2011年06月17日

海外情報2011-6月

 今回もデータソースはGPI(米国ガラスびん協会)発行の"inside glass packaging"です。

1.GPI "ask for glass"キャンペーンを開始
 GPIは5月、"ask for glass"(ガラスびん入りブランド商品を求めてください!)キャンペーンを開始した。最近、消費者のガラスびん選好傾向の増加が認められる。しかし、ポピュラーなブランドでも、ガラスびんを使用しなくなったものがある。このようなケースに、消費者の声がマスメディアを利用してブランドに届くために、このキャンペーンが企画された。
 GPIの新会長Ms Braggは次のように述べている。「米国の消費者の特徴を一つ上げるとすれば、自由な選択を欲していることである。多くのポピュラーなブランドは、多くの形状やサイズの容器を採用して消費者の選択に委ねている。しかし、ブランドの中にはガラスびんを採用していないものがある。我々は、好みのブランドをガラスびん入りで買うことを望んでいる消費者がいると信じている。このキャンペーンの目的は、そのような消費者の声をマスメディアを利用してブランドへ届けることである。」
 キャンペーンの中で、消費者をお好みのブランド発売の会社のマスメディアページと結ぶために、ソーシャルメディアが構築されている。

2.FEVE(欧州ガラスびん協会)消費者調査結果
 この程FEVE(欧州ガラスびん協会)は、汎欧州独立の調査会社 InSiteに委託して、食品・飲料容器について素材別の消費者の選好度合の調査を実施した。
 調査は欧州17カ国にわたる8,000人の消費者を対象に実施された。結果は以下の通りである。
消費者は、健康で持続可能なライフスタイルを指向している。それを反映して65%が、ガラスびんは中身品質を保持するために好むと回答している。63%が、ガラスびんは健康に良く安全と答えている。また、ほぼ半数が、何回でもリサイクルできるために環境に良いと考えている。

3.Coca-Cola 125周年記念ボトル発売
 Coca-Cola社は、創立125年記念ボトルを発売した。ガラスびんは8オンスで、形状はcontour bottleと呼ばれる独特の歴史的な形状である。
 このガラスびんこそ、コカ・コーラが世界最大の飲料ブランドとしてグローバルな地位を確立するツールとなった。会社は19世紀の創業であるが、このガラスびんは、1915年にガラスびん会社を競争させた結果、選ばれたものである。選別の基準は「暗がりの中でも識別できるもの」だった。採用された会社はRoot Glass、デザイナーはEarl R. Deanであった。Root社は1930年代にO-I社に併合された。

4.米国 下院議員ビール減税法案を提出
 アイオア州選出の下院議員Tom Latham氏は、ビールの減税案を提出した。
 内容は、大手ビール会社は18ドル/barrelから9ドル/barrelへ、小ビール会社については7ドル/barrelから3.5ドル/barrelへ半減すること。
 理由は、ビール会社の投資拡大・雇用増大を招くこと。
(訳者注:米国でのビール課税の単位「barrel」は、約117リットル<wikipediaより>
      何れにしても、税額は日本に比し、信じられないほど低い。)
 
5.リサイクル関連
 (訳者注:GPIが最も力を入れているのは、リサイクル率の向上であることは数回にわたり掲載した。リサイクルの方法は、消費者に空びんを所定の場所の容器(ポスト)まで持参、投入してもらうことが主であるので、活動も消費者啓発を重点に力を注いでいる。今回の記事は強制デポジット実施州の状況である。現在の実施州は、1972年導入のオレゴン州に始まり、52州中の10州である。)

(1)カリフォルニア州 リサイクル高率維持
 2010年の容器のリサイクル率は82%と高率を維持した。
 種類別では、ガラスびんは前年の80%から85%へ、アルミは94%を達成したが、プラスチックは73%から68%へ下落した。
 (訳者注:現在、米国のガラスびんリサイクル率は25%程度。消費量の多いカリフォルニア州が寄与しているとのことである。)

(2)オレゴン州 強制デポジット法改訂 上院通過
 改訂の内容は、対象飲料をジュース・スポーツ飲料・茶飲料に拡大、デポジット額を5セントから10セントへ引き上げることである。
 実施時期は、2018年もしくはリサイクル率が60%を下回った翌年からとなっている。因みに、2009年のリサイクル率は75%であった。

(3)消費者の環境意識調査
 OglivyEarth社の調査。「消費者に対し、環境に良いものを選択させるマーケティングは効果を上げているとは言いがたい。調査対象者の82%は意識を持っているが、行動に移したのは18%であった。」
 Perception Research Services社の調査。「48%が、商品がリサイクルされた素材を含むかに関心を持っている。17%が購入に際し、容器包装がリサイクルできるかをチェックする。1/3が容器包装をリサイクルしていない。」
 GPIリポートは「グリーン・マーケティングは、まだ上手くいっていない。」と結論づけている。