2020年01月30日

広報委員会取材レポート メルシャン株式会社様 藤沢工場見学

日本ガラスびん協会広報委員会では、ガラスびんに関する広報活動と日頃のご愛顧への感謝を込めて、ガラスびんに関連した様々な場所を訪問しています。

今回は秋晴れの清々しい11月上旬に当協会が展開する「びんむすめプロジェクト」にて、ワインびんむすめになっていただいている大脇藍さんが10月まで勤務されていたメルシャン株式会社藤沢工場様を取材訪問させていただきました。

1. 工場のご紹介

全国No.1のワイン製造量である藤沢工場-大きな3つの役割

1. 国内製造デイリーワインの「製造」と「包装」

メルシャンのワイン事業の根幹となる「国内製造デイリーワイン」の製造とボトリングを国内で唯一担っている工場です。安心、安全、高品質でリーズナブルなワインを安定供給しています。また車で10分圏内に高速道路がある全国に配送しやすい立地と、東京ドーム0.8個分の敷地面積に、効率良く製造設備が配置されています。

2. 輸入ワインの国内ボトリング

輸入ワインをびん詰めしない状態で輸入し、それを藤沢工場でボトリングしています。品質維持と環境配慮からの新たなビジネスモデルの取り組みを担っています。中でも「FRANZIA」ブランドは現地とコネクションをとって作られた、こだわりのある商品の一つです。

甲類焼酎・甲乙混和焼酎・ブランデー・リキュール類・発酵調味料等の製造(ブレンド)と包装

メルシャン株式会社はキリングループおよびグループ外企業の受託製造も担っています。工場内には12ものパーッケージングライン設備があり、様々な中身に加えて、容器はガラスびんの他PETボトルや缶、紙パック、BIB(バックインボックス)のボトリングも行っています。

大きな3つの役割を担うきっかけは、1970年の大阪万博を機に食のスタイルが変化し、主流であった甘口の甘味果実酒から辛口の果実酒(ワイン)が求められた事でした。ワインの需要が高まり原料となるブドウが不足する中、農家の方々と協力してワイン用のブドウの栽培に取り組んできたシャトー・メルシャンと、海外ワイナリーと連携しメルシャンスペックの濃縮果汁・ワインを使用した国内デイリーワインの開発を行い、現在のメルシャンと成っています。
また藤沢市とは2017年に包括連携協定を締結し、市の活性化に貢献しています。代表的な取り組みは、2015年より市・商工会議所と連携して開催している「藤沢ワイン祭り」です。コンビニやスーパーで手軽に購入でき、日常に寄り添うデイリーワインの魅力を通じて、街づくりにも貢献しています。

2. 工場見学

1. 藤沢工場のワインの種類

藤沢工場には①国内製造デイリーワイン②輸入ワインの2種類があります。

  1. 国内製造デイリーワイン…ブドウ果汁に酵母を添加すると5日~2週間程でワインが出来上がります。このワインに、商品によってはブレンド用の輸入ワインを加え、お客様のニーズに合わせて約20種類のワインを製造しています。
  2. 輸入ワイン…大型の専用容器に入れて輸送されます。1つのコンテナには約24トンもの量があり、ワインボトル3万3千本分に及びます。また約40種類のワインを輸入しています。

2. 製造工程(国内製造デイリーワイン)

酵母除去→ブレンド→タンパク除去→酒石除去→仕上げろ過

  1. 酵母除去…発酵が終わったワインの中の酵母を遠心分離機という機械で除去します。
  2. ブレンド…約100種類のレシピに合わせて原料をブレンドしています。地域、天候の影響で原料となるぶどうの味わいが変化する為、様々な品種をブレンドしても同じ味が再現できるよう日々管理しています。
  3. タンパク除去…ワインに残っているにごりの元となるタンパク質などを珪藻土でろ過します。
  4. 酒石除去…ワインを冷やす時に酒石の結晶ができることがあります。身体に害の無いものですが誤解を防ぐ為に取り除いていきます。
  5. 仕上げろ過…ワインに残る酵母や不必要な成分を除去し、完成です。

※輸入ワインは、いわゆる製造行為は行わず、パッケージングのみ行います。

見学させていただいた工場施設

ここは原料を受け取るエリアです。原料となる濃縮果汁は、主に横浜港に到着し、倉庫で冷凍保管した後に冷蔵状態で運ばれてここで受け取ります。その後タンクに投入し、その日のうちに酵母添加を行います。
コンテナで運ばれた輸入ワインは大きな袋(酸素をきわめて通しにくいビニール素材)に入っています。コンテナの内部が一杯になる程ぎっしり詰まっています。
タンクは①貯酒②ブレンド③発酵の3種類の用途に利用され、容量は主に6万リットル、10万リットルのタンクが中心です。
倉庫には40万ケース程保管可能です。
赤ワインの充填を拝見することができました。手前の円柱状の機械で充填し、その後キャッピングを行います。
今回見学した製品は、充填後温水のシャワーをかけて酵母の活性を止め、ラベルやキャップシールを付け、検査をして段ボールに箱詰めされていきます。

3. 試飲会

4種類ものワインの試飲をさせていただきました。中でも2019年3月に新発売された「おいしい酸化防止剤無添加ワインシードル」は売れ行きが好調で、10月中旬で既に目標の75%を達成しているそうです。甘くて口当たりが良く、若者や女性も飲みやすいワインだと思いました。また、11月末には同シリーズでグレープフルーツシードルを発売予定との事で、デイリーワインの盛り上がりを感じました。

4. 見学を終えて

「ワインはワイングラスに注いで飲むもの」というイメージがある中、デイリーワインの世界はもっとカジュアルなイメージとお手頃な価格帯で、日常生活に寄り添うワインなんだと改めて感じました。これからもガラスびんはおいしい中味と共に、日常に彩りを添えられる器として消費者の皆様にお届けしていきます。

この度は広報取材にご協力いただき、ありがとうございました。