第21回 授賞式レポート

2025年3月18日、如水会館にて、「第21回ガラスびんアワード2025」授賞式と、合同懇親会が行われました。その模様をお伝えします。

野口信吾会長より開会の挨拶

皆さん、こんばんは。 ただいまご紹介いただきました、日本ガラスびん協会の会長を仰せつかっております、東洋ガラスの野口(東洋ガラス株式会社 代表取締役社長)です。

本日は大変お忙しい中、ご出席をいただきました受賞関係会社の皆様、ご来賓の皆様、プレス関係の皆様、そして今回最終審査員を務めていただきましたリリー・フランキーさん、富永美樹さん、今年度から新たに審査員をお願いいたしました未来リナさんにはこの場をお借りしまして心より厚く御礼申し上げます。

ここに第21回ガラスびんアワード受賞式を開催できましたことは、ひとえに日ごろよりお世話になっております皆様のご協力と、ご支援の賜物と協会を代表いたしまして、心より感謝申し上げます。

今年の受賞式は受賞会社の皆様、会員の皆様に加え、久しぶりにご来賓並びに関係団体の方々をお招きし、143名のご出席をいただきましたことをまずもってご報告させていただきます。今回のガラスびんアワードのエントリー数は、143エントリー、210本です。

エントリー商品の特徴としましては、世相を反映して飾り気なく、誠実なデザインが多く見られました。受賞商品においては、ガラスびん自体の美しさが際立ち、アフターユースの可能性も感じられました。ガラスびんは、中身を引き立てるだけでなく、人々の心に潤いを与え、さらにSDGsの達成にも貢献できる優れた容器です。「重くて割れるのがガラスです。でもそれは、使う方が気をつければいいだけのこと」。もちろん、安易に言われてしまうのはよくありませんが、今の言葉はガラス製品を愛して使ってくれている、あるユーザーの言葉です。

ガラスびんアワードを通じて、魅力あふれるガラスびんの商品を多くの方々、特に若い世代に知っていただき、未来に向けてガラスびんの理解が広がることを期待します。このようなエントリー商品の中から、去る1月28日に最終審査会が開催され、6点の賞と日本ガラスびん協会特別賞2点が決定しました。これから開催する受賞式におきまして、受賞商品を紹介していきたいと思いますので、ぜひ楽しみにしていてください。それと、今日は受賞式終了後には合同懇親会の開催もございます。

本日は、東京ドームでドジャース対カブスのメジャーリーグ開幕戦が行われます。日テレの放送開始は6時15分ですが、試合開始は19時10分になりますので、どうか、お時間を許す限りお付き合いいただけますようお願いいたします。

これからも会員各位と、業界のさらなる発展を目指して努力を重ねてまいります。皆さまには引き続き格別のご支援を賜りますようお願い申し上げ、私の開会の挨拶とさせていただきます。本日は誠におめでとうございます。

来賓代表より挨拶

ただいまご紹介に預かりました、経済産業省製造産業局生活製品課で、日用品の担当を拝命しております伊藤と申します。大変僭越ながら一言ご挨拶を申し上げます。まず本日は、第21回ガラスびんアワード2025にお招きいただきまして大変ありがとうございます。そして何より本日受賞をされる企業の皆さま、関係者の皆さま、大変おめでとうございます。

心よりお祝い申し上げます。そしてこのアワードにあたり、ご尽力をいただきました審査員の皆さま、そして事務局の皆さまにも心よりお礼を申し上げます。

少しだけガラスのことをお話しさせていただければと思います。 このような機会を頂戴するにあたって、私もガラス商品を含めた日用品を担当している身として、少しガラス商品のことを振り返らせていただきました。歴史をひも解きますと、紀元前からガラスというものが使われていたと言われております。そのような長い歴史があるというのは、やはりガラスの持つ特性、素晴らしさがあるからこそ、このように長く人の生活に密着した素材として使われていることに他ならないと思っております。また、ガラスが生み出す重厚感や高級感、そして美しいカットを作ることができるデザイン性、かつ熱いものや冷たいものも入れることができる実用性が、皆様の日常に非常にマッチしているのではないかとも思っております。 実際、本日賞を取られた作品を拝見させていただきましても、入っているものは液体ですけれども、お酒からサイダー、油まで、1種類ではなくたくさんのものを入れることができる。そしてその中身をより際立たせることができるというのが、ガラスの素晴らしさではないかと感じております。

