガラス産業連合会理事による、以下のような中締めの挨拶がありました。

折角の機会なので、3点ほどお話ししたい。
(1) 昨年9月に開催されたICGは、海外からの212名を加えて600人近い参加者で盛況だった。ガラス産業連合会の協力も得てすばらしい年会となった。日本のガラスの底力を見せられたと考える。2025年には(年会ではない)国際ガラス会議開催の立候補も考えている。開催することになれば、またご支援ご協力をお願いしたい。日本はガラスでは世界トップレベルにあるので、開催する責務も必要と考えている。
(2) 現在、セラミックス協会会長であるが、今年6 月には2 年が経過する。次期会長は正式には未決定であるが、会長が交替しても、今後もご支援をお願いしたい。
(3) 2030年に向けてSDGsを意識した活動を行いたい。各企業でも活動を進めると思うが、ガラス産業連合会でも知恵を集め、SDGsの目標を掲げて取り組みを進めたら良いかと思う。「産・学・官」の連携のもとで、各分野の取り組みを進め、かつ、来年も盛大なガラス産業連合会新年会が開催されることを祈念したいと思います。(ニューガラスフォーラム2019年3月発行機関誌より)