2024年06月28日

海外情報(2024年6月分)

1. ダイアジオ社 軽量化コーティング開発

ダイアジオ社はその持続可能性の目標に対処するために、エクセルギー(Exxergy)社が開発したコーティングを使用して、ガラスボトルの軽量化を試行し、最初の段階で成功した。ダイアジオ社は第2回目の実験を行い、サプライチェーンパートナーであるアルダ-(Ardagh)社とダッソーシステムズ(Dassualt Systems)社と協力して、これを完成させる予定。

出所: glass-international.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

あるいは

訳者注1: これまで『Diageo社』をディアジェオ社と表記してきたが、特許庁の商標登録を検索するとダイアジオ表記が多く、今後はダイアジオ社と表記変更する。
訳者注2: 出所記事はダイアジオ社の紙製容器試行がメインだが、訳者は出所記事後段のガラスびん軽量化の部分に注目して取り上げた。
出所記事にあるエクセルギー社(Exxergy)で検索するとアルダー社(Ardagh)、エクセルギー社とダッソーシステムズ社(Dassualt Sytems、以下ダッソー社)の3社が協同してナノスケールバーチャルツィンをつかって新種コーティングを開発するニュース(2021年11月22日付、以下のURL)がヒットした事から、既に3年ほどの開発期間をかけていることが判る。

2. O-I社が移動式カレット処理設備を立ち上げ

6月10日 グラスインターナショナル誌は、O-I社が既存のカレット処理設備の無い場所でカレット処理のできる移動式カレット処理設備(モルガ、Morga:MOblie Glass Recycling Asset)を立ち上げたと報じた。O-I社はこの処理設備はトレーラで容易に輸送できるように設計されており、ガラス工場で使用できるカレットを生産でき、目的地、例えば、ビール、蒸留酒などの工場や地域に到着後1日で稼働が可能としている。この処理設備は、年間6,000トンの処理能力がある。
O-I社は全世界平均でリサイクルされたカレット含有率を50%に引き上げる目標を持っている。リサイクルカレット10%あたり全体の排ガス量を5%低減でき、カレット1トンあたり1.6トンの天然資源を削減できる。

記事詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注: リサイクルカレットを処理工場に持ち組み処理するのではなく、発生源にカレット処理設備を持ち込む出前方式には様々な可能性があるように思う。また、国内で東西のカレット収集量の違いが課題となっているが、このような発想は参考になるのではと思う。

3. 東洋ガラス社の酸素燃焼炉

6月5日 グラスインターナショナル誌は、東洋ガラス社が千葉工場で2025年12月に予定されている炉修に合わせて環境に優しい酸素燃焼炉を計画しており、これは日本国内の200t/dを越える大型びん用溶解炉では初となると報じた。酸素燃焼に転換することにより、生産規模を変えずにGHG排出量を約20%削減でき、蓄熱室も不要となることから耐火物等の資源の削減となる。この一方で酸素供給設備の新設費用とその稼働に要する費用が必要となる。

出所: glass-international.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注: 国内でのニュースだが海外メディアでもニュースとなっているので取り上げた。

4. 米国が中国からの輸入びんに相殺関税

6月5日 グラスインターナショナル誌は、米国商務省(USDepartment of Commerce)が、中国が同国のワインびん業界に不公平な補助金を出していると仮認定したと報じた。商務省は予備的相殺関税率が総ての中国生産者に対して21.14%~202.70%と試算している。商務省は今後、米国税関・国境警備局に対し、中国からのワインびんの通関手続きの一時停止と現金での保証金徴収を開始するように指示する。これら暫定的な相殺関税率は、2024年8月に予定されている商務省の最終決定の前に引き上げられる可能性がある。

記事詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注: 中国と米国との貿易摩擦がガラスびんにまで波及している。

5. ヴェラリア社 カレットは脱炭素での一つの鍵

6月11日 グラスオンラインは、ヴェラリア社は自身の脱炭素への道筋でカレットが一つの鍵となるとしていると報じた。近年カレット使用率は大幅に上昇していて、ヴェラリア社の一部の炉では最大95%に達している。しかし、カレットの入手が課題で、ガラス廃棄物の収集・選別・処理の改善が必要となっている。このため、ヴェラリア社は南米などカレット回収インフラが未整備な地域、例えば2021年の回収率が25%だったブラジルでは、びん回収ボックスを設置するプログラムを開始している。また、現在、ヴェラリア社はヨーロッパ西部8カ国に19カ所、チリ、アルゼンチンおよびロシアにそれぞれ1カ所のカレット処理センターを稼働させている。

記事詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注: 国内でも市場カレット回収が課題になっている。一説によれば、家庭から資源ゴミとして出されたガラスびんの量は、消費されたもののうちの約6割と言われており、残り4割が未回収となっている。