2024年10月31日
海外情報(2024年10月分)
1. シシェカム社が2024グラステックでコラボレーションを呼びかけ
シシェカム社(Sisecam)のCEOであるゲルケム・エルヴェリシ氏(Görkem Elverici)氏は、2024グラステックでの講演で、参加者に向けて、業界は2050年の持続可能性目標を達成するための『未来の工場 Plant of the Future』のプラットフォーム(土台、Platform)を創るために協力する必要があると述べた。
同氏は、「この土台で最も重要なことは、私たちはガラスのベストを追求するのではなく、ガラスの次にあるものを追い求めることです。」、「今、ベスト・イン・グラスを追い求めても、すでに手遅れになることは分かっています。」「私たちは皆、将来物事を変える必要があることを知っています。私たちは提示された解決策を検討しており、全員が同じビジョンとイニシアチブを追求していますが、残念ながら、私たち自身を含め、誰も私たちが進むべき100%の解決策への明確な道筋を見つけることができませんでした。」と述べ、テクノロジープロバイダー、競合他社、顧客にこのアイデアを共有するオープン・イノベーション・プラットフォームへの参加を呼びかけた。
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
訳者注: | 開発の所有権、知的財産などを追い求めていないとしており、興味がある方は同社に連絡をしてみてはと思う。 |
2. 500t/d全電気溶融ホットトップ溶解炉
2024グラステック(2024Glasstec)において、フォーグラス社(Forglass)が、500t/dの容量を持つ世界初の全電気溶融ホットトップ炉を発表した。フォーグラス社ホットトップ電気溶融炉は、フリントガラスを溶かす能力を持っているが、カレット70〜90%のアンバー色や緑色ガラスはこれまで不可能だった。フォーグラス社はこの問題をガラス融液内の対流を正確に制御するフォーグラスミキシング電極によって可能とした。
出所: glassonline.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
訳者注: | 訳者はこれまで記事にあるような大型の電気溶融炉はコールドトップが維持できず、上面からの熱放射を補う上部燃焼を利用するハイブリッド炉になると思い込んでいた。今回のフォーグラス社の発表は(記事からはその詳細は不明で同社のホームページにも2024年10月25日現在で掲載はないが)ホットトップで可能ということなら一つの技術的ブレークスルーと言えるので取り上げた。 |
3. O-I社バルセロナ工場が生産停止期間を延長
O-I社バルセロナガラス工場の炉は、市況が悪いため8月から4ヶ月間休止を予定していたが、更に延長され2005年3月まで休止となる模様。生産休止によって工場在庫が減少すると見込んでいたが予想より減少しなかった模様で、同工場の従業員達は工場の先行きを懸念している。
O-I社は、ここ数週間で、グローバルポートフォリオ内の少なくとも6つの炉を閉鎖する意向を明らかにしている。
出所: glass-international.com
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4. アルダー社UKがISの火災カメラシステムを導入
アルダー社は、ファイアーカメラ社(Fire Camera Ltd)と共同で、ガラス製造業界向けに設計された自動火災検知システム、アイエス・プロテクト・プラス・システム(IS Protect Plus System)の開発と実装に成功した。
アルダー社の最高リスク責任者であるステフェン・セーハウゼン氏(Steffen Seehausen)は、「このシステムは、当社の人材と資産を保護するための真の一歩です。」と述べている。
ファイアーカメラ社が開発したこのシステムは、アルダー社UKの専門知識を活用して、特許出願中のデュアルカメラ技術を活用した自動火災検知システムでISマシンの制御システムと統合され、ISマシンの監視と消防システムの全ての要素をカバーしている。そのため、火災やその他の事故、例えばパリソンの詰まりなど、を正確に検出し、拡大を防ぐための即時是正措置を講じ、必要に応じて消火システムを稼働するまでの措置を講じることができる。
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
訳者注: | 現場の安全性を高めるIS制御系との統合システムということで紹介した。 |
5. 火災検知AIシステム
チューリッヒのビデオ人工知能(AI)開発を手がけるスタートアップ企業のセリオン(Cerrion)社は、最近500万ドル(約7.5億円:150円換算)の資金調達にも成功している。同社はガラス業界向けビデオAIおよび自動化ソリューションを開発しており、びん製造工場向けの火災検知AI、ファイアーディテクションAI(Fire detection AI)を発表した。ヴェラリア社(Verallia)、ステルツレ社(Stoelzle)、シシェカム社(Sisecam)、エンサーク社(Encirc)などでセリオン社のAI技術は、生産ラインをリアルタイムで継続的に監視している。
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
セリオン社については以下のURLを参照ください。
同社のびん工場向けの動画は以下のURLを参照ください。
訳者注: | 火災検知の記事が続くが、インダストリー4.0(第4次産業革命)がインダストリー5.0(第5次産業革命)に進む中、これからのびん工場はAI制御ということで取り上げた。 既にAI利用の工場ネットワーク関連ではティアマ社(Tiama)が今年1月にMCAL 4 AIをリリースしている。このAI検査機については以下のURLを参照ください。 |
6. 低コストバイオ燃料プロジェクト
グラスフューチャーズ(Glass Futures)は、セントヘレンズにあるNSGグループのピルキントン(Pilkington UK)の工場で、工業規模の低コストのバイオ由来燃料の実証実験を実施した。
また、Cキャプチャー社(C-Capture)が主導するプロジェクトで、CCUS(Carbon Capture Utilisation & Storage)技術との適合性を評価し、排ガスからCO2を除去する可能性も実証する。
このプロジェクトは、英国エネルギー安全保障・ネットゼロ省(DESNZ)のIFS 2、フェーズ2プログラムの下で英国政府から資金提供を受けており、ネットゼロイノベーションポートフォリオ内で資金提供されている。このプロジェクトには、アルダー社(Ardagh Glass Packaging)エンサーク社(Encirc)、NSG社(NSG Group)、O-I社や、英国の耐火物メーカーDSF耐火物社(DSF Refractories & Minerals)などが参加している。
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
2024年9月海外情報でリンデ社の小林尚博士(Hisashi(Sho) Kobayashi)について、浅学非才で同氏を全く存じ上げないままに、グラスプロブレムズ講演会でこれまでの同氏の功績に対して受賞という話題を掲載したところ、読者の方々から小林博士の経歴などを教えて頂きました。
情報提供ありがとうございます。改めて同氏の略歴などをご紹介します。
小林尚氏略歴: | 東京大学航空工学科を卒業、その後MITで修士、Ph.D.取得。1976年6月以降、現リンデ社(Linde)在籍、現在同社シニアコーポレートフェロー。ガラス業界では1991年に米国で大型商用ガラス工場(Gallo Glass社 https://www.galloglass.com/)にVPSA装置を設置し炉の100%酸素燃焼を実証されるなど酸素燃焼技術の先駆者。ICGでも座長をされ、その他にも顕著な業績を上げておられます。同氏の多数の報告書から以下を紹介します。 |
同氏関連文献: | ADVANCES IN OXY-FUEL FIRED GLASS MELTING TECHNOLOGY Jan.2004 by Hisashi(Sho) Kobayashi, PraxAir |