2022年09月29日

海外情報(2022年9月分)

1. アルダー社エコシリーズびんで排出量削減

北米アルダー社(Ardagh Glass Packaging North America)は、ワシントン州で最も古いワイナリーのシャトー、サン・ミシェル(Ste Michelle Wine Estates)の伝統的なワインびんをアルダー社のエコシリーズガラスびんに置き換えることで、サン・ミシェル社が包装の持続可能性を向上させるのを支援している。アルダー社によると、この移行により、年間237台の自動車が排出する量とほぼ同等の炭素排出量が削減されるとのこと。

出所:GPI SmartBrief

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アルダー社のエコシリーズについては以下のURLを参照ください。

2. 英国で計画されているグリーン水素施設

エアプロダクツ社(Air Products)とアソシエイテッド・ブリティッシュ・ポート社(ABP)はパートナーシップを締結し、英国イングランド地方のイミンガム港(Immingham)に大規模なグリーン水素製造施設を設置する予定。製造されるグリーン水素は、ガラス産業など削減しにくい産業分野を脱炭素化するために使用される。水素原料としては、エアプロダクツ社と世界中のパートナーが運営する生産拠点からグリーンアンモニアを輸入して使用する予定。これによって、温室効果ガスを年間最大58万トン削減できる。

出所:glass-international.com

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エプロダクツ社については以下を参照ください。

ABP社については以下を参照ください。

3. EUでの燃料高騰

国内でも燃料価格が高騰しているが、欧州はさらに厳しい様子で、当局に対して適切な対応をとるように声明を出すなどしている。
※欧州ガラス同盟(Glass Alliance Europe)
欧州ガラス同盟および欧州のエネルギー集約型産業を代表する他の団体は、欧州委員会のウルスラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長とヨゼフ・シケラ・チェコ共和国産業貿易大臣(EUエネルギー理事会議長)に、天然ガスの価格を制限することを目的としたEU全体の措置を緊急に導入するよう求めた。

出所:glass-international.com

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共同声明は次のURLを参照ください。

欧州ガラス同盟については次のURLを参照ください。

※英国ガラス産業連盟(BG:British Glass)
BGのCEOデイブ・ダルトン氏が、英国政府ビジネス・エネルギー産業戦略省(BEIS)のエネルギー調査に回答。回答は、エネルギーコストの上昇、ガラスなどのエネルギー集約型産業への影響、政府からの介入が冬季の産業と供給の安全保障に対する圧力を緩和するのに役立つものに焦点を当てており、次ぎのように述べている。
「英国のガラスメーカーは、卸売エネルギーコストが12ヶ月で700%増加するのを見てきました。」また、調査について「ガラス業界とより広範なエネルギー集約型ユーザーの両方にとって、政府との継続的な対話の一環として、エネルギーコストが私たちのセクターに与える影響に関する調査を歓迎する。」 「しかし、この対話の結果、この冬のエネルギー価格と供給の安全保障に対処するためにどのような介入が行われるかを理解するために、私たちは今行動を起こす必要がある。」

出所:glass-international.com

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英国ガラス産業連盟(BG)については次のURLを参照ください。

※デュラレックス社エネルギーコスト上昇のため生産を一時停止
デュラレックス社(Duralex)は、エネルギーコストの高騰により、ラ・シャペル・サン・メスマン工場(La Chapelle-Saint-Mesmin)の炉の生産を11月1日から4ヶ月間一時停止する。フランスは、ウクライナ戦争による経済的影響とエネルギー価格の高騰、特にガラス炉に不可欠な電気とガスの価格は2021年以来、電気代は22倍、ガス代は18倍に上昇している。

出所:glass-international.com

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訳者注: 電気が22倍、ガスが18倍は法外と感じられる方もおられると思い、以下に当該部分の原文を転記する。
・・・the price of electricity has increased 22-fold and the price of gas 18-fold・・・

4. サン・ゴバン社2050年までにカーボンニュートラルを表明

サン・ゴバン社(Saint Gobain)は、2050年までにカーボンニュートラルを達成するとしており、その組織目標をSBTi(Science Based Targets initiative)が、組織の新しいネットゼロ基準とパリ気候協定と一致する温室効果ガス排出削減目標を承認した。サン・ゴバン社は、昨年末に新規格が導入されて以来、この分野でこの承認を受けた最初の企業となった。
また、サン・ゴバン社の2030年までに直接的および間接的なCO2排出量(スコープ1と2)を33%削減し、主に購買と輸送に関連するスコープ3の排出量を2030年までに16%削減するという目標もSBTiによって2020年11月にすでに検証されている。

出所:glassonline.com

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5. ポシェ社 高級ガラスびん用のフランス初の全電気溶解炉

香水、スキンケア、メイクアップ用のガラスびんを専門とする高級品業界の重要なパートナーであるポシェ社(Pochet Group)は、フランスのノルマンディ-にあるギメルビル工場(Guimerville)に、全電気溶融技術のマーケットリーダであるファイブス(Fives)からプリウムEメルトコールドトップ垂直型溶解炉(Prium® E-Melt cold-top vertical melter)を導入設置する。全電気溶解炉を高級ガラスびん分野に導入するのはフランス初となる。
ポシェ社は、2033年までに生産のCO2排出量を50%削減し、脱炭素ガラスを顧客に提供するという目標を掲げている。

出所:glassonline.com

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ファイブス社については以下のURLを参照ください。

訳者注: ポシェ社以外にベラリア社(Verallia)もファイブス社の同型全電気溶解炉(150t/d~200t/d)をコニャック工場(Cognac)に導入するとしている。同工場設置予定のこれらの炉は食品容器用ガラス溶解炉としては世界最大。
ベラリア社の全電気溶解炉導入については次を参照ください。

6. 水素に特化した研究開発H2GLASSが来年1月始動

EUでも最大規模の一つであるノルウェーの産業環境技術研究所(SINTEF)が、EUの競争力を高めるための研究とイノベーションのためのホライズン・ヨーロッパの資金援助を得て、コンソーシアムを組んでH2GLASSプロジェクトを2023年1月より活動を開始する予定と発表した。発表によると、『化石燃料を水素に置き換えることは、エネルギー集約型産業における大きなトレンドであり、水素生成、インフラの準備、経済的実行可能性、産業現場での安全な取り扱いに関する多くの課題がある。ガラス産業は今後30年間で完全に脱炭素化されなければならず、2050年はガラス溶解炉の平均寿命を15年とするとわずか2炉に相当する。』、『H2GLASSは、ガラスメーカーが生産施設でH2燃焼を100%実現し、必要な製品品質を確保し、これを安全に管理するために必要な技術資産を作成することを目指している』としている。このプロジェクトは4年間で、予算33百万ユーロ(約48億円:145円換算)、24百万ユーロ(約35億円)のファンドを持っている。

出所:sintef.com

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SINTEFについては以下のURLを参照ください。

訳者注: SINTEF(Stiftelsen for industriell og teknisk forskning)は、ノルウェー工科大学とノルウェー科学技術大学を母体とした研究開発組織。会社組織になっており、北欧最大の研究開発組織。同所のサイトをみると水素に係わる様々な要素技術を既に開発所有している。