2011年11月08日

広報委員会研修会レポート 株式会社桃屋様 工場見学(その1)

 日本ガラスびん協会 広報委員会では、ガラスびんに関する広報活動の一環として、毎年、ガラスびんに関連したさまざまな場所を訪れさせていただいています。
 今年は、ガラスびんを積極的にご使用いただいている、株式会社桃屋様の工場を訪問させていただき、工場の見学、商品作りに対するこだわり等のお話を伺いました。       

看板.JPG  工場外観.JPGのサムネール画像

 

<工場見学>

 桃屋様の春日部工場にお伺いしました。春日部工場は約14,000坪という広大な敷地に、3つの工場(ライン)と、研究所があり、桃屋様の主力工場となっています。
 3つの工場では、(1)「ごはんですよ」などの佃煮商品、(2)人気の「辛そうで辛くない、少し辛いラー油」などのガーリック製品、(3)キムチの素などを主に生産しています。

 今回は、「ごはんですよ」を生産しているラインを、木本工場長にご案内いただきました。

 桃屋様の工場では、特に食の安全・安心の確保に腐心されていることが良くわかりました。

<春日部工場「ごはんですよ」 工程概要>
 ① 調味液 調合
 ② 原料 調味 混合
 ③ 金属検査機
 ④ 煮熟釜
 ⑤ 金属検査機
 ⑥ 充填
 ⑦ 金属検査機
 ⑧ キャッピング
 ⑨ 検査機(キャップ密閉度など)
 ⑩ 殺菌および冷却
 ⑪ キャップシール
 ⑫ ラベル貼り付け
 ⑬ 検査(キャップ・ラベル)
 ⑭ 包装・梱包

 「ごはんですよ」の原料の海苔については、三重県中心に使用しています。
 松阪工場では、海苔を養殖する網や、海鳥の羽、毛髪など、海苔の中の異物を徹底的に除去し、厳しい検査をパスしたもののみが春日部工場へと運ばれてきます。

①調味液 調合
 海苔を味付けする調味液の調合を行います。
 桃屋様では、醤油をベースにさまざまな調味料を混合したものを調味液と呼んでいます。 

②原料調味混合
 各種海苔原料と調味液を混合します。

③金属検査機
 ① でブレンドされた調味液と海苔が混合されたものを、金属検査機にて検査します。
 海苔については、松阪工場にて十分検査されているのですが、さらに念を入れて検査します。

④ 煮熟(しゃじゅく)
 海苔と調味液を大きな釜で炊いていきます。約40分ほどで炊き上げます。

釜(以前使用されていたもの).JPG
※煮熟釜(旧工場で使用された煮熟釜)

⑤ 金属検査器
 炊き上がった海苔は、充填機へと移されますが、その途中に金属検査器があります。強力な磁石で金属を吸着させます。

⑥充填
 炊き上がった海苔は2度の金属検査を通過して充填されます。桃屋様の充填方法は、定量型充填機でばらつきが少なく、ガラスびんの中へ充填されています。

 給びん.JPG 
 ※ガラスびんをコンベアで充填機へ搬送

⑦金属探知機
 充填後、再度金属探知機を通過します。この金属探知機は、さらに精度を高めるために、びんを回転させながら検査をする工夫が施されています。

⑧キャッピング
 機械でキャップを巻き締めます。
 キャッピングを、容器内の空気も吸い上げ、高真空状態を作り出しながら行います。
  フタを空けたとき、キャップ中央のボタンが「ポン」と上がる「セーフティキャップ」はこのようにして締められているのです。

⑨検査機
  セーフティキャップがきちんと機能しているか、チェックを行います。
  もし、ボタンが上がっているものがあれば、自動的に排除されます。

⑩殺菌・冷却
  商品を一度高温状態にし、殺菌を行います。
  ただし、ガラスびんは、急激に冷却すると割れてしまう恐れがあるため、2段階に分けて冷却を行うようになっています。

⑪キャップシール
  キャップの上にシュリンクフィルムをかぶせ熱収縮させます。

⑫ラベル貼り付け
 ラベルに賞味期限を印字し、びんに貼り付けます。

⑬検査
  最後に再度検査を行います。セーフティキャップが機能しているか、検査機で検査します。またラベルがゆがんだりずれたりしていないか、人の目で最終チェックを行います。

⑭包装・梱包
  出来上がった商品を、規定のダンボールに詰め、さらにパレットに積み付け、出荷できる状態を作り上げます。

積み付け.JPGのサムネール画像 出荷.JPGのサムネール画像

 その後、品質検査を受け、出荷OKとされた商品から出荷され、店頭に並ぶことになります。

 

~トレーサビリティについて~
 桃屋様の安全へのこだわりの一つとして、徹底した「トレーサビリティ」があります。
 桃屋様では、万が一問題が発生したときに、その問題がいつどの段階で発生したのか明確になるようなシステムを構築しています。

 資材や商品に関しては、先に納品されたもの・生産されたものから順番に使用・出荷する「先入れ先出し」が大原則です。
 また、資材(たとえばガラスびん)のロット番号と、商品の製造履歴をひも付けしているため、万が一問題が発生した場合でも、原料や容器の生産工程までさかのぼることができるようになっています。
  問題が発生しないようにすることは当然ながら、万が一問題が発生したとき、その原因特定を迅速に行い、同様の問題を起こさないために必要不可欠な仕組みです。 
 システムを構築し、管理の徹底からも桃屋様の品質へのこだわりを強く感じることができます。

 

◆環境への取り組み~排水の浄化について~
 充填後の設備の洗浄等で、工場からは大量の汚水が排水されます。
 桃屋様では、工場設備内に排水の処理施設があり、活性汚泥法という方法で水質浄化を行った後、放流されています。
  また、環境へのこだわりは、商品開発時から始まっています。
 新商品の検討時には、その排水が春日部工場の設備で浄水できるかどうかをテスト機で確認し、そのテストをパスしないといけないそうです。
  商品化の後に、環境面で責任がもてる商品しか作らない、というところに、環境への強い意識を感じました。

排水処理施設.JPG 排水処理テスト機.JPG

 

続いて、質疑応答の時間をいただきました。
質疑応答の内容については、こちらからご覧ください。