2024年05月29日

海外情報(2024年5月分)

1. アサヒインドガラス社 水素長期供給契約を締結

アサヒインドガラス社(Asahi India Glass:以下AIS社)は、INOXエアープロダクト社(INOX Air Products:以下INOXAP社)からAIS社のソニヤーナ工場(Soniyana,Chittorgarh)に20年に渡って水素供給を受ける長期契約を締結した。INOXAP社が建設する工場はインドのフロート板ガラス工場向けの水素生産施設(生産能力:190t/年、使用電力:太陽光発電、水分解方式)としては初で、2024年7月より当初95t/年で稼働の予定。また同工場では廃熱発電も行う予定としている。なおAIS社はAGCヨーロッパ社から技術的支援を受ける模様。

出所: glass-international.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

注1: フロート板ガラスでグリーン水素使用という事で取り上げた。
注2: AIS社沿革(マイルストーンズ、以下のURL参照)によると、同社は1984年~1986年にAGC社などとの合弁会社としてスタートしているが、AGC社HPにグループ会社として掲載がなく現時点でのAGC社との資本関係などはよくわからなかった。
AIS社については以下を参照ください。

AIS社沿革(マイルストーンズ)は以下を参照ください。

INOXAP社については以下を参照ください。

2. ヴェトロパック社がスイスの製造拠点を閉鎖

5月15日 グラスインターナショナルは、ヴェトロパック社がスイスのローザンヌ近郊にあるサンプレクス工場(St-Prex)を、8月末を持って閉鎖すると報道した。工場存続に向け様々なシナリオを検討したが、同工場は手狭で敷地的に拡張の余地もなく、将来的にも採算の見込みがたたないことから、最終的に閉鎖が決断されたとのこと。これによってヴェトロパック社のスイス国内の生産拠点は無くなり、スイス国内の得意先には同社国外生産拠点から供給されることとなる。

出所: glass-international.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注: チューリッヒ近郊のビューラハ(Bulach)にある本社の移転はせずに、ガラスびんリサイクル事業も継続ということだが、100年以上生産を続けてきた工場の閉鎖というのは地元に与える影響は小さくないと思う。

3. AGPヨーロッパ社 次世代炉で従来より60%低炭素びんを生産

5月16日 グラスオンラインは、AGPヨーロッパ社がドイツのオベルンキルヘン工場(Obernkirchen)に建設した次世代炉(NextGen Furnace)が稼働し、昨年10月からアンバーのビールびんを生産。従来より60%低炭素のびんを生産・出荷していると報道した。

出所: glassonline.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注: 同記事に掲載の動画によれば、使用電極は42本、エネルギーミックスは80%再生可能電力、20%ガスとなっている。記事掲載動画は以下のリンクを参照ください。

4. セルビアのSFSパラチン社が新溶解炉で試験操業を開始

5月10日 シーニュース(SeeNews)社が、セルビアのパラチン(Paracin)に拠点を置くスルプスカ・ファブリカ・スタクラ・パラチン(Srpska Fabrika Stakla Paracin:SFS Paracin)社が50百万ユーロ(約85億円:170円換算)を投資した新溶解炉での試験操業を開始したと報じた。本年末にフル稼働の予定としている。予定されている投資総額は150百万ユーロ(約255億円)でセルビアでの主要なびんメーカとなることを目指している。2022年に同社を引き継いだヴァイダーグループ(Vaider Group)は同社を再生するとしていて、セルビア政府の2022年12月発表によれば6年間で300百万ユーロ(約510億円)の投資を計画している、
記事詳細は次のURLを参照ください。

訳者注: ヴァイダーグループはスイスに拠点があり、ガラス製品やガラス原料の販売のほか様々な事業を展開している。2023年にグローバルグラス(Global Glass)から社名を変更しており、現在はスロベニアの ステクラナ・フラストニク(Steklarna Hrastnik)社と2022年に吸収したセルビアのSFSパラチン社を所有している。ヴァイダーグループについては以下を参照ください。

SFSパラチン社(1908年設立)については以下を参照ください。

ステクラナ・フラストニク社については以下を参照ください。