そして先ほどの会長からのご挨拶でもありましたけれども、ガラスびん商品と言いますと、今日叫ばれているSDGsや、リサイクルに非常に適した素材であるということも、最近の時勢を踏まえた大変重要な特徴であると感じております。完璧にリサイクルをすると、永久に使い続けることができるといわれ、現在もこのようなガラスびん商品の約7割は、再生されたガラスが材料に使われていると伺っております。このガラスびんの日常性や高級感と合わせ、このようなSDGs、再生可能ということも含めて、ガラス商品びんがさらに皆さまの日常に潤いなり、美しさを与えてくれることをこれからも期待しております。

最後になりますが、改めて本日受賞される皆さまにお祝いを申し上げるとともに、アワードを運営していただいている皆さまにもお礼を申し上げて、私のご挨拶とさせていただきます。本日は大変おめでとうございます。

経済産業省製造産業局生活製品課企画官
伊藤 由美様

受賞企業のスピーチ

最優秀賞

 
雨降///あふり 酒界先導師

吉川醸造は、神奈川県の伊勢原市にある小さな酒蔵で、1912年の創業です。ここ4年、雨が降ると書いて「あふり」という銘柄で、蔵の再建事業を行っています。このボトルにつきましては、我々のお客さんの中で「一升びんって、お得なんだけど買えないんだよね、買わないんだよね」という方々が何名かいらして、何でかなと。お酒を飲まれる方はよくご承知だと思うんですが、一升びんは基本的に4合びんに対して2.5倍の量でありながら、お金は基本的に2倍なので、けっこうお得な商品なのに買いづらい。なぜかというと「まず冷蔵庫に入れられない」。立てて入れても入れづらいし、横にするとびんの形状的にときどき漏れちゃうということを言われて。じゃあそれを我々が作ってみようという、かなり実用的なところから入った話なんです。それも、ペットボトルですと、2リットルが普通に冷蔵庫のポケットに収まりますから、1.8リットルのお酒をガラスびんで収めようと思えば収まるだろうという目論見もありまして、開発を始めた次第です。

ペットボトルとは違う直線的な光や、散乱する重厚な光を特性として出したいというところもあって、イメージとしては冷蔵庫の中でキラキラ光っていて、お酒好きが夜な夜な冷蔵庫を開けるのを楽しみに家に帰ってくるという情景を思い浮かべながら始めました。もともと私は建築の設計を長いことやっておりまして、ここの近くでいうと虎ノ門ヒルズの設計をずっとやっていた人間なんです。建材のガラスでも大量に扱うとガラスの特性の良さがあり、個体でありながら液体であるというロマンもあって、ずっと愛情を感じていました。

ボトルは建築用のCADを使って私がモデリングを手がけ、日本精工硝子さんに現実のものにしていただきました。工場にも伺って、透明度を高める秘密などを教えていただき、ガラスびんがこんなに繊細に作られていたのかと、ますますガラスに対する愛情が深まったのではないかと感謝しております。お酒はSAKE BASEさんのオリジナルラベル、お酒自体は伊勢原産の食米を使い、室町時代に発祥した「水酛(みずもと)」という作り方でつくった桃色にごり酒です。実は語るところが多いお酒ですが、できるだけ言葉にしないでやってみようと、何も書いていないに近いラベルになったんですけれども、おかげさまで今日このような形で皆さんにご紹介できたことで良かったなと思っております。どうもありがとうございました。

