第19回 授賞式レポート

2023年3月17日、如水会館にて、「第19回ガラスびんアワード 2023」授賞式が行われました。その模様をお伝えします。

山村 幸治会長より開会の挨拶

日本ガラスびん協会の会長を務めております、山村(日本山村硝子株式会社 代表取締役社長執行役員)でございます。本日はご多忙のところ、受賞関係会社の皆さま、マスコミの方々、審査の労をとっていただきましたリリー・フランキーさん、富永美樹さん、協会の会員各社の皆さま、多数ご参集いただきまして誠にありがとうございます。本日は120名弱の方にご参加いただきました。昨年に比べるとほぼ倍ですが、コロナ前に比べますと半分の規模です。だんだん懇親会が増えてきまして、世間的には緩んできているなとは思いますが、そこはガラスびんでございますから、少し“硬め”にさせていただきました。
今回のガラスびんアワードは、エントリー数が全208エントリー(251本)となっております。エントリー応募方式は、通年エントリーとさせていただき、製品の中身を作っている会社さんがインターネットから直接エントリーできるような形にもいたしました。

コロナ禍のここ数年、少し新商品が減っているのですが、こういった努力もございましてほぼ昨年と同数のエントリーが確保できております。

最近は、SDGsにも非常に関心が高まっており、今回の出展商品にもたくさんございました。余剰原料を活用してフードロスを削減するとか、製造過程で排出するCO2を実質ゼロにするとか、キャップやラベルを取り除きやすくして、リサイクルしやすくするとか。そういった環境に配慮したガラスびんが、非常にエシカルなパッケージであることを改めて認識する商品が増えております。
これらのエントリーの中からさる1月31日、3年ぶりに一般審査会を行いました。
本日も会場の中に一般審査に参加していただいた審査員の方々がいらっしゃっております。

その後、2月1日に最終審査会を開催し、リリー・フランキー審査委員長と富永美樹審査委員により、受賞商品が決定しました。
これからそれぞれの受賞商品をご紹介させていただきます。着眼点の素晴らしさと発想の豊かさを感じていただけるんじゃないかなと思っております。最後になりますが、本日ご参加いただきました皆さま方のご健勝と、日本ガラスびん協会がますます発展するように、ご支援賜りますことを心より祈念申し上げて、ご挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。

受賞企業のスピーチ

最優秀賞

 

GOTOGIN

 五島つばき蒸溜所は、クラフトジン専門の蒸留所です。キリンビールを飛び出して、五島に移住し、昨年12月に3人で開業しました。五島は「祈りの島」や「光の島」などと言われますが、我々が五島に来て感じた第一印象は「慈しの島」でした。慈しとは、人や自然を慈しみ、満たされる気持ちのことです。
今回賞をいただきました商品を我々は「つぼみボトル」と呼んでいるのですが、これは「慈し」をコンセプトに、椿の花びらでアロマを包む姿を表現しています。ガラスびんのエメラルドグリーンの色は、蒸溜所の目の前にある海を特色で再現しました。打ち寄せる波で小石が転がる、ザザザーッという音が鳴り続ける美しい海岸です。ぜひ五島の砂浜を見に来ていただければと思います。

株式会社五島つばき蒸溜所
門田クニヒコ様

優秀賞

 

きょうの日本酒

私たちは「日本酒を身近にしたい」という思いで、1年少し前に会社を立ち上げました。
容器をびんにしようと考えたのは、日本酒を一番美味しくお届けでき、日本酒を楽しむときの「ガラスびんで注ぎ合う体験」を大切にしているからです。現在は全国で18の酒蔵さんと20を超える銘柄のお取引をしております。小さな一合びんは“フロストびん”ということもあって、お酒の色味がすごくきれいです。普段あまり気づかない色の差も、感じていただけるかと思います。また、外から読み取りづらいお酒の表情や味わいは、特徴を記した紙筒を首に巻くことで分かるように意識しました。どれも本当に美味しいので、手に取っていただけると嬉しいです。

