2014年05月23日

海外情報(2014年5月分)

1.Ardagh社は米国連邦取引委員会よりSaint Gobain社の米国事業買収の認可を取得

 Ardagh社は、同社が米国内に持つガラスびん工場6カ所(2012年にAnchor Glass社より買収)をKPS Capital Partners社に売却する条件で、4月10日に米国連邦取引委員会(FTC;Federal Trade Commission)よりSaint Gobain社の米国ガラスびん事業であるVerallia North America社買収の認可を受けた。FTCはArdagh社がSaint Gobain社の米国ガラスびん事業であるVerallia North America社を17億ドルで買収することが反トラスト法に抵触するのではないかとして調査し、昨年7月に同社の買収を停止すべきとして提訴していた。FTCは、当初計画のままであれば、米国2位のSaint Gobain社と3位のArdagh社(両社で米国のガラスびん市場で約50億ドルを占有)の両社が一つとなることにより、ビールびんや酒類のびん価格が上がるのではないかという点に注目していた。Ardagh社は6工場の売却をFTCの認可より6ヶ月以内に完了する必要がある。

 出典:GPI Smart Brief April/16/2014
 【訳者注】
 KPS Capital Partners社はWaterford Crystal社を傘下に持っている
(2009年にWaterford Wedgewood社を買収)

2.O-I社の2014年第一四半期報告

 ヨーロッパにおけるビール販売が好調であったことが、O-I社の第一四半期の利益に貢献した。全世界での売り上げは昨年比2%上昇、ヨーロッパはビール及びワインが好調で6%上昇した。第一四半期の正味売上高は16億ドルで昨年と同じであったが、営業利益は218百万ドルと昨年同期より8百万ドル減少。南米地域では、ブラジルで高い販売量が報告されたがアンデス諸国での販売減と相殺となった。CEOのAl Stroucken氏は「ヨーロッパ地域は、販売好調に合わせてリストラクチャリング努力による利益があった。北米地域は記録的な大雪と寒波のため販売量は微増したが利益率が低下した。」と語った。

 出典:Glass International Weekly News Bulletin

3.O-I社がBDF社のエネルギー回収設備を導入

 O-I社のVilota工場(イタリア)は、BDF社の有機ランキンサイクル(ORC;Organic Rankin Cycle)タービンによって熱回収し発電する設備を導入した。ORCタービンによって生産工程に影響を与えずにガラス溶解炉の排ガスから効率的に熱回収できる。BDF社は1990年より、ISマシンのサーボモータ制御用のアクティブフロントエンドシステム(AFE;Active Front End system)を同社のエネルギー回収分野に応用した投資を続けてきた。これによって、BDF社は溶解炉、フォアハース、ISマシン及び排ガス制御システムまでの全てを提供できる体制を作り上げた。

 出典:Glass International Weekly News Bulletin
 【訳者注】
 有機ランキンサイクルは地熱発電などに使われている。この分野ではイタリア勢が強く、草分け的なTurboden社は三菱重工グループの一員となっている。

4.O-I社はAlloa工場に30百万ユーロを投資

 O-I社は、スコットランドの同工場で30百万ユーロの投資を祝う祝賀会を開催した。この投資によって、同工場はこれまで以上にスコッチウィスキーやその他の飲料業界に貢献できるようになる。この投資には、Scotish Enterprize〔【訳者注】スコットランド政府がスコットランドに立地する企業を支援するためのファンド窓口〕からの地域選択助成金(Regional Selective Assitance grant)390万ポンドが含まれている。祝賀会にはO-I社CEOのAl Stroucken氏、得意先、従業員および政府関係者が出席した。祝賀会では、Alloa工場がスコットランドの蒸留酒産業の心臓部に位置していることが強調された。この投資は、同工場の260年に渡る伝統を守ると共に600名の熟練工の雇用も守った。O-IヨーロッパのErick Bouts社長は「我々はAlloa工場自体の設計、新製品開発能力、ガラス色調および印刷設備をアップグレードする。」、「スコティッシュエンタープライズからのスコットランドの蒸留酒産業の増大する需要への対応能力を強化するための支援に感謝している。」と述べた。このAlloa工場への投資は、O-I社の資産最適化計画の一環である。O-I社は、その機能強化のため欧州で大幅に投資しており、 2014年末までの2年間に渡り280百万ユーロを超える投資を行う。

 出典:FEVE News May 2014
 【訳者注】
 4月8日付けのBBC Newsによれば、Alloa工場閉鎖の噂があったなかでの投資発表で地元はこれを歓迎している。ヨーロッパはO-I社にとり主要な市場で、2013年の売り上げは約21億ポンドとなっていて、これはO-I社の全世界売り上げの約40%を占める。Alloa工場外観写真などは次のURLを参照下さい。
 http://www.bbc.com/news/uk-scotland-tayside-central-26929298

5.Glass Service社が英国のFIC社を買収

 Glass Service社は、CNUD EFCO International社より2014年1月にFIC社を買収した。FIC社は、電気溶融設備を英国にある工場より世界中に販売している。FIC社はTFT、LCD、フロート、繊維、中空ガラス及び硼珪酸ガラスに至る全てのガラス種用の電気ブースティングシステムを設計し供給している。加えて、FIC社は全電気溶融炉とフォアハースを供給し、等温ユニットによる先進的なガラスコンディショニングシステムを使うことで、横から中央方向および上部から底への温度勾配を改善する。Glass Service社は、ガラス溶融、溶解炉、モデリング、先進的な溶解炉制御およぼ稼働、トラブルシューティング及び溶解炉設計の最適化などのコンサルタントを行っている。Glass Service社によれば、この新しい関係により、FIC社の得意先はGlass Service社のモデリング技術、ガラス欠点解析研究室および試験設備などを利用することが可能となるとしている。

 出典:Glass International Weekly News Bulletin