2012 授賞式レポート

 2013年3月21日、東京會館にて、「ガラスびんアワード2012」授賞式が行われました。その模様をレポートします。

清水泰行会長からの開会の挨拶

 例年より一足早く、桜咲くこの日に授賞式を開催できることは、大変嬉しい思いで一杯です。これもひとえに皆様のご協力の賜物と深く感謝申し上げます。
 さて、今回もガラスびんの特性を活かした商品や、加工技術の粋を集めて作られた商品、また今の時代にマッチした商品など、163エントリー・318本のご応募をいただきました、その中から去る、2月21日にリリー・フランキーさんを審査委員長に富永美樹さんを審査委員にお迎えし、実際に商品を手にお取り戴き、一点一点が持つ機能や特徴を厳正に、フリーなお立場より審査をしていただきました。その結果、6点の賞と日本ガラスびん協会特別賞2点が決定いたしました。
 私たちの生活の一部として、ご愛用いただいておりますガラスびんは多彩なデザイン性もさることながら、環境面、機能面においても、優れた特性を有し安心・安全な容器として、高い評価をいただいております。
 このガラスびんアワードを通じて多くの皆様に、ガラスびんの良さを更にご理解いただき、ガラスびんの需要に繋がるよう、努力してまいります。

受賞作品一覧

最優秀賞 ニベアフォーメン リバイタライジング ローションQ10 ニベアフォーメン リバイタライジング バームQ10

 お酒や食品など数あるガラスびんの中、最優秀賞をいただき、本当にうれしく思います。受賞理由として近未来的なガラスびんのあり方を感じさせる製品と、大変うれしい評価をいただきました。
 開発に対して意識したのは、エイジングケアに適した成分を含む中身を保護するにはどうしたらいいか、化粧品らしいプレミアム感と両立させたい、の2点でした。とにかく手に取ってみたくなる感じ、それをいかに引き出すか。それがデザイン上の課題でした。そこで遮光性のあるブラックを塗装したのですが、そのままでは無機的なイメージになってしまいました。何度も色だしの調整をして、有機的な生き生きとしたイメージに仕上がった、と思います。
 おかげさまで男性用化粧品の中で大ヒット。昨年の9月中旬の発売で2つ併せて、30万本の売れ行き。これからも思わず手に取ってみたくなるような製品を開発して、おとなの男の肌に、自信とゆとりを与えられるような、そんなブランドであり続けたいと思います。

ニベア花王株式会社
商品企画開発部リーダー
上野 靖弘 様

機能優秀賞 GRAND KIRIN

 本日は機能優秀賞というすばらしい賞をいただきありがとうございました。グランドキリンは昨年6月19日、セブンイレブン様と共同で発売しました商品です。
 開発にあたっては、ガラスびんの良さを、どうやってお客さまに伝えるかということを一生懸命考えました。それをどんな仕様で、どうデザインしたらいいのか。挫折の連続でした。それを支えてくれたのが、お客様の声だったのです。いちばん嬉しかったのが「ガラスびんで飲むとおいしいね」でした。それともう一つ「これ洗うのに洗いやすいね」でした。その2つの調査結果に、セブンイレブン様も賛同していただき、発売が出来ました。苦労はそれだけではありません、私どもも、このカタチのびんへの充填が初めてでした。しかし、そんな苦労の先には、お客さまに支持していただけたという、ありがたい結果が待っていました。これからもガラスびんの良さをいろんな形で提案していきたいと思っています。今日は、ありがとうございました。

麒麟麦酒株式会社
キリン株式会社
パッケージ技術研究所
小田 朝巳 様

環境優秀賞 灘の生一本(灘酒研究会)

 今日は晴れやかな席にお呼びいただき本当にありがとうございます。灘の生一本は、灘の8社が共同で作った統一ブランドのお酒です。平成23年に第一弾、第二弾を平成24年10月発売するにあたり、びんを揃えようというのが大きな課題でした。しかし、各社の製造ラインに合うびんを探すのが至難の業。やっと見つけたのが、黒のエコボトルでした。とにかく、リサイクル素材を使うので環境にやさしい。しかも、この黒ボトルはお酒の中味にもやさしいということがわかり、統一びんとして、使用することに決まりました。
 灘の生一本は、正しい情報発信をしてブランド価値を上げるということが、目的でもあります。販売に当たっては、まず各社がその特徴を灘酒研究会に提出します。それが本当に、その特徴があるのかどうかを審査。その上で認定されたものだけがラベルに表示できるということで、ブランド管理をしているのです。本日は、ありがとうございました。