吉川醸造株式会社
合頭 義理 様

優秀賞

 
朝日酒造株式会社 越路蒸留所
KUBOTA GIN

朝日酒造は、1830年から日本酒を生産してまいりました。代表銘柄は「久保田」「朝日山」でございます。このたび将来に向けてのチャレンジとして、日本酒ではなく上流酒の久保田ジンを作りました。コンセプトは「自然と私たちをつなげ直す」ジンです。久しく保ってきた田、久保田。それと人間と自然が共生する里山の魅力をびんに詰めることを目指しました。CLOUD8様がデザインし、酒井硝子様が実現してくださったボトルは、水面の揺らめきや森の木の表情などを抽象的に表現しています。そして、レンズ効果でびん全体に広がるバックラベルが、ボトルのテクスチャーを通して飲む人の心の中の風景へとつながっていきます。狙い通り見て美しく、思わず手に取りたくなるような素敵なボトルになったと自負しております。ジンそのものも、品質本位という当社のマインドに沿った良いものに仕上がりました。

ガラスびんが持つ温かさや柔らかさは、遠い日の記憶や懐かしさとつながっています。私たちの里山への思いが形になったボトル、それを評価いただいたことへの感謝をもって、受賞の挨拶に代えさせていただきます。

朝日酒造株式会社
牧野 恭 様

優秀賞

 
大東製糖種子島株式会社
ARCABUZ Rhum Japonais BLANC

弊社代表の木村から、挨拶の言葉を預かっておりますので、代読させていただきます。

「本日はこのような素晴らしい賞をいただき、大変光栄に思っております。私どもは創業72年の千葉の砂糖メーカーで、2018年より種ヶ島で砂糖きびの栽培を開始し、2023年からその一番しぼりのジュースを使った、アグリコールラム アーキバスを製造しています。さとうきびは刈り取るとすぐに劣化が始まるため、収穫は蒸留開始の24時間前までとし、節や虫食い部分を手作業で取り除くなど、丁寧に仕上げた自慢のクラフトラム酒です。そんな思いを込めて作った商品ですので、容器にも相当の時間をかけています。火縄銃を想起させるボトルでありながら、戦争を連想させないという難題に挑み、本デザインが生まれました。その過程では日本山村硝子様、山村製壜所様、浅井硝子様、Ken Okuyama Designの皆様に多大なるお力添えをいただきました。昨年、イギリスで開催されたワールドラムアワーズでは、ガラスびんデザインの部門で最高賞を受賞。ガラスびんの力もあって販路が海外に広がり、日本のクラフトラムの魅力を世界に伝えられることを、大変嬉しく思っております」

大東製糖種子島株式会社
浅尾 康太 様

優秀賞

 

木村飲料株式会社
東海道サイダー

木村飲料は私の祖父が始めまして、75年ほど作り続けております。昔はラムネサイダーを中心にリターナブルびんを使っておりましたが、現在では今回の受賞作品と同じように、ほとんどワンウェイボトルを使っています。静岡でラムネサイダーを作っているのは、40社ほどあったのが、ついにうち一社となってしまいました。受賞させていただいた東海道サイダーは、20年前に東海道五十三次サイダーを出そうとして登録商標までもらったものです。当時は、各地と協力したら面白いなと思っていましたがなかなか実現せず、最終的に静岡県の宿場町を描いた(金谷宿、丸子宿を除く)20宿を1ケースで楽しんでいただけるように作りました。これからも新しいアイデアを駆使して、新商品を作りたいと思います。

木村飲料株式会社
木村 英文 様

審査員賞

 
森永製菓株式会社
至福の甘酒

森永製菓は製菓会社なので、ハイチュウやチョコモナカジャンボなど、お菓子の商品がいっぱいあるのですが、甘酒を販売しているってご存知でしたか。1969年から発売しているロングセラーブランドで、甘酒業界ではトップシェアの商品なんです。昔は、お酒を作っている子会社もありました。

