革新的な技術とプロセスを駆使し、非化石エネルギーの活用、省エネルギーな製品の開発、持続可能な供給チェーンの構築など、あらゆるレベルでの環境への配慮を優先的に進めていき、ガラスびん容器の製品価値向上を図ります。
具体的には以下の施策の研究開発、調査を行い、CO2削減に向けて活動していきます。
自主行動計画目標と実績
「2050年カーボンニュートラルに向けた
ガラスびん製造業界のビジョン2024」を
2024年7月に策定しました
目指す姿
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❶ 更なる省エネルギーの推進
- 酸素燃焼技術の導入、電気加熱のエネルギー比率の増加
- 熱効率の改善、廃熱回収利用、需給バランスに見合った施設の構築
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❷ CO2排出のない/少ない燃料への転換
- CO2排出のない燃料(水素、アンモニア)への転換
- カーボンニュートラル燃料(バイオ燃料、カーボンニュートラルメタン)への転換
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❸ 原料由来のCO2排出量の削減
- リサイクル率の向上、代替原料の利用
- 排気ガス中のCO2の回収
製造工程においてCO2排出量が最も多い、ガラス溶融炉起因のCO2削減に注力します。


カーボンニュートラル
(CO2削減)自主行動計画
日本ガラスびん協会は1998年に産業構造審議会・総合エネルギー調査会に自主行動計画(ガラス容器製造業における地球温暖化対策への取組み)の報告を開始し、その後も毎年の実績を報告しています。以下の通り概要をお知らせいたします。
カーボンニュートラル行動計画における目標について
CO2排出量の削減に関し、ガラス溶融炉の設備合理化や更新時のダウンサイジングをはじめとした施策を実行することで、生産性の向上や効率的なエネルギーの利用に注力しています。2022年よりカーボンニュートラルに向けて目標指標をCO2の排出量に絞りました。2030年の目標を達成できるように活動してまいります。2023年のCO2排出量実績は以下の通りとなっています。
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基準年
2013年比CO2排出量
(原料分含む)
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2022年実績
▲24.3%(2013年対比)
(67.7万t-CO2)
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2023年実績
▲28.2%(2013年対比)
(68.5万t-CO2)
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2030年目標
▲27.1%(2013年対比)
(65.2万t-CO2)
目標を達成するために目標値を設定して活動してきた項目
取組事項およびその目標値
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❶ カレット利用比率の向上ガラスびんの原料に占めるカレットの利用率を76%まで増加する。※2021年4月より改正施行された省令に合わせ目標値を変更いたしました。
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❷ ガラスびんの軽量化の推進ガラスびん重量を2004年比1.5%軽量化する。目標重量189.4g/本。
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❸ ガラスびん製造工程の歩留まり向上ガラスびん生産歩留まりを2013年比2%向上する。目標76.9%。
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❹ 工場内のガス燃料をすべてLNGへ転換LPGをLNGへ100%転換する。
取り組んできた結果
❶~❹の各指標の推移は以下の通りとなっています。
年(1~12月) | 生産量 万トン | カレット利用率 % | ガラスびんの 平均重量 g / 本 |
歩留まり % |
---|---|---|---|---|
1990 | 242.5 | 40.5 | 217.2 | 84.4 |
1997 | 195.0 | 53.8 | 206.4 | 79.8 |
2000 | 162.1 | 62.2 | 197.3 | 77.4 |
2005 | 135.2 | 68.8 | 187.2 | 75.0 |
2010 | 122.2 | 73.3 | 189.0 | 76.3 |
2013 | 118.0 | 74.2 | 189.0 | 74.9 |
2015 | 115.4 | 75.9 | 180.7 | 76.4 |
2019 | 99.2 | 75.6 | 173.0 | 73.2 |
2020 | 88.6 | 77.6 | 170.6 | 71.2 |
2021 | 93.0 | 75.2 | 172.1 | 74.6 |
2022 | 93.2 | 74.3 | 176.8 | 74.7 |
2023 | 91.4 | 73.8 | 176.3 | 75.8 |
- カレット利用率については、2016年4月1日施行された新たな省令に従い算出しています。
エネルギー使用量、CO2排出量実績
目標を達成させるための各種取組みにより、エネルギー使用量、CO2排出量ともに以下の通り減少いたしました。
年 (1~12月) |
生産量 万トン | エネルギー使用量 原油換算万kl |
CO2排出量 万トン-CO2 |
エネルギー原単位 原油換算I / トン |
CO2排出原単位 kg-CO2 / トン |
---|---|---|---|---|---|
1990 | 242.5 | 67.1 | 184.9 | 276.7 | 762.5 |
1997 | 195.0 | 56.7 | 148.9 | 291.0 | 763.6 |
2000 | 162.1 | 48.6 | 125.5 | 299.8 | 774.1 |
2005 | 135.2 | 42.9 | 107.9 | 317.0 | 798.1 |
2010 | 122.2 | 38.8 | 83.5 | 317.3 | 683.3 |
2013 | 118.0 | 37.2 | 89.4 | 315.4 | 757.5 |