きょうの日本酒株式会社
濱道 佐和子様

優秀賞

 

刀剣乱舞ONLINE 日本酒刀剣男士 山姥切国広

弊社はアニメ、ゲーム、特撮などのライセンス商品を企画する会社で、近年はキャラクターとコラボしたお酒の企画・販売にも力を入れております。
今回優秀賞をいただいた商品「刀剣乱舞ONLINE 日本酒刀剣男士 山姥切国広」は、PCブラウザ・スマホアプリゲーム「刀剣乱舞ONLINE」に登場するキャラクターの刀剣男士「山姥切国広」をイメージしデザインした日本酒です。
びんの限られたスペースにキャラクターのイメージを落とし込む作業の中で、特に力を入れたグラデーションを評価していただき本当に嬉しいです。

東洋ガラス様、第一酒造様をはじめこの企画の実現にご尽力いただいた多くの協力会社様、「刀剣乱舞ONLINE」の版権元で、許諾・監修に携わってくださったコンテライド様に感謝するとともに、これを励みにこれからもより良い商品づくりに努めてまいります。

株式会社ウララキューブ
杉浦 大様

機能賞

 

アルカンヴィーニュシャルドネ 2021

私どもは長野県の東御市にございますワイナリーです。代表はエッセイストで画家の玉村豊男と申します。玉村は30年ほど前に長野に移り住んでぶどう栽培を始め、20年ほど前からワイン製造も始めました。当時は市内で一軒でしたが、今では千曲川沿いにどんどん増え「千曲川ワインバレー」と呼ばれています。
この商品は、スクリューキャップを開けた後の金属を手で簡単に取れて、リサイクルしやすい点を評価いただいたのだと思います。できるだけ環境にやさしいワインを作りたいと願っておりますので、こういったグリーンキャップの普及やリサイクル・リユースが、ワインの世界でも進んでいけばいいなと思っています。

日本ワイン農業研究所株式会社「アルカンヴィーニュ」
小西 超様

審査員賞

 

キユーピー マヨネーズ・スヌーピー(瓶)

1925年に弊社が日本で初めて発売したマヨネーズが、びんマヨネーズです。現在では、ポリボトル容器が主流となっておりますが、びんマヨネーズの美味しさや情緒感、安心感などは変わらず評価され続け、長年愛される商品として、現在も販売を続けております。
1995年からは、今回受賞させていただいたようなキャラクターを施したデザインのガラスびん入り商品も発売しております。使用後に小物入れなどとしても使えるところから、幅広い方々にお使いいただいております。弊社の原点ともいえるびんマヨネーズを通して、これからも食卓を楽しく明るくして参りたいと思います。この度はありがとうございました。

キユーピー株式会社
布村 真理様

審査員賞

 

「ブレンディ®」 瓶80g
「ちょっと贅沢な珈琲店®」 スペシャル・ブレンド瓶80g

私たちは「いつでも、ふぅ。AGF」というコーポレートスローガンのもと、コーヒーを中心とした嗜好飲料を通じて、お客様の心の健康に貢献するというミッションを持っております。コロナ禍をはじめ暗いニュースが多く、閉塞感漂う世の中において、目の前のコーヒーだけではなく、デザインを通じてお客様に安らぎやくつろぎをお届けしたい。そのような思いからイラストレーターのCOFFEE BOYさんと開発しました。ガラスびんにしかない美粧性、保存性、品質感といった価値をこれからもどんどん追求して、一人でも多くのお客様に「ふぅ。」をお届けしていきたいと思っております。本日はありがとうございました。

味の素AGF株式会社
鈴木 空太様

ガラスびん協会賞

 

江戸むらさき ごはんですよ!