今回、中身の品質を保ち、本当に美味しそうな甘酒を表現するには、ガラスびんがいいんじゃないかと、50周年の記念商品をびんにしました。今は缶ですが、発売当初はガラスびんだったんです。びん容器にしてみて、美味しさやワクワク感を表現できるびんの力をすごく感じました。受賞をきっかけに、商品開発部でガラスびんの魅力を活かせる企画がないか、声をかけていきたいと思います。

森永製菓株式会社
櫻木 孝典 様

審査員賞

 

株式会社TNT MARKET
アドビント

アドビントは、大川硝子工業所様と専門学校の東京デザイナー・アカデミー様との産学連携プロジェクトから生まれました。クリスマスのイラストにはそれぞれ日付の数字が割り振られ、中のクッキーを食べながら色を塗ってカウントダウンする、ベースの白いガラスびんを生かした塗り絵型のアドベントカレンダーです。かさばるものや使い捨てが多い中、アドビントはコンパクトなサイズ感に加え、塗り絵を消したり中身を詰め替えたりして再利用できる、サステナブルな点も嬉しいポイントです。お菓子のパッケージは、食べた後も取っておけるものがお客様から特に喜ばれます。弊社の主力商品はクッキー缶ですが、缶に代わる二次利用可能なパッケージとして、ガラスびんの可能性を強く感じるとても良い機会となりました。

株式会社TNT MARKET
藤原 萌 様

ガラスびん協会賞

 

竹本油脂株式会社
マルホン胡麻油

私どもは、主に家庭用の商品にガラスびんを使っているごま油の製造メーカーです。ガラスびんの持つ透明感や重厚感、ごま油の香りや色、そしてプレミアム感を表現できる容器だという理由から、非常に長い間ガラスびんを使わせていただいております。それを評価いただいたことを嬉しく思います。

今年で創業から300周年を迎えました。今年1年は、販促プロモーションの企画と同時に、ガラスびんアワード受賞もアピールしていこうと思っています。長きにわたって製造を手がけてくださっている日本山村硝子様、日本耐酸壜工業様にはこの場を借りて御礼を申し上げます。これから350年、400年と続けて、ガラスびんの商品を販売していきたいです。

竹本油脂株式会社
宮崎 健一 様

ガラスびん協会賞

株式会社ヤクルト本社
タフマンシリーズ 

タフマンシリーズは、ガラスびん入りの栄養ドリンクとして1980年から販売を開始し、45周年を迎えました。伊東四朗さんのテレビCM「あんたがたタフマン」という非常に耳に残るフレーズをご記憶の方もいらっしゃるかと思います。タフマンシリーズのガラスびんは、茶褐色の小型のびんを使い、ラベルデザインはボクシングのグローブを合わせたようなデザインをイメージし、栄養ドリンクらしい力強さを再現しています。

過去にはガラスに亀裂が入ったり、内側に破片が残ったりしたこともございました。その際、東鉱商事様や日本耐酸壜工業様のご協力を賜り、形状を大きく変えることなく強度アップを実現できました。この特別賞は、皆さまと一緒に受賞したものだと考えております。

株式会社ヤクルト本社
木部 裕行 様

審査委員からの祝辞

審査員 未来リナさん

はじめまして、未来リナと申します。私は昨年から、日本ガラスびん協会さんの広報活動のお手伝いと、今年からは審査委員も務めさせていただけることになり、本当に心から光栄に思います。私自身は普段、ライフスタイルを通して少しでも地球と調和していけるような生活を心がけているんですが、そういったサステナビリティの観点からも、皆さんがご存知の通り、ガラスびんはとてもたくさんの魅力と可能性を秘めていると思っています。

