2021年01月07日

海外情報(2020年12月分)

1. 炭素捕集の実証実験

Cキャプチャー社(C-Capture Ltd)は、同社の炭素捕集技術とガラス製造業界の要件との互換性を定量化する実験を支援するために、英国の持続可能なイノベーション基金から資金を受けた。Cキャプチャー社はピルキントン社の支援で実験を行う。ピルキントン社では、炭素捕集技術を現場に展開する可能性が評価される。これはガラス製造の脱炭素化における重要な前進と考えられている。

出所:c-capture.co.uk

訳者注:記事詳細は以下のURLを参照ください。

Cキャプチャー社は英国リーズ大学化学学部から派生したベンチャーで、同社については以下のURLを参照ください。

また炭素捕集技術の概要については以下のURLを参照ください。

2. 溶融ガラスからの超音波脱ガス技術

サイアロンセラミックス社(Sialon Ceramics Ltd)とアクティブアークウルトラソニック社(Aktive Arc Ultrasonic sarl)は、20%のエネルギーコストを削減し、ガラス製造の環境への影響を低減することができる超音波溶融脱ガス技術の画期的な発表をした。このプロセスは、1,600°Cまでの温度で高粘度溶融ガラスの大量を処理するために、革新的な超音波発生器と独自のセラミックソノトロードを使用している。この超音波溶融脱ガス技術は、プロセス効率を向上させ、清澄温度を下げ、エネルギーコストの最大20%を節約できる。

出所:ultrasonicdegassing.com

訳者注:超音波脱ガス技術はアルミの鋳造などで使用されているが、ガラスへの応用については「環境対応型のガラス溶融技術 特に脱泡技術について;田中千禾夫、NEW GLASS vol.21 No.4 2006」で実験室的な規模の開発にとどまるとされていたが、実用に近い形ができてきたようなので紹介する。
記事詳細については以下のURLを参照ください。

Sialon社及びAktive Arc Urtrasonic社については、それぞれ以下のURLを参照ください。

3. エンサーク社(Encirc)デリーリン工場にバイオ燃料

エンサーク社は、2021年第1四半期に予定されている試験のために、北アイルランドのデリーリン工場に最初のバイオ燃料の供給を受けた。このバイオ燃料は、北アイルランドのデリーリン炉の1つに電力を供給するために使用される。これはグラス・フューチャーズ社(Glass Futures Ltd)とビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のエネルギーイノベーション・プログラムと提携して行うもので、エンサーク社は、この試験が業界全体の二酸化炭素排出量削減への道を開くのに役立つことを期待している。

出所:glass-international.com

訳者注:記事自体は非常に短いものだが、バイオ燃料は代替燃料として一つの選択肢で、溶解炉で使用するには供給量に懸念があるところを、まずは工場電力発電に使用するという発想。
記事詳細は以下のURLを参照ください。

4. ショット社の2030年気候中立の新戦略

ショット社(Schott)は、2030年までに気候中立になり、これまで以上に気候変動の課題に直面する準備を進めている。同社の「ゼロカーボン」プロジェクトは、新しいショットグループ戦略の不可欠な部分としていて、次のような削減方法を考えている。

※エネルギー効率の向上
何十年もの間エネルギー効率向上に取り組んできて、1990年代以降、溶解炉での酸素料融解技術の導入と電気の使用の増加により、すでに特定のエネルギー消費量を30%以上削減することが可能になった。エネルギー管理システムの一環として、専門家はさらなる節約の可能性を特定し、活用するために集中的に取り組む。

※2021年までにグリーン電力への切替
2021年までに電力需要の100%を水力発電、風力発電、太陽エネルギー、バイオマスなどの再生可能エネルギーで賄う予定。

※水素を中心とした新技術
長期的には、技術的に実現可能であるに場合に限り、化石燃料の使用を完全に新技術に置き換える予定。同社は水素技術を有望な解決策と考えているが、この変革プロセスには時間がかかり、高い開発コストと投資コストが必要、としている。

※技術的に不可避的な排出に対する補償
大型ガラス溶解タンクを加熱するCO2フリーの解決策が利用可能になるまで、気候保護プロジェクトに投資することで技術的に避けられない排出量を補償する予定。これには、厳格な基準に従って認定されているさまざまな国の森林再生プロジェクトが含まれる。

出所:glass-international.com

訳者注:ショット社は特殊ガラスメーカで、溶解炉の規模や他の条件がびんと違うと思われるが、考え方の参考として取り上げた。
記事詳細は以下のURLを参照ください。

ショット社の発表については以下のURLを参照ください。

5. ディアジオ社、2030年炭素排出実質純ゼロ目標

ディアジオ社(Diageo)は、新しい10年間の戦略の一環として、10年以内に炭素排出量正味ゼロを達成し、同じ期間内で間接的な(スコープ3)排出量を半減させると発表した。2030年までの同社の戦略は、国連のSDGs目標と一致し、環境の持続可能性、多様性そして責任ある飲酒に関する「行動の10年;Decade of Action」を公表した。同社は声明の中で、バリューチェーン全体の悪影響を減らすと述べている。

出所:edie.net

訳者注:得意先の脱炭素に向けた動きの一つの参考として取り上げた。国内でも同様の動きがあり、今後10年の脱炭素に向けた取り組みは大きな課題となっている。
記事詳細は以下のURLを参照ください。

ディアジオ社の発表は以下のURLを参照ください。