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産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会WGで2021年の実積を報告いたしました
日本ガラスびん協会 地球温暖化対策(CO2削減)カーボンニュートラル行動計画
日本ガラスびん協会は1998年に産業構造審議会・総合エネルギー調査会に自主行動計画目標(ガラス容器製造業における地球温暖化対策への取組み)の報告を開始し、その後も毎年の実績を報告しています。
現在はカーボンニュートラル行動計画(旧低炭素社会実行計画)に改まりました。
2022年12月22日に経済産業省で開催された産業構造審議会産業技術環境分科会地球環境小委員会の製紙・板硝子・セメント等ワーキンググループ(WG)において2021年1~12月の実績を報告いたしましたので、WG報告内容及び目標値を設定して活動している取り組みについて、以下の通り概要をお知らせいたします。
ガラス容器製造業における地球温暖化対策の取組み
カーボンニュートラル行動計画における目標
CO2排出量の削減に関し、ガラス溶解炉の設備統廃合や更新時のダウンサイジングをはじめとしたBATの導入をすすめるとともに、生産性の向上や効率的なエネルギーの利用に注力しています。2022年よりカーボンニュートラルに向けて目標指標をCO2の排出量に絞りました。2030年の目標を達成できるように活動して参ります。
2021年のCO2排出量実績は以下の通りとなっています。
基準年 2013年比 |
2030年 目標 |
2020年 実績 |
2021年 実績 |
CO2排出量 (原料分含む) |
▲27.1%(2013年対比) (65.2万t-CO2) |
▲23.3%(2013年対比) (68.6万t-CO2) |
▲23.4%(2013年対比) (68.5万t-CO2) |
目標を達成するために目標値を設定して活動してきた項目
【取組事項およびその目標値】
(1)カレット利用比率の向上
ガラスびんの原料に占めるカレットの利用率を76%まで増加する。
※2021年4月より改正施行された省令に合わせ目標値を変更いたしました。
(2)ガラスびんの軽量化の推進
ガラスびん重量を2004年比1.5%軽量化する。目標重量189.4g/本。
(3)ガラスびん製造工程の歩留まり向上
ガラスびん生産歩留まりを2013年比2%向上する。目標76.9%。
(4)工場内のガス燃料をすべてLNGへ転換
LPGをLNGへ100%転換する。
【取り組んできた結果】
(1)~(4)の各指標の推移は以下の通りとなっています。
年 (1~12月) |
生産量 万トン |
カレット利用率 % |
ガラスびんの 平均重量 g/本 |
歩留まり % |
LNG化率 % |
1990 |
242.5 |
40.5 |
217.2 |
84.4 |
36.7 |
1997 |
195.0 |
53.8 |
206.4 |
79.8 |
79.9 |
2000 |
162.1 |
62.2 |
197.3 |
77.4 |
83.6 |
2005 |
135.2 |
68.8 |
187.2 |
75.0 |
95.7 |
2010 |
122.2 |
73.3 |
189.0 |
76.3 |
100.0 |
2015 |
115.4 |
75.9 |
180.7 |
76.4 |
100.0 |
2019 |
99.2 |
75.6 |
173.0 |
73.2 |
100.0 |
2020 |
88.6 |
77.6 |
170.6 |
71.2 |
100.0 |
2021 |
93.0 |
76.2 |
172.1 |
74.6 |
100.0 |
※カレット利用率については、2016年4月1日施行された新たな省令に従い算出しています。
エネルギー使用量、CO2排出量実績と見通し
目標を達成させるための各種取組みにより、エネルギー使用量、CO2排出量ともに以下の通り減少いたしました。
年 (1~12月) |
生産量 万トン |
エネルギー 使用量 原油換算万kl |
CO2排出量 万トン-CO2 |
エネルギー 原単位 原油換算l/トン |
CO2排出 原単位 ㎏-CO2/トン |
1990 |
242.5 |
65.3 |
181.0 |
269.3 |
737.5 |
1997 |
195.0 |
55.4 |
146.0 |
284.3 |
748.7 |
2000 |
162.1 |
47.5 |
123.0 |
293.0 |
758.3 |
2005 |
135.2 |
42.1 |
105.3 |
311.4 |
780.5 |
2010 |
122.2 |
37.9 |
80.8 |
310.1 |
661.5 |
2015 |
115.4 |
34.9 |
84.5 |
302.4 |
732.2 |
2019 |
99.2 |
32.7 |
73.1 |
329.9 |
736.9 |
2020 |