「ごはんですよ!」は1973年に発売されまして、今年は2023年ですからちょうど50年ですね。非常に良い記念になりました。発売当時はいろいろな大型商品が発売されていて、5年前の1968年には「味付メンマ」「味付榨菜(ザーサイ)」。2年後の1975年には「キムチの素」が発売されています。真似た商品や類似性のあるものではなく、いつも日本の食卓になかった独自性の高いものを出すことができていました。そういった意味では、食卓に定着したことを非常に嬉しく思います。「ごはんですよ!」は、とろりとした食感で、今までにない佃煮を提供できたのかなと思っております。これからも、どうぞよろしくお願いします。

株式会社桃屋
山本 秀則様

ガラスびん協会賞

 

グレイスメイトポピー

「くるまにポピー♪」の徳永でございます。ポピーは、先代社長が化粧品売り場に何度も足を運び、化粧品や香水のボトルを参考にして、今のデザインを生み出しました。車に積むので「安定感があり、どこか愛らしく、ガラスびんならではの高級感を併せ持った温もりのあるボトルを」という思いが詰め込まれています。
最近はリバイバルして、特にヨーロッパのトラックドライバーの間で大変な人気を博し、生産が追いつかないという状況もありました。グレイスメイトポピーは、今年で発売45周年を迎えます。これもポピー誕生当初より、一緒に歩んで頂いた大阪硝子様、第一硝子様、そして日頃の皆様のご愛顧のおかげと、深く感謝申し上げます。

株式会社ダイヤケミカル
徳永 義隆様

審査委員からの祝辞

審査委員 富永美樹

毎年、私はこの表彰式に来るのをとても楽しみにしています。自分たちが選んだこの素敵なガラスびんに入った商品たちは、どんな人たちがどんな場所で、どんな思いを込めて作っているのかを、聞かせていただくことができるからです。現在、私は東京でアナウンサーの仕事をしながら、山梨県の富士山の北麓エリアで2拠点生活をしています。その中で、地域をどうやったら盛り上げられるかを考えることもあります。大きな会社を飛び出して、五島の美しい入江で好きなお酒づくりを始められた、五島つばき蒸溜所さんのお話には通じるものがありましたし、そんな人たちの思いの詰まった商品を選ぶことができたという喜びも感じました。

私自身も、発酵食品の資格を取って、商品をプロデュースする機会があるのですが、一生懸命考えて思いを込めたものをどんな容器に入れるかというのは、非常に大きい部分です。大切なものは、やっぱりガラスのびんに入れたい。みなさんには遠く及ばないですが、作る立場になってみたら、ガラスびんの素晴らしさをあらためて感じるようになりました。
日本や世界で、情熱を込めて商品を作っている人たちがたくさんいると思います。そういった人たちに、ガラスびんの素晴らしさをお伝えし、より多くの人たちが商品をガラスびんに詰めたいと思っていただけるように、これからもご協力をしていきたいと思っています。

審査委員長 リリー・フランキー

今年の受賞商品の中には、起業されたばかりの若い会社や、日本を代表する老舗の会社が選出されていて、とても良い傾向だなと感じました。それぞれの企業が、自分たちにできること、そしてガラスびんの役割を新しく解釈していただければ良いなと思います。
年々、ガラスびんアワードには世相が反映されるようになり、コロナや戦争があったり景気が悪かったりとなってくると、やっぱり質実なデザインが必然的に増えてきます。そんな中、なかなか思い切ったことをされたなと思ったのが、五島つばき蒸溜所さん。若い人たちが色々とチャレンジされることはとても良いことだと思います。

そして、リリー・フランキー賞のキユーピーさんのマヨネーズ。今の主流はポリかもしれませんが、最初にガラスびんで登場して以来、発売し続けてくれていて、やっぱりガラスびんに入っているほうが格段と安全性があって美味しく見えます。2020年に誕生70周年を迎えたピーナッツとのコラボ商品も素晴らしい出来です。私もマヨネーズはびんで買っているので、発売し続けてくださることへのリスペクトを込めました。

来年はガラスびんアワード20周年になりますので、またたくさんの素晴らしい商品を楽しみにしております。みなさん、おめでとうございます。