2024年08月01日

海外情報(2024年7月分)

1. フランスガラス産業連盟の脱炭素化ロードマップ

フランスガラス産業連盟(La Fédération des Industries du Verre)は、2030年と2050年の脱炭素化目標として電気溶融とリサイクルに焦点を当てることにし、2023年末に、この連盟の脱炭素化ロードマップがフランス産業省によって承認され、2024年4月には、フランス環境エネルギー管理局(ADEME)と共同で業界移行計画(PTS)を策定した。これらの取り組みには、ガラス企業が協力し、研究とプロジェクトを連盟と共有することが含まれている。
フランスガラス業界の総排出量は、CO2で270万トン、フランスの産業CO2排出量の3%、全体のフランスの排出量の0.6%に相当する。
フランスでのガラス製造中に消費されるエネルギーの大部分は、天然ガス(75%)と電力(20%)から供給されていて、業界はエネルギーミックスの多様化と脱炭素化エネルギーへの移行を目指し、最終的には化石燃料を削減し、排除することを目指している。これには、100%電気溶融炉や、80%が電気で20%がガスのハイブリッドオーブンの開発が含まれ、電気溶融に加えて、残留の化石天然ガスは徐々にバイオガス(特にバイオメタン)で置き換えられる予定。
ヨーロッパ各地でハイブリッド炉への投資が発表されており、その一環として、フランスのル・アーヴルにあるサバーガラス(Saverglass)の工場が2027年に80%が電気のハイブリッド炉を導入する予定。

出所: glass-international.com

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訳者注: 業界と行政が共同で計画を策定し、業界は一体化して研究とプロジェクトを共有するという点に着目したい。

2. ヴェラリア社がハイブリッド炉を計画

ヴェラリア社は、フランスのロアール州のサン・ロマン・ル・ピュイ(Saint-Romain-Le-Puy)工場にハイブリッド炉の設置を計画している。2025年に建設が予定され、2026年初頭に稼働を開始する。これはヨーロッパで3番目のハイブリッド炉となる。この炉は、2012年から稼働している同工場の第2炉を置き換えるもので、白、緑、枯落色、シナモン、暗緑色(Tradiver)などの異なる色のガラスの生産を強化する。このハイブリッド炉ではエネルギーミックスの大半となる80%を電力、残りをガスでまかなう予定。
記事詳細は以下のURLを参照ください。

3. O-I社 メキシコにガラスリサイクルのハブを設置

O-Iメキシコ社は、チワワ(Chihuahua)でのカレットリサイクルを増やすためにSiliceと提携し、ガラスリサイクルハブを開設した。このプロジェクトは、地域のガラスリサイクルを増加させることを目的としており、地元で収集された300トン/月のガラスを処理する予定。このハブで処理されたガラスは、メキシコのモンテレイ(Monterrey)にあるO-Iの工場で再利用される。O-I社は2030年までに少なくとも50%のリサイクルガラスを使用することを目標とし、最近では北米でのモバイルリサイクリングプログラムモルガ(MOGRA)を発表している。

出所: glassinternationnal,com、o-i.com

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訳者注: Silice社は若い女性二人が創業してまもない企業らしくウエブサイトはなく、主にSNSで発信しているようだ。

4. 北米ピルキントン社 オハイオ州のガラス中核研究センターへの参加を決定

北米ピルキントン社、O-I社、オーエンズ・コーニング社、リビーガラス社、ファーストソーラー社(First Solar)は共同してオハイオ州にガラス中核研究センター設立を目指している。
オハイオ州は最近、オハイオ開発局のイノベーションハブプログラムからノースウエストオハイオイノベーションコンソーシアム(NOIC)に3,130万ドル(約47億円:150円換算)の助成金が授与されると発表した。この助成金を基に、イノベーションハブが設立される。このハブは、トレド大学(University of Toledo)、ボーリンググリーン州立大学(Bowling Green State University)、地元の民間企業との共同努力により、ソーラーパネル、容器、自動車、建築、およびガラス繊維製品のための世界クラスのガラス研究を拡大するための共有スペースとなる。なお同センターはオハイオ州ペリスバーグのO-I社に設置される予定。

出所: glass-international.com

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訳者注: ノースウエストオハイオイノベーションコンソーシアム(NOIC)については以下のURLを参照ください。

ファーストソーラー社(First Solar)については以下のURLを参照ください。

5. ヴェトロパック社 戦略的エネルギー管理

ヴェトロパック社のクロアチアにあるフム・ナ・ストリ工場(Hum na Sutli)では主要なガスパイプラインのメンテナンス作業に伴い、ガス供給が48時間中断されることなり、対応が求められた。既存のガス供給中断対策は基本的な機能の維持には十分だったが、生産の完全な運転能力の維持には不十分だったため、ヴェトロパック・ストラジャ(Vetropack Straža)社は、合成ガス(液化石油ガスと空気の混合によって生成される)と圧縮天然ガスタンクからの天然ガスを組み合わせた統合技術ソリューションを選択し、供給中断中でも全工場のスムーズな運転を確保した。この対応策は、グループのビジネスの持続可能性への重要な貢献だけでなく、ヴェトロパックの適応力の証明でもあり、エネルギー源の多様化により、供給中断に伴うリスクが低減し、エネルギーシステムの安全性が向上する。

出所: glassonline.com

記事詳細は以下のURLを参照ください。

訳者注: 事業(生産)継続ということを考える意味から記事を取り上げた。
ヴェトロパック・ストラジャ(Vetropack Straža)はヴェトロパックグループのクロアチア子会社。フム・ナ・ストリ工場については以下のURLを参照ください。