2015 | 115.4 | 35.4 | 85.2 | 306.7 | 738.1 |
2019 | 99.2 | 32.7 | 73.1 | 329.9 | 736.9 |
2020 | 88.6 | 30.7 | 68.6 | 347.0 | 774.7 |
2021 | 93.0 | 30.6 | 68.5 | 328.6 | 736.4 |
2022 | 93.2 | 30.1 | 67.7 | 322.6 | 726.2 |
2023 | 91.4 | 28.4 | 64.2 | 311.3 | 702.6 |
- CO2排出量にはガラス原料の炭酸塩からの排出も含む。
2023年までの取組みとエネルギー使用量、CO2排出量減少の要因分析
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❶ カレット利用率の向上
- カレットの利用率向上により、ソーダ灰、石灰石などの炭酸塩原料使用量および溶融時のエネルギー使用量が大幅な減少となり、CO2排出量の削減に大きく寄与しています。ガラスびんは資源有効利用促進法における特定再利用業種に指定されていることから、その判断基準となるカレットの利用率の目標が省令により定められています。2021年4月1日に施行された省令改正により2025年(令和7年)までのカレット利用率目標は76%となりました。2023年のカレット利用率実績は73.8%となり、2022年から0.5%減少となっている要因としては工場内カレット使用量の減少が影響しています。
- カレット利用率の向上によりリサイクルカレットに混入する異物数が増加し、ガラスびんの品質を低下させる大きな要因となっていることから、それを防ぐために市中からのリサイクルカレットの処理プラントの設備更新、最新の異物除去機器の導入などの設備投資を積極的に進めています。
- 今後さらにカレット利用率を上げるためには、カレットの色の分別を含めた品質の維持向上とカレットの地域的な偏在やその他色カレットの使用量増加などが課題となっています。
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❷ ガラスびんの軽量化の推進
- ガラスびん1本当たりの重量を軽量化することにより、原料、燃料の使用量が減少し、CO2もほぼ比例して削減することができます。さらにガラスびんの軽量化により輸送時のトラック等の燃料削減にも寄与しています。
- 2023年の1本当たりの重量は176.3g(前年比▲0.5g)となりました。ガラスびんは小容量化を含め全体的に軽量化を継続しています。
- ガラスびん業界では、長年軽量化に取り組んで参りましたが、一方で他素材化への移行もあり商品開発ではデザイン性やガラスびんの持つ重厚感などを求める動きも出てきています。
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❸ ガラスびん製造工程の歩留まり向上
- 歩留まりの低下は余分なガラスを溶融することになり、エネルギー使用量とCO2排出量の増加の要因となります。2023年の歩留まりは75.8%となり2013年比+0.9%、また2022年比では+1.1%となりました。前年プラスの要因として、①ガラスびん需要の増加による設備稼働率の回復が大きく影響しています。今後も生産設備の再編、型替作業の効率化などの取組みにより、歩留まり向上に努めてまいります。
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❹ 工場内のガス燃料をすべてLNGへ転換
- 工場で使用するLPGをCO2発生量の少ないLNGへの転換は着実に進みました。工場再編などにより2023年も通年で100%達成となっています。
- 1998年以降、ガラス溶融炉の燃料を重油からLNGに転換する試験的な取組みを始め、現在、大部分の国内ガラス溶融炉ではLNGへの切替えが進んでいる事で、CO2削減に大きく寄与しています。
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❺ 低炭素製品によるCO2排出量削減
- 日本ガラスびん協会では、規格統一リターナブルびん(Rびん)を認定し、リターナブルびんとして使用しています。日本ガラスびん協会では、LCA手法を用い、リターナブルびんのCO2排出量削減の試算をおこない、業界の統一LCAデータとして共有し、リターナブルのPR活動に取り組んでいます。リターナブル使用はガラスびんだけが持つ大きな特性といえます。リターナブルびんの利用による2023年のCO2削減量は、6.51万t-CO2です。
- 市場の輸入される中身入りガラスびんをカレットとしてリサイクル使用することで、省資源、省エネルギーを実現し、CO2排出量の抑制にもつながります。輸入びんのカレット化における2023年のCO2削減量は、5.73万t-CO2です。
- 前述の通り、ガラスびんを軽量化することにより、省資源、省エネルギーを実現し、CO2排出量の抑制につながります。2023年の2013年比削減量は1.56万t-CO2となりました。
- 原料としてカレットを90%以上使用し製品化したものを「エコロジーボトル」、無色・茶色以外のその他色のカレットを90%以上使用し製品化したものを特に「スーパーエコロジーボトル」と名付け、カレット使用量の増加につなげるため、ボトラー、ユーザーへの利用促進を継続しております。2023年の削減量は0.26万t-CO2です。
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❻ その他の特記事項
- ガラス容器の製造において先進的な取組を行っている欧州の事例・情報収集を目的に、2022年4月にイギリスの研究開発機関に加盟しました。CO2排出削減技術として、酸素燃焼技術や電気加熱のエネルギー比率の増加の検討を進めます。また、革新的技術としてカーボンフリーである水素燃焼やアンモニア直接燃焼については2030年代の採用に向けて検討して参ります。
- 省エネルギー、CO2排出削減啓発のためのPR活動にも加盟各社が継続的且つ積極的に取り組んでいます。
ガラスびん業界における物流の適正化・生産性向上に向けた自主行動計画
物流の自主行動計画
他産業と比べ売上高物流費率が高いガラスびん業界では、今後高騰しうる物流費の企業負担を懸念しており、今後も安定的な物流を維持していくため、令和5年12月に日本ガラスびん協会では、物流の自主行動計画を策定し経済産業省に提出しました。
業界独自の取り組みと優先事項をまとめています。