2024年05月02日

海外情報(2024年4月分)

1. 急冷強化軽量ガラスびん エコバイ

ヴェトロパック社(Vetropack)は2019年以来オーストリアのモーレン醸造所(Mohrenbrauerei)との共同で、市場において広範囲に回収再使用する世界初となる急冷強化軽量ビールびんエコバイ(Echovai)のテストを行ってきた。従来びんに比べ重量が最大30%軽量化され、擦り傷抵抗が高く、40回再使用でき、1本あたりのCO2排出量は従来びんの1/4にまで低下されている。
急冷強化自体はエムハート社の特許技術を使っているが、市場に安定して出荷できるようになるまでヴェトロパック社イノベーションセンターでの開発期間はおよそ10年かかっている。現在、生産はヴェトロパック社のペヒラルン工場(Pöchlarn)のみで行われているが、将来的にヨーロッパ全土にある他工場でも生産するなど拡大を目指している。

出所: vetropack.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注: オーストリアはビール消費量でチェコやドイツに次ぐ規模で、国内に200以上の醸造所があり、強化した軽量回収再使用びんの登場は大きな市場インパクトを持つと思われる。
以下のglasshallmark掲載の比較写真を見る限り、肩および裾コンタクト部擦り傷は明らかに少ない。また、2011年にGlassOnlineに掲載された記事によれば、強化後に充填したびんを1.5mの高さから落としても破損は僅かだったとしている。

モーレン醸造所については以下を参照ください。

エムハート社の特許等については以下のURLを参照ください。

2. フラストニク社水素燃焼で商用生産

スロベニアに本拠を置くフラストニク社(Hrastnik1860)は、ガラス溶解に60%以上の水素を使用し、溶解プロセスの直接的な炭素排出量を30%削減してプレミアムガラスびんの商用生産を成功裏に完了した。この成果は、このような高品質のガラスの生産が、エネルギー源としての水素の高い割合で実現可能で経済的に実行可能でないかもしれないという過去の懸念に対処している。
フラストニク社は、自社の開発によってこれらの懸念を払拭し、生産プロセスにおける伝統的なエネルギー源である天然ガスを置き換えることが可能で、既存の品質要件の範囲内で完全に実現可能であることを確認した。フラストニク社ではこれ以前に再生可能エネルギー源(太陽光発電)からの電力の割合を増やし天然ガス消費の割合を減らすなども行っている。

出所: glassinternational.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

フラストニク社については以下を参照ください。

3. 再使用可能なワインびん

4月22日 グラスオンラインは、O-Iパッケージングソリューション社(OIPS:O-I Packaging Solutions)が再充填可能なびんの復活を促進しているレヴィノ社(Revino)と共同して、オレゴン州で回収再使用できるワインびんを出荷した。2024年夏からワインを充填して販売される。
2020年にゼロ廃棄ヨーロッパ(Zero Waste Europe)の調査では、再使用びんは最も環境に優しい選択肢と報告している。

出所: glassonline.com他

記事詳細は以下のURLを参照ください。

REVINO社については次のURLを参照ください。

OIPS社については次のURLを参照ください。

訳者注: 最近、ガラスびん再使用という試みが目立つようになってきた。
OIPS社はO=Iから生まれた専門チーム。小規模ブランドや新興ブランドがインスピレーションを得た製品を、インスピレーションを与えるパッケージに仕上げるのを支援するのを専門としている。在庫品であればパレット1個分から受注している。

4. CO2ゼロガラスプロジェクト

2月8日 グラスインターナショナルは、CO2ゼロガラスプロジェクト(ZeroCO2-Glass Project)はヴィーガント社、RWTH社、ホーン社およびIPGR他からなるコンソーシアムで、物理的およびシミュレーションを複合させて、完全にCO2ニュートラルなガラスびんの製造を目標として、新型の水素燃焼炉の開発と対応するガラスの化学(反応)の開発を目指している、と報じた。
開発項目:
・炭酸塩の無い原材料およびバッチ調整
・電気と水素を使用した高い柔軟性を持ったガラス溶解炉
・革新的な融液下原料供給に基づく溶解炉の設計注1
・2.4t/dのプロトタイプ溶解炉の作成
このプロジェクトは、ドイツ連邦経済エネルギー省(BMWK)の資金援助(2022年~2024年)を受けている。

出所: glass-international.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

次のアーヘン大学のウエブサイトには炉の予想図が掲載されている。

注1:液中燃焼は聞いたことがあるが、液中供給は初めて聞くように思う。
原文は次のとおりでsubmerged feeding となっている。
Technical design of the glass melting tank based on a revolutionary submerged feeding approach.

訳者注: 本件につきIPGRのHPでも確認しようとしたがHP自体に接続できなかった(理由不明)。また、Wiegand社、Horn社のHPに掲載があるかCO2ZeroGlass+社名でネット検索したがヒットせず。なおBMWKより公的資金提供を受けているのでプロジェクト成果は公表される。