今回こうして審査委員として務めさせていただく以前からずっと、私はガラスびんを集めるくらい愛用している消費者の一人でございます。審査委員を務めるのも人生で初めてで、何もかもが新鮮な経験でした。エントリーされたガラスびんの商品をたくさん見させていただいた中で、ガラスびんならではの美しさ、デザインのインパクトや機能性はもちろん、一つ一つが作品、アートだなと感じました。そして、作り手の皆さんが込められている思いや、ガラスびんを届けたい人々への目的、こだわりなどの背景に、私は個人的にとてもインスピレーションをいただきました。

まだまだ学ぶことも本当にたくさんなんですが、こうしてリリー・フランキーさん、そして富永美樹さんと一緒に審査委員にも仲間入りさせていただけることを心から嬉しく思います。今日はエントリーされた皆さん、受賞された皆さん、全員に「おめでとう」の言葉をお送りしたいと思います。本当におめでとうございます。

審査員 富永美樹さん

私はアナウンサーの仕事をしながら、2年前から富士山のふもとで地元の友人とお庭作りの会社を始めました。お庭のデザインやプランニング、施工、外構などを請け負っているのですが、そこには観葉植物やガーデニングのお花、お庭にまつわる雑貨が置いてあるショップも併設しています。その中で、私は「グリーンインテリアコーディネート」という仕事をしているんです。たとえば、オフィスに観葉植物を入れたり、大きなデスクやパーテーションを「アーティフィシャルグリーン」というフェイクのグリーンを使って手作りしたりしています。

オフィスの現場を見て「ここだったらこれぐらいの木が入る、環境が乾燥気味だからこの木は向かない」などと考える仕事。午前中も打ち合わせがあったのですが、観葉植物は生きているものなので、水やりやメンテナンスが必要です。すると会社さん側は「リースではできないですか。ダメになったら次のものを入れていただいて…」分かるんです。ただ植物は生きています。私は日々、植物をメンテナンスして、ちっちゃな芽が出てくる喜びを感じていました。

グリーンのインテリアコーディネートをさせていただいたオフィスに、生きている木が来たことで、たとえばずっと数字を見ている部署の人たちが、ちょっと植物の元気がないからと葉水をシュシュシュッとしてあげる。そこからちょっとカフェエリアに行ってくつろぐ。そんな植物を愛でる時間が、リフレッシュや癒しにつながったり、気分の切り替えにつながったり。緑があることで会社に行くことが楽しくなったとか、新人の応募がたくさん増えたとか、そういったご意見をいただいています。メンテナンスがあまり必要のない、大きな植物もありますし、水やりのチェッカーみたいなものも今はあります。そんなに大変じゃない。緑がある喜びみたいなものを感じれば、会社の雰囲気も変わるかもしれない。いつもちょっとムスっとしている人が、意外と水やってくれるなとか、新たな発見もあるかもしれない。そんなふうに考えてもらえませんか。癒しや精神衛生にもきっと効果があると思います、みたいなお話をしたんです。そしたら「そっか。一緒に働く仲間が一つ大きな木として増える、みたいなふうに考えればいいんですかね」と言ってくださったんです。

その“仲間”って聞いたときに、この後ガラスびんアワードの表彰式に行く私にとって、ガラスびんはたぶん自分の家を彩る仲間だなと思いました。何年も前に自分が選んで表彰したガラスびん。それがキッチンの片隅や玄関にあったり、ドライフラワーを入れて自分の店を彩ったり。そういったものに実は使っています。なので、ガラスびんをデザインしたり作ったりする皆さんは、もしかしたら誰かの生活を彩る“仲間”を作っているのかもしれないと思っていただけると、もしかしたらガラスびんを愛してくれる人がもっともっと増えるんじゃないかな。そんなふうに今日思いました。また来年、素敵なガラスびんの商品と出会えることを願って、皆さんに本日「おめでとう」の言葉をお送りさせていただければと思います。