沢の鶴株式会社
醸造部長
西向 賞雄 様

デザイン優秀賞 サントリーウイスキー 響17年意匠ボトル2012〈白鷺〉

 本日はデザイン優秀賞をいただき本当にありがとうございます。響は1989年に、サントリー90周年を記念して日本で最高のブレンデットウイスキーを作りたい、という思いから商品化されたものです。発売当時から日本にこだわってブランディングしてまいりました。
 今回、賞をいただいた白鷺のボトルは、4年前から海外の人に向けて、免税店用に開発されたものです。日本の美味しいウイスキーを日本の意匠をまとったボトルで持って帰っていただきたい、ということで新しくデザインしたものです。第一弾と第二弾の白鷺は、転写という方法で、手で貼って焼きつけて、というほとんど手作りの状態で作っていました。今回は、第三弾目になります。
 今回は、この24面体にきれいにプリントするという、最新のびんプリント技術でもって実現した商品です。とはいえ、相当苦労を重ねて出来上がった美しいボトルです。本日は、ありがとうございました。

サントリー酒類株式会社
サントリービジネスエキスパート株式会社
デザイン部 スペシャリスト
クリエイティブディレクター
牛島 志津子 様

リリー・フランキー賞 ぱりっうまギフト

 本日は栄えある賞をいただき、ありがとうございます。数ある賞の中で、多才な才能をお持ちになる、リリー・フランキーさんの賞をいただけたのは殊更に嬉しく思います。リリー・フランキーさんのお生まれは福岡県です。福岡と言えば、近くに有明海があり、日本有数ののり産地です。それも多少味方してくれたのかなと感じています。さて、受賞理由は、のりはやはりガラスびんに入れてほしい製品であるとご評価をいただきました。
 実は、のり業界にとっては。のりをガラスびんに入れるという事は、長い歴史があります。私が36年前に入社したころは、売上ランキングのベスト3は、必ずびん製品が占めていました。
 昨年、ギフト用の卓上サイズの詰め替え用のガラスびんに有明一番摘みの上質なのりを詰め、作られたのが本商品です。今後もガラスびんの防湿性、高級感、存在感をさらに見直して、進化していくガラスびんをご提案できるように、少しでもお役に立てればと強く感じています。

株式会社大森屋
取締役営業副本部長
菊本 幹茂 様

● リリー・フランキー氏
 20年ちょっと前ですか、あるのり会社さんの配送センターでアルバイトしておりました。のりの倉庫でバイトするというのは、これは軽いんじゃないかなと思うのですが、それが意外にびんの重さで、大変なのです。だから、佃煮の詰め合わせが来ると、重いのでなるべく持たないようにしたり(笑)。今回、この大森屋さんのびんを手にしたら、やっぱりのりはびんに入っているべきだ、とすぐさま思いました。無駄なく、最後まで使えるし、品質も落ちない。20年前の自分に、20年後ののりのびんは、もっと軽いと教えてあげたいですね。

富永美樹賞 ハウス スパイスシリーズ

 本日は受賞いただき誠にありがとうございます。そして光栄に思っています。この製品については、去年の2月に新発売しました。通常このようなスパイスは丸いびんに入っています。が、それを四角いびんに変えたということが、一番の特徴です。
 そして、この商品の設計思想3点。一点目は、丸から四角に変えたことによる、持ちやすさ、グリップが良くなる、ということ。二点目は振り出しやすさ。グリップが良くなることで、必然的に振り出しやすさが良くなるのです。三点目は収納面です。丸いびんですと、どうしてもスキマができる。それが大きく改善できたのが評価をいただいたポイントです。おかげさまで2月、パンにかける、ふりかけ製品も発売させていただき、去年の1.5倍とお売上となっております。
 とても光栄な賞をいただきました。私どもはこれからも、お客さまに支持される、商品を提供し続けるということをここに宣言いたしまして、わたしの挨拶に代えさせていただきます。

ハウス食品株式会社
マーケティング本部
香辛食品事業部
開発マネージャー
栗本 宜長 様

● 富永美樹氏
 おめでとうございます。私、アナウンサーの仕事をさせていただいてますが、日々夕食のこんだてに頭を悩ませている、主婦のひとりでもあります。そんな中、このハウス食品さんのスパイスが、きれいにお行儀よく、すきまなく、並んでいるのを見たときに、自宅の調味料棚を思い浮かべました。調味料のびんって、上が細くて、下が太くなっていますよね。ですから、きれいに並べようと思っても、きっちり並ばない。いつもきれいに並べられないかな、と思っていたのです。このびんを見たら、全部そろえて買いたいと。
 そうすれば、きれいに並びますもんね(笑)。容量も、大きすぎず小さすぎず。調味料は残ってしまうことがよくあるんです。この量だったら、ちょうどいいですね。今回、富永美樹賞という名前ですが、全国の主婦のみなさんの気持ちを代表して、この賞を贈らせていただきたいと思います。

日本ガラスびん協会特別賞 マジックインキ大型

 この度弊社の製品であります、マジックインキ大型が栄えある日本ガラスびん協会の協会特別賞という栄誉をいただきましたこと、心より御礼申し上げます。おかげさまでマジックインキ大型は今年4月に、発売60周年を迎えることができました。昭和28年、1953年の発売以来、およそ10億本を製造、販売してまいりました。
 溶剤に溶ける染料インキを入れる容器としまして、また何よりも、環境にやさしい素材として、ガラスびんを採用したことは、誠にラッキーなことであったと思います。そして当時にはなかった、簡便な筆記用具としまして、掌になじむずんぐり型のスタイルと共に、どんなものにも良く書けるというキャッチフレーズで魔法のインキとして、長年に渡って多くの人たちに、愛され使われてまいりました。これからもマーキングペンの原型として、末永くご愛顧をいただきたいと念願しております。本日は、誠にありがとうございました。

