2011 授賞式レポート

 2012年3月15日、東京會舘にて、「ガラスびんアワード2011」授賞式が行われました。また、今回は、日本ガラスびん協会創立60周年を記念した祝賀会と合同で開催されました。その模様をレポートいたします。

丸橋吉次会長からの開会の挨拶

 ガラスびんアワード2011」授賞式を開催できることは主催者として非常にうれしく思います。昨年は、東日本大震災の影響により、授賞式は中止させていただきましたが、当協会としても、このアワードを通じて、世の中の明るい話題づくりや活性化に少しでもお役に立てれば、と思っております。

 さて、今年は121エントリー、254本のご応募をいただきました。

 去る2月15日に、審査委員長にリリー・フランキーさんを、審査委員に根本美緒さんを迎え、審査会を実施、現在の時流や背景、さらにデザイン性・機能性・環境性といったガラスびんの特性を活かした作品を総合的な観点より評価いただき、各賞を決定させていただきました。

 私たち日本ガラスびん協会は、「ガラスびんアワード」が業界を代表する、そしてガラスびんの需要拡大につながるようなイベントに育ててまいります。

受賞作品一覧

宝焼酎

 本年、宝焼酎「JAPAN」の親ブランドである、「宝焼酎」が本年、発売100周年を迎えます。その節目の年に、最優秀賞をいただき、本当にありがとうございます。当商品は「世界に誇る日本の蒸留酒」を目指しました。デザイン面では、日本の伝統美・日本を代表する名画である、「風神雷神図屏風」をあしらい、スタイリッシュに仕上げました。その点をご評価いただき、うれしく思います。
 また、「復興に向かう日本を元気付ける象徴的な商品」との受賞理由をいただきましたが、その点につきましては、個人的に強い想いがございます。
 震災後、石巻市と女川町で、ボランティアで炊き出しのお手伝いをいたしました。被災地のすさまじい光景と、短期間で被災地を後にせざるを得ない、無力感にさいなまれ、複雑な思いを抱きました。この宝焼酎「JAPAN」という商品が、復興に向かって進む日本の方に元気をお届けできれば、と思っております。宝酒造は、品質本位の企業です。さまざまなパートナー企業の力をお借りしながら、消費者の方に潤いを与えられるような商品を作り続けたいと思います。

宝酒造株式会社
酒類事業本部 商品部 デザイングループ グループ長
樋野 健一様

アヲハタ55ジャム(大容量タイプ)

 栄えある賞を頂戴し、まことにありがとうございます。
 「アヲハタ55ジャムシリーズ」は、今から5~6年前にユニバーサルデザインの考え方(軽量化・開け易さの追及・点字・ラベルのはがし易さなど)を取り入れた商品として開発され、多くのお客様にご愛用いただきました。
 この度、大型びんで発売をさせていただいたのですが、この商品においてもユニバーサルデザインに対する考え方は変わっておりません。これからも、ジャムについてはテーブルユースにふさわしいデザインに加え、ユニバーサルデザイン、環境にも配慮された商品を作ってまいります。

アヲハタ株式会社
常務取締役 技術本部長
中野 敬二様

ミツカン穀物酢、ミツカン米酢

 環境優秀賞というすばらしい賞をいただき、ありがとうございます。
 弊社は、お客様の利便性向上・環境負荷の低減を目的として2000年よりL値=0.7以下の超軽量びんを導入してまいりました。
 持ちやすいということは、それだけで優れたユニバーサルデザインですし、ライフサイクルアセスメントの観点からも環境に貢献できるものと考えております。
 超軽量びんを作るということは、軽く、しかも割れにくいということが絶対条件で、ガラスびんメーカーの努力に加え、当社独自の強度基準を設け、何度も試験を繰り返すことでお客差に安心してお使いいただけるガラスびんに仕上げることができました。その結果、弊社で使用する超軽量びんは年間1億5千万本、これは国内で流通する超軽量ガラスびんの60%にあたります(リターナブルびんを除く)。
 今回は更なる挑戦として、L値=0.6以下というさらにハイレベルな軽量化にチャレンジしましたが、無事導入することができ、うれしく思っております。

株式会社ミツカングループ本社
生産物流本部 仕入統括部 マネージャー
海老塚 豊実様

トリス<エクストラ>700ml

 デザイン優秀賞をいただき、ありがとうございます。
 一昨年のガラスびんアワードにて、角瓶にて受賞させていただき、さらに今年もウイスキーで賞をいただけたことを大変光栄に思います。
 さてトリスは1946年に発売され、今日まで続くロングセラー商品です。このロングセラーブランドであるトリスを、ウイスキーになじみの無い、若いお客様に飲んでいただきたく、ハイボールという飲み方の提案とともに開発いたしました。デザイン面では、びんにカットを施したり、 トリスのアイデンティティであるアンクルトリスをレリーフとして入れたりしております。今後、ウイスキー市場を活性化させることで、ガラスびん市場の拡大の一助となればと思っています。

サントリー酒類株式会社
スピリッツ事業部 ウイスキー部 課長
田中 嗣浩様

極上宝焼酎

<リリー・フランキー審査委員長より選出理由>
 子どものころ、大人たちが宝焼酎を飲んでいたことを強く覚えています。
 一升びんのイメージが強かったのですが、今回エントリーされたこの商品を見て、スタイリッシュなデザインにイメージチェンジされていることに驚きました。ぜひ当時の大人たちに新しい宝焼酎を見てもらいたいと思い、選出させていただきました。

