2022年12月27日

海外情報(2022年12月分)

1. 米国のレーザ核融合実験をショットの光学製品が支援

米国ローレンスリバモア研究所の点火施設(National Ignition Facility:NIF)でのレーザ核融合実験で、投入エネルギー量(2.05MJ)を1.5倍上回るエネルギー発生(3.15MJ)の結果を得たという発表があった。商用核融合発電にはまだまだ乗り越えなければならない課題が山積みだが、クリーンエネルギーに向かっての大きな前進と言える。
この実験では、ショット社が世界最大となるレーザ発信用ガラスおよび光学部品を供給した。

出所:glass-international.com

記事詳細は次のURLを参照ください。

ショット社からは12月13日付けで同社HPに掲載されている。

訳者注: 核融合の研究は各国協力して行われている。国内でも核融合研究開発が進められており、レーザ核融合は阪大を中心に研究開発が進められている。

2. エンサーク社が水素燃焼炉を建設

12月13日 グラスインターナショナル誌は、エンサーク社がディアジェオ社とパートナーを組んで同社のエルトン工場に水素燃焼炉を建設し、世界初となるCO2ネットゼロのガラスびんを2030年に生産する予定と報道した。
エルトン工場に新型のハイブリッド炉を建設し2027年中に生産を開始、グリーン電気と低炭素水素を使用し炭素排出を90%削減し、炭素捕集技術(CCSU)によって残る部分を捕捉し2030年にはネットゼロに持って行く予定。
使用される水素は、英国政府が支援するハイネットプロジェクト(Hynet)の一環である2027年完全稼働を予定するヴェルテックス社(Vertex)から供給されるようだ。

出所:glass-international.com

記事詳細は次のURLを参照ください。

訳者注: ヴェルテックス社の水素生産工場のあるエレズミアポート(Ellesmere Port)とエルトン工場は直線距離で約5km程度の距離。ヴェルテック社のHP掲載の水素供給地下配管網地図をみるとエルトン工場はこの配管に近接していることから水素は地下配管で供給される模様。
ヴェルテックス社HP:https://vertexhydrogen.com/
エンサーク社はアイルランドのデリリン工場でバイオ燃料使用での生産に成功している。今回はバイオ燃料や水素等の低炭素燃料の今後の供給体制をみてエルトン工場では水素を選択したようだ。
また、エンサーク社、ディアジェオ社ともにグラスフーチャーズの正会員であり、この計画にはグラスフューチャーズも関与している様子。

3. 英国ガラス産業は持続可能燃料使用でCO280%削減が可能

英国の研究開発機関であるグラスフューチャーズの報告は、ガラス産業において持続可能な燃料を使用することでCO2排出量を80%程度削減できるとしている。本報告はガラス業界における代替燃料使用に関するもので、(1)バイオ燃料の使用:天然ガス使用時の70~80%のCO2排出削減、(2)水素燃焼:溶解、成形、NOx排出、耐火物浸食、およびガラス品質への更なる調査が必要とし、(3)電気溶融:20-40%ブースティングを超えると大幅な炉構造の変更やコストなどの課題解決が必要、更に、脱炭素の選択肢は、例えば電力網からの供給余力、そして立地地域での水素供給網など工場立地条件によって様々あり、一つに限定すべきでないとしている。

出所:glass-international.com

記事詳細は次のURLを参照ください。

訳者注: 本項目は既に報告したかもしれないが、出所とした記事にはここでは紹介できていない実験担当者のコメントなどがあり掲載した。

4. フランス北部ノルマンディー地域圏の補助

英国海峡に面したノルマンディー地域圏はエネルギー価格上昇の影響を受ける産業界に30百万ユーロ(約42億円:140円換算)の支援を12月にも行う。同地域に生産拠点のあるポチェット社(Pochet)、ヴェレソンス社(Verescence)、セェィヴァグラス社(Saverglass)、ジニャーゴ社(Zignago)およびウォルターズペルガー社(WaltersPerger)などはこの支援を受けられる可能性がある。

出所:glass-international.com

記事詳細は次のURLを参照ください。

記事に出てくる各社については以下を参照ください。