88.6 |
30.7 |
68.5 |
347.0 |
773.6 |
2021 |
93.0 |
30.6 |
68.5 |
329.0 |
736.0 |
※CO2排出量にはガラス原料の炭酸塩からの排出も含む。
2021年までの取組みとエネルギー使用量、CO2排出量減少の要因分析
(1)カレット利用率の向上
- カレットの利用率向上により、ソーダ灰、石灰石などの炭酸塩原料使用量および溶解時のエネルギー使用量が大幅な減少となり、CO2排出量の削減に大きく寄与しています。
ガラスびんは資源有効利用促進法における特定再利用業種に指定されていることから、その判断基準となるカレットの利用率の目標が省令により定められています。2021年4月1日に施行された省令改正により2026年(令和8年)までのカレット利用率目標は76%となりました。2021年のカレット利用率実績は76.2%となり、利用率目標を上回っていますが、2020年から▲1.4%減少となっている要因としては工場内カレット使用量の減少が影響しています。
- カレット利用率の向上によりリサイクルカレットに混入する異物数が増加し、ガラスびんの品質を低下させる大きな要因となっていることから、それを防ぐために市中からのリサイクルカレットの処理プラントの設備更新、最新の異物除去機器の導入などの設備投資を積極的に進めています。
- 今後さらにカレット利用率を上げるためには、カレットの色の分別を含めた品質の維持向上とカレットの地域的な偏在やその他色カレットの使用量増加などが課題となっています。
(2)ガラスびんの軽量化の推進
- ガラスびん1本当たりの重量を軽量化することにより、原料、燃料の使用量が減少し、CO2もほぼ比例して削減することができます。さらにガラスびんの軽量化により輸送時のトラック等の燃料削減にも寄与しています。
- 2021年の1本当たりの重量は172.1g(前年比+1.5g)となりました。ガラスびんは小容量化を含め全体的に軽量化を進めていますが品種構成によりプラスとなりました。
- ガラスびん業界では、長年軽量化に取り組んで参りましたが、一方で他素材化への移行もあり商品開発ではデザイン性やガラスびんの持つ重厚感などを求める動きも出てきています。
(3)ガラスびん製造工程の歩留まり向上
- 歩留まりの低下は余分なガラスを溶解することになり、エネルギー使用量とCO2排出量の増加の要因となります。2021年の歩留まりは74.6%となり2013年比▲0.3%となりました。2020年比+3.4%となりました。前年プラスの要因として、①ガラスびん需要の増加による設備稼働率の回復が大きく影響しています。今後も生産設備の再編、型替作業の効率化などの取組みにより、歩留まり向上に努めてまいります。
(4)工場内のガス燃料をすべてLNGへ転換
- 工場で使用するLPGをCO2発生量の少ないLNGへの転換は着実に進みました。工場再編などにより2021年も通年で100%達成となっています。
- 1998年以降、ガラス炉燃料の重油をLNGに転換する試験的な取組みを始め、ここ数年本格的に重油からLNGへの切替えが進み、CO2削減に大きく寄与しています。
(5)低炭素製品によるCO2排出量削減
- 日本ガラスびん協会では、規格統一リターナブルびん(Rびん)を認定し、リターナブルびんとして使用しています。日本ガラスびん協会では、LCA手法を用い、リターナブルびんのCO2排出量削減の試算をおこない、業界の統一LCAデータとして共有し、リターナブルのPR活動に取り組んでいます。リターナブル使用はガラスびんだけが持つ大きな特性といえます。リターナブルびんの利用による2021年のCO2削減量は、6.07万t-CO2です。
- 市場の輸入びんをカレットとしてリサイクル使用することで、省資源、省エネルギーを実現し、CO2排出量の抑制にもつながります。輸入びんのカレット化における2021年のCO2削減量は、5.365万t-CO2です。
- 前述の通り、ガラスびんを軽量化することにより、省資源、省エネルギーを実現し、CO2排出量の抑制につながります。2021年の2013年比削減量は3.777万t-CO2となりました。
- 原料としてカレットを90%以上使用し製品化したものを「エコロジーボトル」、無色・茶色以外のその他色のカレットを90%以上使用し製品化したものを特に「スーパーエコロジーボトル」と名付け、カレット使用量の増加につなげるため、ボトラー、ユーザーへの利用促進を継続しております。2021年の削減量は0.201万t-CO2です。
(6)その他の特記事項
- ガラス容器の製造において先進的な取組を行っている欧州の事例・情報収集を目的に、2022年4月にイギリスの研究開発機関に加盟しました。革新的なCO2排出削減技術として、酸素燃焼技術や電気溶融技術、カーボンフリーである水素燃焼やアンモニア直接燃焼について2030年代の採用に向けて検討して参ります。
- 省エネルギー、CO2排出削減啓発のためのPR活動にも加盟各社が継続的且つ積極的に取り組んでいます。