 最優秀賞とのダブル受賞、ありがとうございます。
 宝焼酎というブランドは、長らく庶民のお酒として親しまれてきました。
 甲類焼酎に造詣が深く、また子どものころから生活空間の中で宝焼酎を身近に感じておられたリリー・フランキーさんから賞をいただけたということについて社員一同、大変うれしく思っております。
 この商品の開発は7年前までさかのぼります。高品質な甲類焼酎のボトルデザインを試作したのですが、そのときに商品化できませんでした。しかし、そのときの遺伝子が、極上<宝焼酎>には組み込まれています。私たちは品質本意で、地道にこつこつと積み上げていく会社です。私たちの社会的な使命は、高品質な商品をお求め安い価格で安定的に供給することであることを肝に銘じて、これからも商品開発に邁進してまいります。

宝酒造株式会社
酒類事業本部 商品部 デザイングループ グループ長
樋野 健一様

AJINOMOTOごま油340gシリーズ

 今回の受賞作品、基本的な形状において、充填工場でいかに安定して稼動させることができるかを念頭に考えました。
 また、持ちやすさを選定理由に挙げていただきましたが、びん形状は人の手の大きさなどさまざまなデータをもとに科学的に検討したものです。私一人の力ではなく、さまざまな部署の協力のもと、できた商品であると思っておりますので、この場を借りて感謝申し上げます。

株式会社J-オイルミルズ
資材部
渡辺 健一郎様

ワンカップ大関

 名誉ある賞をいただき、ありがとうございます。
 ワンカップ大関は、昭和39年、東京オリンピックの時に発売されました。
 本年2012年はオリンピックイヤーであり、あと2年で発売50年という節目の年を迎えます。長い間、皆様方にご愛顧いただき、ここまで育ってきた商品です。
 また、大関は、昨年創業300年を迎えることができました。今年は創業から4世紀目に入るという記念の年にこのような賞をいただくことができ、社員一同大変うれしく思っております。

大関株式会社
首都圏支店 支店長
岡本 修平様

磯じまん・大瓶 小瓶

 このたびは表彰いただき、本当にうれしく思っております。
 私たちは大正15年に創業以来、海苔の佃煮を作り続けております。
 当時は、量り売りで竹の皮に包まれたものが一般的でしたが、そのころからびん詰めにこだわっています。
 当社の社是は「エイ・エイ・オー・オー」です。これは「安心、安全、おいしい、驚き」の頭文字をとったものです。
 「安心、安全、おいしい」は当然ながら、私たちは「驚き」をお伝えしたいと思っています。私たちの言う驚きとは、商品に特徴があるか、差別化できているか、また、新しい工夫や提案があるか、ということです。
 これからも驚きのある商品を作り続けていきたいと思います。当社は85年間、びん詰めにこだわり続けています。これからも100周年に向けてびん詰めにこだわり続けたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

磯じまん株式会社
取締役社長
山本 嘉一様

リリー・フランキー審査委員長 総評

 今回のガラスびんアワードで、3回目の審査委員になります。
 これまでを振り返ると、デザインはその時代が反映され、人に愛されるものだということがよくわかりました。
 昔からよく知られた商品でも、改めて手に取ると進化している、そういう驚きがありました。また、見慣れた商品でも、持ってみると重さがまったく違う、といったように、日々、進化・成長している姿に、安心と勇気を感じました。
 通常、デザインをすればするほど、その商品の持つパワーは弱くなるのが一般的ですが、最優秀賞の宝焼酎「JAPAN」は、そんなことを感じさせない、パンチのある商品です。
 このような「強いテンション」の作品が、震災後の今の世相に求められており、また、人々に勇気を与えるのではないかと思いました。
 毎年、ガラスびんの進化を目の当たりにし、たとえば買い物の際にガラスびん入り製品を眺めている時間が長くなってしまい、知らず知らずにガラスびんに対する愛情と楽しさが深まっています。これからもすばらしいガラスびんを見せていただけることを期待します。

合同祝賀会

 ガラスびんアワード 授賞式に引き続き、合同祝賀会が開催されました。冒頭、日本ガラスびん協会 会長の丸橋吉次(東洋ガラス㈱代表取締役社長)より挨拶ののち、副会長の大西貞明(磯矢硝子工業㈱取締役副社長)より乾杯の発声がありました。今回は、日本ガラスびん協会創立60周年を記念した合同祝賀会となっており、例年には無い、新たな試みがございました。まずは、ガラスびんトークショーを開催し、リリー・フランキーさんと日本ガラスびん協会 丸橋会長にガラスびんの将来について語っていただきました。

 また、別室では「展示コーナー」を設け、日本ガラスびん協会の直近10年間の取り組みについてご紹介させていただきました。ガラスびんアワードの創設から、新聞広告・雑誌のタイアップ、TVCM、ネットアンテナショップなど、さまざまな協会の取り組みをごらんいただきました。

 最後に、理事の堤俊彦(日本耐酸壜工業㈱代表取締役社長)より中締めの挨拶があり、盛況のうちに合同祝賀会を閉会することができました。

中締めの挨拶

 ガラスびんアワード」も今回で8回を迎え、非常に立派なイベントに育ちました。
 このガラスびんアワードを始めるころ、ガラスびんのマーケットは非常に悪く、危機感を感じていました。
 当時の日本ガラスびん協会では、ヒントを求めるために渡米し、アメリカのガラスびん協会との意見交換の中で、広報活動の重要性に気付きました。
 そして、PR活動に力を入れてきた結果が、今日の「ガラスびんアワード2011」であると考えております。
 60周年を迎えた今日、一番重要なことは「ガラスびんを愛すること」。これに尽きると思います。