寺西化学工業株式会社
代表取締役社長
寺西 寿三 様

日本ガラスびん協会特別賞 モロゾフカスタードプリン

 本日は、協会特別賞を頂戴しまして、大変ありがとうございます。当社のカスタードプリンは、1962年に発売されたのが最初であります。当初は陶器を利用しておりまして、品質を安定させるのには苦労しました。1973年にガラス容器に変更して、現在に至っております。当初は中身が180g、外身が188gと、重たいプリンということで、苦情がありました。1998年に20%の軽量化。昨年2012年から、さらに軽量化ということで、140gに変更いたしました。
 ガラス素材にこだわっている要素は4つあります。まず第一に熱伝導率が良いということです。二つ目はガラス容器の表面のざらつき。これがカラメルソースの浮きを抑えるということ。三番目は、容器を触った時に、冷たく感じるということ。味覚でも触感でもおいしく感じていただける、という点です。四番目は、リサイクルができるエコ容器であるという点です。
 誠に簡単ですが御礼のご挨拶に代えさせていただきます。

モロゾフ株式会社
代表取締役会長
川喜多 佑一 様

審査委員からの祝辞

審査委員長 リリー・フランキー
 受賞された皆さま、おめでとうございました。4年続けて審査員をやらせていただいて、そろそろ恋愛ですと倦怠期間に入るころなんでしょうが、このガラスびんアワードに関しては、毎年進化したものを見せていただいていて、まったく飽きません。軽量化、デザイン面、環境面など、この一年の発展はすごいものがありましたね。
 最優秀賞のニベアさんの商品は、ガラス容器になったことで男の人が使いやすくなり、しかも持ちやすく、とても軽い。最初はガラスじゃないかと思ったほどです。サントリーさんに関しては、毎年何かしらの賞をいただいてらっしゃるので、もう今年はいいだろうと思いつつ、今年も想像を超えたデザインと印刷技術で驚かせてくれました。
 灘の生一本は、一社だけではなく地域の酒造さんが声をかけあって環境に対して取り組んでこられたという、すばらしい活動に敬意を表したいと思います。
 もっと、ほかの商品のこともお話したいのですが、長くなりますのでこれくらいで。また来年、消費者の方たち、そして我々審査員がドキドキするような商品を楽しみにしています。

審査委員 富永 美樹
 私は、もとからガラスのびんがとても好きなんです。気に入ったびんがあると、必ず洗って台所の流しの下に入れておきます。お客さんが来ると、そのびんに水を入れてお出ししたり、たとえばプリンのびんだったら、オードブルを入れて出したりとか。今回審査をさせていただいて、感じたことがいくつかあります。小学生の頃から使っているこのマジック、びんだったんだ、とか。プリンはやっぱり、いただくにしても、自分で買うにしても、ガラスびんに入ってる方が、美味しそうだし、高級感があるし、と改めて思ったり。本当に驚きの連続でした。今まではキレイという観点だけで、ガラスびんを見ていたのですが、これからは機能性や、環境性にも、注目をしてもっと見ていきたいと思います。
 今回選ばれなかったものも素晴らしいガラスびんがたくさんありました。もう選びきれないと思うぐらい、迷ってしまいました。受賞された皆さま、本当におめでとうございました。

合同懇親会

 ガラスびんアワード 授賞式に引き続き、合同懇親会が開催されました。冒頭 日本ガラスびん協会 会長の清水泰行(東洋ガラス株式会社 代表取締役社長)より挨拶ののち、経済産業省 商務情報政策局 日用品室長の多田俊樹様からの挨拶があり、さらに当協会 副会長の大西貞明(磯矢硝子工業株式会社 取締役副社長)より乾杯の発声がありました。今回は、日本ガラスびん協会が今年からスタートさせました「びんむすめプロジェクト」や、ガラスびんの良さを学び、伝えていく「ガラスびん応援隊」の紹介といった新たな取り組みが発表されました。

中締め

日本ガラスびん協会理事 石塚硝子株式会社 代表取締役社長 山中昭廣
 表彰された各社の皆さまおめでとうございました。そして、我々ガラスびん協会に対して、エールを頂きまして、ありがとうございます。我々、その言葉を励みに、これからも切磋琢磨したいと、思っています。
 以前、さる方より、この会は、黒いスーツばかりなので、もっと華をそえるようにと叱咤激励をいただいたことを思い出しました。今回は、富永美樹さんという大輪の花、そして、びんむすめの御嬢さんがたにご出席いただいて、またブロガーの皆さんにも、ご出席いただき、この会を盛り上げていただきました。
 来年は、第10回という節目でございます。よりよいアワードにしてきたいと思っております。本日は誠にありがとうございました。