審査委員長 リリー・フランキーさん

皆さん、今日はようこそお越しいただきました。そして受賞された方々、おめでとうございます。
さて、今年のアワードを振り返ると、最優秀賞に選出された「雨降///あふり 酒界先導師」は、一升瓶と同じ1.8リットル容量でありながら、冷蔵庫のドアポケットに収まるというのが驚きでした。楕円形のシルエットや多面カット、そして商品名の記載すらなく貼られたラベル。それぞれインパクトのある要素がこの上なく巧みに取り合わされ、ガラスびんの美しさが非常によく現れています。飲み終わったら、水などを入れてアフターユースして、ずっと家で活躍していく未来が想像できる商品だと思いました。

そして、東海道五十三次の浮世絵を描いた「東海道サイダー」。静岡県内の宿場を描いた原画を一本ずつラベルにデザインした、20種を超える大作です。
ガラスびんのサイズは、ちょうど飲み切れる容量で嬉しく、シンプルなデザインと可愛らしい水色、大胆なアイデアとの組み合わせも絶妙でした。これはぜひ海外から訪れる観光客の方にも飲んでいただいて、サイダーを通して日本の文化を感じていただきたいですね。

やはり今年選ばれた受賞商品をこうやって見てみると、本当に質実なというか、 このデザインというのは美に限らずですが、世相や景気というか、雰囲気を表すもので、永く家にいてもらいたいガラスたちが選ばれているのではないでしょうか。華美なデザインではなくて、すごく考えられた、寄り添えるものが選ばれたような気がしております。自分で受賞商品を選んでおきながら、表彰状をお渡しする際に「おめでとうございます」って言うのは偉そうに聞こえるかもしれませんが笑、皆さん、本当におめでとうございます。

それでは皆さん、この後は合同懇親会がございます。今日は、ゆっくりと楽しんでいってください。ありがとうございました。

合同懇親会

小笠原副会長より乾杯のご発声

日本ガラスびん協会副会長を仰せつかっております、小笠原(磯矢硝子工業株式会社 代表取締役社長)でございます。今回はリリー・フランキーさん、富永美樹さんのお二人の審査員に加えまして、未来リナさんを審査員に迎え、また新しい目線からの審査をしていただきました。さて、私ごとになりますが、この業界で約25年間、ほぼ四半世紀にわたり、ガラスびん製造の現場でびんを作っておりました。

完成品として、ガラスびんは非常にきらびやかで、美しい、素晴らしい部分があるんですが、それらとは裏腹に製造現場は非常に温度が高くて、機械の音もうるさい。汗と油で汚れてしまう、文字通り「3K(きつい・汚い・危険)」と呼ばれる現場でございます。そのような環境下で、24時間365日働いている生産者の方々が全国の各工場にたくさんいらっしゃいます。このガラスびんを見た際に、製造現場や生産者の方々に思いを馳せていただければ、びんを作る者として非常に嬉しく思いますので、みなさま、どうぞよろしくお願いいたします。

石塚理事より中締めのご挨拶

日本ガラスびん協会の理事を仰せつかっております、石塚(石塚硝子株式会社 代表取締役社長執行役員)でございます。本日は、ガラスびんアワードの授賞式と合同懇親会に、大変お忙しい中、多くの皆さまにご参加をいただきまして、誠にありがとうございます。心より御礼を申し上げます。また、それぞれの賞を受賞された皆さまも、誠におめでとうございます。そして、審査をしていただいた皆さまにも、御礼を申し上げます。

授賞式の中で、受賞された皆さんからお話を聞いていると、ガラスびんの良さや魅力、あるいはガラスに対する愛など、そういうことも言っていただけて、非常にガラスびんを作っている我々からすると嬉しいコメントをいただいた、良いひとときだったなと感じております。

残念ながら近年、ガラスびんの需要は減少傾向というところがございます。こういったイベント等々を通じて、ガラスびんの良さや魅力を伝えていきながら、皆さまに愛されるガラスびんを引き続き作って、それがまた需要の喚起に少しでもつながればと思っております。最後に、ガラスびんの発展と今日お集まりの皆さまのご健勝をお祈りいたしまして、一丁で締めたいと思います。本日はありがとうございました。