第11回 授賞式レポート

 2015年3月19日、銀行倶楽部にて、「ガラスびんアワード2014」授賞式が行われました。その模様をレポートします。

石塚久継会長からの開会の挨拶

 お陰をもちまして「ガラスびんアワード」も今回で11回目を迎えました。回を重ねるごとに多くの皆様方のご注目をいただく機会へと成長させていただくことができました。今ではガラスびんアワードへの出展を目指し、商品開発をされるなど嬉しいお声や反応を頂戴するに至りました。

 さて、6年前より審査委員長をお願いしております、リリー・フランキーさんからは、毎回、厳しさの中にも配慮とバランスに富んだ絶妙なご審査をいただき、今年も我々にとって新たな気づきと驚きを与えてくださいました。

 また、今回で3回目の審査委員をお願いしております富永美樹さんからは、女性ならではの感性や主婦目線に加え、日常のガラスびん使用体験などを活かされた審査でガラスびんの創意と工夫へのヒントを与えていただきました。

 このようにお二人の厳正な審査の結果、6点の賞と日本ガラスびん協会特別賞2点が決定いたしました。

 当協会といたしましては、これからも「ガラスびんアワード」を通じて、ガラス素材の持つ特性や優位性を訴えながら、多くの皆様の感性に呼びかけるような製品作りを通し、暮らしに「彩りと快適さ」を、心や体に「癒しと豊かさ」を与える、そのような容器を目指し、これからも日々努力をしてまいりますので、皆様には引き続き格別のご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の開会のご挨拶とさせていただきます。

受賞作品一覧

最優秀賞 ヌーベル月桂冠 純米吟醸

 月桂冠は寛永14年、1637年に創業、今年で378年の歴史を誇る会社です。そしてヌーベル月桂冠は、今から14年前の2001年に誕生しました。これは「古いものを基にした新しさ」を意味するフランス語「Nouvelle(ヌーベル)」から名づけました。今回賞をいただいた商品は、そのびんをさらに進化させたものです。月桂冠の伝統とそれを育んだ日本の文化、江戸時代の流行色である璃寛茶(りかんちゃ)を使用し、茶磁器徳利の持つ柔らかな美しいカタチをガラスで作ることで表現しようと考えました。これからも安心安全はもとより、環境問題や何よりガラスびんで表現できる造形美を求めて新しい商品を開発していきたいと思います。

月桂冠株式会社
葛西 正昭様

機能優秀賞 旅する丸干し

 今回、賞をいただきました「旅する丸干しシリーズ」は、一度干物にした丸干しをオイル漬けにしたものです。弊社の商品は袋ものが多いのですが、今回初めてびんを使って作ったものがこの商品です。現代は丸干しを食べる方が減ってきています。どうしたら特に若い人に食べてもらえるのかを研究しました。そこで、びんを使って品よく見せたらどうだろうということで、このような商品になりました。今後ともガラスびんの特性を生かした商品を出していきたいと思っています。

株式会社下園薩男商店
下園 正博様

環境優秀賞 モンスターエナジーM3

 商品自体は、環境とはあまり関係のないイメージなのですが、このグリーンのボトルの開発にあたってはびんメーカーの方には、並々ならないご苦労とご尽力をいただきました その甲斐あって何とか日本市場で発売することができました。この場を借りて、あらためて感謝申し上げます。モンスターエナジーは日本に上陸してから3年が経ちました。ようやく日本の皆様にも浸透してきました。今後さらなる発展を続けていきたいと思います。

モンスターエナジージャパン合同会社
松本 充弘様

デザイン優秀賞 コンポート丸ごと温州みかん

 若者のフルーツ離れを何とかしたい、生産量日本一を誇る和歌山県の温州みかんを、もっと全国のみなさんに召し上がっていただきたい、そんな思いで開発したのが「まるごと温州みかん」です。どうしたら商品の差別化が図れるだろうと商品開発している中でこのびんと出会いました。このびんなら、食欲をそそるみかんのオレンジ色をそのまま活用でき、たくさんのみかんを縦に並べることで、インパクト、高級感を出すことができます。これからも安心とおいしさ、そして遊び心のある商品を開発していきたいと思います。

株式会社ふみこ農園
川端 晃子様

リリー・フランキー賞 <月桂冠>金賞受賞酒 酒造年度別 飲み比べセット

 最優秀賞とダブル受賞できたことを大変感動しております。この商品はギフトとして開発したものです。ギフトとは何かということで、スタッフ全員で考えて開発しました。最終的には、やはり喜ばれるものであること、非日常的なもので、もらったら必ず感動できるもの、というところに行き着きました。視覚に訴える時に感動させたい、ひと目見ただけで、ガラスを使ってこんなことができるのかという驚きを与えたい。これからも、インパクトのある商品を開発していきたいと思います。

月桂冠株式会社
早川 和宏様

富永美樹賞 コスメデコルテ ホワイトロジスト メラノクローザー

 この商品は、発売して10年を迎えるコーセーでは大切な商品です。美白の化粧品では珍しい黒のシックな色合いと多面体の個性的なデザインは、鏡台においても違和感のないデザインを意識して開発しました。最近の化粧品は樹脂の方に移行しているのですが、やはりガラスの持つ特性である、質感、触感を大切にしていきたい。これからも商品を手に取った瞬間から女性の気持ちを高めてくれる商品を作っていきたいと思います。

