2024年12月19日
日本ガラスびん協会 研修会に参加して
日本山村硝子株式会社
藤村 憲佑
この度、11月28日と29日の2日間にわたり開催された日本ガラスびん協会の研修会に参加させていただきました。2日間の研修を終え、参加者を代表してレポートを提出することとなりましたので、僭越ながら所感を述べさせていただきます。
講義I 山田専務理事
1. 日本ガラスびん協会について
2.「ガラスびん」の利用に関する消費者意識調査報告
山田専務理事からは、ガラスびんの出荷動向や、ガラスびん協会が行っている活動について説明がありました。各品種で前年に比べ出荷量が減少しており、業界の厳しい状況を再認識しました。また、協会は「ガラスびん=エシカルパッケージ」として、SNSやイベントを活用して幅広い世代にアプローチしていることが紹介されました。例えば、「ガラスびんでシュワシュワ市」や「しよう!再使用!リターナブルびん ラップチャレンジ」などの取り組みです。消費者意識調査報告では、ガラスびんの環境への貢献は評価されていますが、水平リサイクルの認知度が50%に満たない結果となったことが報告されました。このため、ガラスびん協会が検討している「ガラスびんリサイクルマーク」の制定は、ガラスびんがリサイクルされていることの認知向上に有効だと感じました。
講義II 岩本技術参与
・海外トピックについて -EUでの脱炭素実施状況、海外業界でのAI導入事例-
岩本技術参与からは、EUのガラスびん工場での脱炭素実施状況や、海外業界でのAI導入事例が紹介されました。日本と比較して、脱炭素やデジタルトランスフォーメーション(DX)の進展が驚くべき速さで進んでいることを学びました。また、AI導入は人員不足への対応に欠かせないものの、ガラス製造において熟練工の技術がAIで完全に代替するのは難しく、技術者を守る重要性についても再認識しました。
講義III 富士ボトリング株式会社 代表取締役社長 山崎 和彦 様
・『残された時間で間に合うか? 破滅へのカウントダウン』
山崎社長からは、街中でゴミをほとんど見かけない日本の現状が「ゴミ貿易」によるものであり、世界的に大きな悪影響を与えていることについて説明がありました。特に、マイクロプラスチック問題が人体にどのような影響を与えるかがわからないことを危惧しています。また、温室効果ガスの増加が異常気象を引き起こす原因となっていることに触れました。そこで、使い捨て容器からリターナブル容器への転換が重要であると強調され、富士ボトリング様の活動が紹介されました。特に、「足柄聖河」の事例では、ガラスびんの持ち運び不便というイメージを逆手に取った戦略に感銘を受けました。樹脂容器が増えていく中で、ガラスびんの価値を再認識しました。
グループ討議
目 的: |
「ガラスびん」の利用を自分事として考え、これからの生活にリンクさせる |
テーマ: |
「ガラスびん」の利用に関する消費者意識調査報告からターゲットを決め、ガラスびんのキャンペーンやイベントを企画する。 |
グループ討議では、消費者意識調査に基づき、各グループでアイデアを出し合いました。私たちのAグループでは、ガラスびんのリサイクルに対するハードルを感じる消費者が多く、購買意欲の低下に繋がっているという結果に注目しました。そのため、リサイクルを促進するキャンペーンを提案しました。Bグループは、ガラスびんの外観の良さを強調するため、若い世代に向けたガチャポンや自販機形式での販売方法を提案しました。Cグループは、次世代を担う子供たちにガラスびんを身近に感じてもらうため、スタンプラリー形式の体験型イベントを企画しました。各グループのアプローチは異なり、ユニークな発想が非常に興味深いものでした。
全てのグループ発表後、牧野技術委員長から総評をいただき、研修は終了しました。
総括
今回の研修を通じて、各ガラスびんメーカーのさまざまな部署の方々と交流を深めることができ、大変貴重な経験となりました。今後、この繋がりを活かし、ガラスびん業界をさらに盛り上げていけるよう努力していきたいと思います。
最後に、今回の研修を企画・運営していただいた日本ガラスびん協会の技術委員の皆様、ならびに関係者の皆様に心より感謝申し上げます。ありがとうございました。