2022年03月16日

海外情報(2022年3月分)

1. 分岐点にある欧州ガラス産業

3月5日 EUの公式出版物として、欧州連合の諮問評議会の一つである経済社会評議会(EESC:European Economic and Social Committee)から『分岐点にある欧州ガラス産業;よりグリーンで、エネルギー効率が良く、同時に競争力を強化しつつ質の高い職場を維持(Glass in Europe at a crossroads : delivering a greener, energyefficient industry, while enhancing competitiveness and maintaining quality jobs)』という報告書が刊行された。

出所:FEVE NEWS 2022.02.28
報告書のキーポイントは以下のURLに掲載されているので参照ください。

報告書全体は以下のURLから参照願います。

2. ヴェラリア社がウクライナのゾリャに立地する工場の生産を一時的に停止

2月22日 ヴェラリア社は現況に鑑み、同社の危機管理計画に基づき、従業員の安全を考えて、ウクライナのゾリャ(Zorya)に立地する工場の生産を一時的に停止したと声明を出した。声明によれば状況が悪化した場合は工場閉鎖もあるとしている。(声明時点では2基の炉はホットで維持されている)

出所:verallia.com
詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注:同工場(Verallia Ukraine)の2021年売上は5,000万ユーロ(約12.5億円、1ユーロ:125円換算)。同工場はウクライナ西部(ポーランド国境から約200km、ベラルーシ国境から約190km)に位置し、ロシア軍侵攻の道筋にある。

3. スペイン ヴィドララ社の2021年純利益が前年比8.96%減少

2021年のヴィドララ社の純利益は前年比8.96%減少し145.2百万ユーロ(約178億円:1ユーロ:125円換算)となった。この減少は主に原燃料費、とりわけ天然ガス価格の高騰によるもの。なお2021年売上は前年比約9.7%増の1084.2百万ユーロ(1,355億円)、EIBITDAは前年比4.3%減の267.7百万ユーロ(約334億円)だった。2022年については二桁増を予想している。

出所:vidrala.com/p>

4. ヴェトロパック社ウクライナホストメル工場が軍事活動により損傷

3月6日 グラスインターナショナル誌(オンライン)は、キエフ中心部から西に直線で約25kmにあるヴェトロパック社のホストメル工場(Hostmel)が軍事行動により大きく損傷を受けたと報じた。被害の程度は不明。なお、同工場は安全のため2月24日から工場を閉鎖していて、従業員は生産活動停止に伴い給与を保証された上で一時的に休職中のため人的被害はない模様。同社CEOのライター氏(Mr.Reiter)は「同工場は今後の軍事行動の可能性を考慮すると非常の危険で困難な状況にある。このため、正確な状況把握には時間がかかる。しかし、工場の相当部分が損傷を受けていることは明確で、近々に生産再開をすることは困難。」と語った。

出所::glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。なお、以下の記事には損害を受ける前の工場写真とインスタグラムにアップされた破壊された同工場の動画が添付されています。

訳者注:同工場はヴェトロパック社がヨーロッパに持つ9工場のうちの一つで3窯8ラインあり、同社売上およびEBITDAの約1割を占めている。Hostmelは記事中での表記はロシア語の音に近いGostmelとなっている。同工場から約8キロ西には航空機メーカのアントノフ社の所有するホストメリ空港(一時ウクライナ空軍も使用)がある。