株式会社コーセー
森田 利江子様

日本ガラスびん協会特別賞 澄みわたる梅酒

 この商品は2013年に商品開発がスタートしたのですが、予定では発売までの時間はわずか6ヶ月しかありませんでした。その特徴である梅酒をさらに蒸留したすっきりとした味わいは、梅酒から一度離れていった人たちもきっと帰ってきてくれるに違いないと確信できる味でした。ですから、もっと時間をかけて商品開発をしたいと上司を説得して開発に長い時間をかけることができました。満を持して、2014年の4月に発売。一時は生産が追いつかず休売になるほどの大人気商品となりました。何より、ガラスびんの魅力は、お店に並んでいる姿が光を通して人を惹きつける力があるということをあらためて実感いたしました。

サントリースピリッツ株式会社
サントリービジネスエキスパート株式会社
牛島 志津子様

日本ガラスびん協会特別賞 スーパーニッカ

 このスーパーニッカという商品は1962年に発売されました。前年に創業者の奥様がお亡くなりになりその悲しみから立ち直る原動力となり、奥様への思いを込めて作ったのがこのスーパーニッカです。ウイスキーは出来上がるまで長い時間がかかります。それは娘が大きくなって嫁に行くのと同じだから、いい着物を着せて出してあげたい。ということで、発売当初、その当時でも珍しい手吹きのボトルに詰めて発売しました。現在のボトルは当時から5代目になります。これからも受賞をきっかけに、改めてウイスキーのボトルの多様性、芸術性を認識して、これからもより多くの皆様に、喜んでいただけるような商品を作り続けていきたいと思います。

ニッカウヰスキー株式会社
中川 圭一様

審査委員からの祝辞

審査委員長 リリー・フランキー
 例えば同じ種類のお茶でも、ガラスの器で出してくれるお店の方が気持ちよく味わえるように、ガラスびんという存在は、人の気持ちをやさしく包んでくれるように思います。審査をするようになって6年が経ちました。当初は、ガラスびんの軽量化や環境への配慮といった機能性や、技術力を強く感じていましたが、今年は特に、これからのガラスびんの可能性や、特にその美しさを感じる商品が多く見受けられました。特に最優秀賞は、ガラスびんの未来へとつながる商品と言えるのではないでしょうか。また、来年皆様にお会いできることを楽しみしています。本日はどうもありがとうございました。

審査委員 富永 美樹
 今回で審査委員を務めさせていただくのが3回目になります。これまでガラスびん協会の方には、びんについてたくさんのことを教えていただき、ガラスびんに対しての知識がちょっとずつ養われてきました。それでも、触った瞬間、なんて開けやすいんだろうと感激させられたり、中身の美しさをびんが引き立たせていたり、今回も新たなびんの可能性を感じさせていただきました。最優秀賞の日本酒のびんも、下があんなにどっしりしているのに、どうしたら上があんなに細くできるのかと驚かされ、こんな素敵なびんに入っている日本酒ならぜひとも飲んでみたい、と思いました。
 私ごとですが、一年位前から週末は山梨県の標高1000m位の所で暮らしています。地元の人と一緒にお味噌を作ったり、最近は発酵食品に興味を持っていて勉強しています。米麹とお水とお米で、甘酒も自作です。それをびんに入れてフタをして、冷蔵庫へ。びんのいいところは、煮沸消毒ができる、安心して保存ができる、そして中身が見えること。だんだん発酵が進むのが、日々冷蔵庫を開ける度にわかるんです。やはりびんって素晴らしいんだなと感じる日々を送っています。

第11回ガラスびんアワード2014・合同懇親会

 ガラスびんアワード授賞式に引き続き、合同懇親会が開催されました。冒頭、経済産業省商務情報政策局 日用品室長兼伝統的工芸品産業室長の髙橋政義様のご挨拶ののち、当協会副会長 神﨑 惠(第一硝子株式会社 代表取締役社長)より乾杯の発声とともに合同懇親会が開宴となりました。
 今年も昨年に引き続き、「びんむすめプロジェクト」や、ガラスびんの良さを伝えてくださる「ガラスびん応援隊」の紹介もあり、お祝いムードに包まれた大変賑やかな合同懇親会となりました。

中締め

日本ガラスびん協会理事 山村 幸治(日本山村硝子株式会社 代表取締役社長)
 私は第1回のガラスびんアワードから参加させていただいているのですが、回を重ねるごとに洗練されてきました。当初は審査員の方も男性だけだったのですが、途中から女性の方にも加わっていただき、とても華やかになりました。
 そして今回は、審査員のお二人や、受賞された方々のコメントをお聞きするたびに、これまで自分たちが気づかなかったガラスびんの魅力がたくさんあり、たいへん有意義なひと時でした。ガラスびんを作っているメーカーとしてこれからますます、その魅力を訴え、皆様に愛されるガラスびんを作っていきたいと思います。ありがとうございました。