2014年06月25日

海外情報(2014年6月分)

1.英国ガラス製造事業のトレンド

 5月16日、ロンドンで英国ガラス製造事業連盟(British Glass Manufacturers Confederation)が主催する”2014年の焦点 ガラスとサプライチェーン(Glass Focus 2014 Innovation within glass and the supply chain)”と題した会合が、130名を超える参加者を得て開催された。この会合では、Dr. Jane Muncke氏(Managing Director of the Food Packaging Forum)、James O’Callaghan氏(Partner at architect’s firm Eckersely O’Callaghan)及びRuth Miller氏(Senior Economist at the Confederation of British Industry (CBI))の三氏が基調講演を行い、Joe Walmsley氏(Director、Daedalian Glass Studios)が最近のガラスデザインとファッショントレンドについて講演した。また、同時に行われた表彰式で、Ardagh社が年度最優秀企業賞と技術賞を受賞した。この席上Dave Dalton会長は次のように語った。「ここに集われた全ての方々の業界とガラス素材に対するご支援に感謝します。」、「現状維持では業界の将来を確保することはできません。我々は共同して、新規技術、新しい可能性、生産性の向上および従業員が必要な技能を持つように訓練するといったことへ投資することによって新しい未来に向けたビジョンを作り上げなければなりません。」、「今年度の会合では、このビジョンに既に向かわれている数社を表彰させて頂きました。受賞者の皆様全てにおめでとうございますと申し上げます。」
 Dr. Vince Cable氏(商務、イノベーション及び技能担当大臣)は祝辞で次のように述べた。 「この会合は、ガラスが、包装や食器から医療技術および光ファイバーと、私たちの日常生活のほぼすべての面で果たしている重要な役割を反映する重要な機会である。」、「ガラスは、ハイテク製造業のサプライチェーンの重要な部分です。先月、サプライチェーンを強化し、製造業への回帰傾向(reshoring trend)を後押しするために、高度製造業サプライチェーン・イニシアチブの下でさらに1億ポンドの支援を行うと発表しました。」

 出典:Glass International Weekly Bulletin 2014-05-20

2.Quinn社とCobevco社がブランド名を統合

 Quinn Glass社とCobevco 社は、ブランド名をEncircに統合変更した。このEncircという名称は、同グループが供給するサービス、即ち、ガラスびんの生産、最新の充填ライン、倉庫、物流という同グループの得意先のニーズを包み込む(encircle)という狙いに由来している。同グループのAdrian Curry社長は次のコメントを出した。「当社は得意先に付加的な価値を提供しています。即ち、当社は、サプライチェーンサービス、環境負荷の削減、小売りまでのリードタイムの短縮およびコスト削減に至る完全な包括的サービスを提供できる世界で唯一の会社です。」、「当社のこのような独自のサービスにより、サプライチェーンの複数の段階で、お得意先の価値あるブランドを補完することができ、当社はお得意先と緊密なパートナーとなることができます。」、「当社は新しく統合されたEncircという名称のもとで、お得意先での革新、持続可能性および成長戦略の中で、パートナーシップを更に強化するものとなります。」
 同グループのウェブサイトは現在、www.encirc360.comに変更された。

 出典:Glass International Weekly Bulletin 2014-05-20

3.ŞişecamがArc International社の株式取得交渉

 Şişecam社の一部門であるPaşabahçe社(食器等を生産)が、Arc International社(仏,家庭用品メーカ)の株式取得交渉を開始した。Paşabahçe社の世界における家庭用品のシェアは現在12%で世界第3位、Arc International社は第1位でシェアは13%。このため、もし両社の交渉が成立すれば、Paşabahçe 社は米国のLibbey社を抜いて第1位となる。Arc International社の年間売上高は約10億ユーロ、家庭用ガラス用品を日産約430万個生産している。同社売り上げ収入の47%はヨーロッパ市場、フランス以外に中国、ロシアおよびアラブ首長国連邦に生産拠点がある。Arcグループには、Luminarc, Arcoroc, Cristal d’Arques, Longchamps, Salviati, Pyrex 及びクリスタルのJ. G. Durandといった商品ブランドがある。両社は2006年に北米地域でのホテルおよびレストラン事業分野に共同で参入した経歴がある。

 出典:Glass International Weekly News Bulletin
 【訳者注】
 Paşabahçe社とArc International社の両社は、食器では非常に大きな存在で影響が大きいことから話題として取り上げてみた。

4.Erik Muijsenberg氏がFurnace Solutions 9会合で受賞

 Glass Service社のErik Muijsenberg氏が、英国Stoke-onTrentで開催されたFurnace Solutions 9で最優秀論文に贈られるMichael Garvey賞を受賞した。 同氏は会合において約90名の参加者を前にして、『コンピュータモデルによるガラス生産制御;Complete model-based control of glass production』 と題して30分の発表を行った。この会合は英国シェフィールドにある英国ガラス技術協会(Sociey of Glass technology)が主催した。同氏も含めた発表要約はGlass International誌に掲載される予定。

 出典:Glass International Weekly News Bulletin
 【訳者注】
 Glass Tec(設備展示会)では新型の設備が展示される。一方で、主にガラス溶解の現場技術とはなるが、ソフト面での会合としてFurnace Solution(英国)やGlass Problems(米国)が開催され、最新の情報が交換されている。溶解炉担当の現場技術者にとり、人脈作りを含めて、非常に有益な会合と思うので取り上げてみた。
 FS9の当日プログラム:http://www.furnacesolutions.co.uk/Pages/Prog.html
 Glass Problemsプログラム等:http://glassproblemsconference.org/