2023年10月23日

海外情報(2023年10月分)

1. アルダー社 オランダの工場に大規模太陽光発電設備を立ち上げ

AGPヨーロッパ社がオランダのドンヘン工場に設置した年間8,000メガワットを供給する大規模太陽光発電設備が稼働した。発電された電力は自社消費される。これは同社の戦略の一部で、2030年までに100%再生可能な電力を使用し、炭素排出を削減することを目指している。
AGPヨーロッパ社のサステナビリティディレクターのアネレーネ・イケマン(Annelene Ikemann)氏によると他の地域でも2つの追加の設備が近く稼働予定としている。

出所: glass-international.com

訳者注: 太陽光や風力などを利用した発電は天候等に出力が左右されるが、それでも排出炭素量削減を目的とした電力エネルギーの地産地消が進んでいるようにみえる。
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2. O-I社 ウエイコ工場閉鎖で地域のリサイクルプログラムに影響

O-I社は、1944年以来79年間続いたウエイコ(Waco)工場(テキサス州、従業員300名)を12月1日付けで閉鎖すると発表した。同工場は10月16日に稼働停止する。
これに伴って、キープウエイコビューティフル(Keep Waco Beautiful)という地元の団体が、グラスフォーグッド(Glass4Good)プログラムによって行ってきたガラスリサイクルを停止したと発表した。地域のリサイクリングセンターは稼働しているので、住民は引き続きガラスをリサイクルできる。その一方で、同団体はリサイクルを維持できるように代替策を検討している。
なお、O-I社は工場の閉鎖に関連する費用として、炉や機械などの資産の損耗に3,200万ドル(約46億円:145円換算)、従業員の離職手当および閉鎖に関連するその他の費用に2,800万ドル(約40億円)を計上する見込みだとしている。

出所: glass-international.com

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訳者注: 米国など海外でのガラスびん工場の地域経済に与える影響は大きく、今回の閉鎖では積極的にリサイクルに取り組んできた地域に思わぬ影響を与えたようだ。

3. セントヘレンズに新しい医療用ガラス製品製造工場建設の計画

シナメディカルガラス社(SINA Medical Glass)は、イギリスのセントヘレンズにあるグラスフューチャーズの隣接地に医療ガラス製品を生産するための製造施設を建設する計画を提出した。
計画によれば、シナ社は、配送および倉庫業を営むJKフィリップスグループ(J K Philips Group)がセントヘレンズに持つ同社倉庫および事務所棟を引き継ぎ、バイアルびんや試験管などを生産する施設に転換する予定。なお、本計画は、2023年10月19日までパブリックコメントにかけられ、計画に関する決定は、2023年12月22日までに行う事が予定されている。

出所: glass-international.com

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訳者注: 他のニュースソースには、英国ではバイアルびん生産工場が無く、コロナ禍を機にこれを解消する目的があるといった報道がある。また、この計画にはグラスフューチャーズも関与しているようだ。なお、シナ社のHPを探したがヒットしなかった。

4. ショット社が環境にやさしい溶解炉を建設

ショット社(Schott)は2018年から水素での溶解に取組み、2023年7月には実炉を使い水素燃焼で10日間以上、1,700℃を保持しての実証に成功している。
これまで脱炭素を目指し、同社は過去2年間さまざまな研究プロジェクトで基礎的な作業を行ってきており、今回、同社はドイツ連邦経済・気候保護省(BMWK)の産業脱炭素化プログラムの一環としての資金援助や欧州連合の次世代EU基金(NextGenerationEU Fund)等を受け、4,000万ユーロ(約62億円:155円換算)を投資し、新しいプラント(溶解炉等)をバイエルン工場に建設し、産業規模での実証に取り組む。なお、このプロジェクト期間は今後3年で、試験プラントは主にグリーン電力で稼働し、現行に比べてGHG排出は約80%削減される。

出所: glass-international.com

訳者注: 同社はこのような産業規模開発は単独では難しく公的援助が必要とコメントしている。訳者は、現時点で水素、アンモニア、電力、バイオ燃料のいずれもガラス溶融炉での燃焼については目処がたち、今後はグリーンエネルギーをどのように調達するかが大きな課題になると感じている。
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5. NSGピルキントン社の低炭素フロート板ガラス『ミライ(MiraiTM)』

NSGピルキントン社は、代替燃料、高カレット添加率、およびグリーン電力を組み合わせ、標準のフロートガラスに比べて炭素負荷を50%削減した新しい板ガラス『ミライ(MiraiTM)』を開発。この製品は板ガラス市場で最も低炭素の製品となる。
NSGグループは、昨年、SBTイニシアチブ(SBTi:Science Based Targets initiative)より、NSGグループとして2018年の水準と比較して2030年までに排出量を30%削減するという目標の認証をとっている。更に2050年までにカーボンニュートラルを達成することを目指し、ガラス製造における代替燃料の世界初の概念実証試験などの活動を通じて環境影響低減に積極的に取り組んでいて、これらが『ミライ』の開発につながったとしている。

出所: glass-online.com

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