2019年05月30日
海外情報(2019年5月分)
6月の大阪G20サミットでマイクロプラスチックによる海洋汚染の問題など環境問題が取り上げられる予定になっていることもあって5月のFEVE NEWSから主に環境関連ニュースを取り上げた。
1. 発生源でのプラスチック廃棄物の排除への取り組み
サーキュラーエコノミーに取り組んでいるエレン・マッカーサ財団(イギリス)が主導するニュープラスチックエコノミー(New Plastic Economy)では、発生源でのプラスチック廃棄物および汚染を排除するという世界的な取り組みを行っており、この取り組みには世界の250以上の組織が署名している。全部の組織を合計すると、全世界で製造されるすべてのプラスチック包装の20%を占めている。この取り組みは、国連環境局とも協力して行われている取り組みで、世界最大の包装メーカー、ブランド、小売業者、リサイクル業者、そして政府やNGOの間で覚え書きが締結されている。この取り組みの目標は次の三点。①問題のある、または不要なプラスチック包装を排除し、使い捨てから包装モデルの再利用に移行する、②2025年までにプラスチック包装の100%を簡単かつ安全に再利用、リサイクルまたは堆肥化できるように革新する、③再利用またはリサイクルされ、新しい包装または製品にされるプラスチックの量を大幅に増やすことによって、製造されたプラスチックを循環させる。
出典:FEVE News May 2019
訳注1:エレン・マッカーサ財団が提唱するサーキュラーエコノミーはいわゆる3Rとはその内容が違っている。エレン・マッカーサ財団については以下のURLを参照ください。
2. ベラリア、環境戦略を強化
環境への影響を軽減することを約束したベラリアグループは、カーボンオフセットプログラムを設定するために、ピュアプロジェ(PUR Projet)とパートナーシップ契約を締結した。 これには①ラテンアメリカでの気候プログラムと②ベラリアの生産地の環境統合のためのプログラムがある。
気候プログラムでは、毎年グループの排出量の1%を相殺するために5年間で年間10万本以上の木を植える。このイニシアチブは、ベラリアがここ数年にわたって追求してきた、より広いCSR方針を強化するものであり、それは次の3つの主な分野から構成されている。①環境保全を支援する、②チームの安全と発展のために行動する、そして③コミュニティの発展に貢献する。
出典:FEVE News May 2019
訳注1:記事の詳細については以下のURLを参照ください。
PUR Projetについては以下のURLを参照ください。
3. 太陽光発電によって高純度水素を製造
スロベニアのSteklarna Hrastnik社は、同社の二酸化炭素排出量を削減するためのイニシアチブの一環として、太陽光発電所の建設をパートナー企業のRCeNem社に委託した。 この太陽光発電所は高純度の水素を生産するための施設であり、生産された高純度水素はCO2排出量を削減するために試験的なガラス溶融炉で使用される。同社は昨年、RCeNeM社と共同で、ガラス溶融のためのエネルギー源としての天然ガスの消費量を削減することを目的とした革新的な技術の開発を開始した。
出典:FEVE News April 2019
訳注1:この事業は国やEUの財政支援を受けてのパイロットプロジェクトだが、太陽光発電の電力で水を分解し高純度の水素を製造し、天然ガスとの混焼により二酸化炭素排出量を削減するという内容のようで非常にユニークな試みになっている。
記事詳細は以下のURLを参照ください。
Steklarna Hrastnik社については以下のURLを参照ください。
PUR Projetについては以下のURLを参照ください。
4. O-I社、メキシコのガラス容器工場を買収
O-I社は、Anheuser-Busch InBev社の完全子会社であるGrupo Modelo社からNueva Fanal(NuevaFàbricaNacional de Vidrio S de RL de CV)工場を買収することに合意した。Nueva Fanalの工場はメキシコシティの近くに位置し、Corona、Modelo Especial、およびPacificoを含むGrupo Modeloブランド用に年間約30万トンのガラス容器を製造するための4基の炉を備えている。買収金額は約1.88億ドル(約225億円:1ドル120円換算で、2019年中に買収完了する見込み。これによりO-I社は、年間約1.4億ドル(約168億円)の売上と4千万ドル(約48億円)の収益(EBITDA)を得る見込み。 さらに、O-I社はGrupo Modelo社への供給を継続するための長期契約を締結する予定。
出典:FEVE News May 2019
訳注1:記事詳細は以下のURLを参照ください。
Grupo Modelo社については以下のURLを参照ください
5. インタラクティブ3D CADシステム
アルダーグループが使用している最新の3D CADシステムでは、顧客はそのガラスびん製品と対話することができる。同社は、実物に似た360°3D機能を備えた最新のオンライン製品カタログを立ち上げた。このシステムでは、ガラスびんの中をドラッグ、裏返し、回転、さらには見ることさえできるようになっている。 同グループのマーケティングマネージャであるBarbara Macialczykは、次のように述べている。「顧客は3Dツールを使用して、加飾オプションについて考える前に、ガラスびんの形や大きさを感じることができ、 2019年4月17日に公開して以降、このインタラクティブなシステムで、約600本のガラスびんとそのデザインがモデル化された。」
出典:FEVE News May 2019
訳注1:最新の3D CAD技術を顧客がインタラクティブに使ってデザインをいじることができ、最終的なデザイン決定に役立てるというのは面白い試みと思える。記事詳細は以下のURLを参照ください。