2016年01月06日

第6回異業種交流会を開催しました

 労務委員会では異業種との交流を通し新たな知見と情報を得ることを目的に異業種交流会を開催しています。6回目となる今回(9月初旬)は株式会社神戸製鋼所加古川製鉄所様を見学させていただくことになりました。
 ガラスびん同様に連続操業と鉄溶鉱炉(高炉)を所有し高熱の現場であることなど我が業界にとっても大いに参考になる交流事例と携え訪問をさせていただきました。
 当日は前日まで続いた雨も上がり晴天の中、兵庫県加古川市は加古川のほとりにある加古川製鉄所に到着しました。製鉄所の陸側は緑豊かなグリーンベルトと高さ25メートル、長さ2㎞の防塵ネットに覆われています。海側に迫り出す570万㎡の敷地の中に加古川製鉄所の各施設が威容を誇ります。広さは甲子園球場の150個分に相当する面積だそうです。移動手段も車両か自転車に限られ我々一行もマイクロバスにて見学ルートを辿ることになります。
 当日は加古川製鉄所総務部労働室人事担当課長の飯塚様にご案内をいただき、まずは応接室で加古川製鉄所様の概要と原料から各種鉄製品が出来るまでの一連の製造フローのご説明をいただきました。
説明を終えいよいよ広い場内見学に向かいます。
 前日までの雨の影響もあり場内の通路は水が溜まり車は水の中をくぐり抜けますがこれには訳があるそうです。敷地は三方が海に囲まれていることから、汚れた水を海に流出させないために敷地全体がすり鉢状に設計されているとのことでした。また、その汚水もリサイクルされ冷却水などに再利用されているそうで環境配慮への取組みが窺われます。環境配慮と云えば広い場内を覆うように防塵ネットが張り巡らされています。目の細かい特殊な防塵ネットは大変高価な代物だそうです。
 まさに「地域社会との共存共栄と地球環境にやさしい鉄づくりに情熱をかたむけています。」を標榜する取組みの一端を感じることができました。
 まずは原料ヤードです。鉱石ヤードと貯炭ヤードがあり鉱石をペレット状に石炭をコークス状に前処理を行います。次に我々が向かったのは高炉と呼ばれる鉄に還元溶融する工程です。高炉は製鉄所のシンボルと呼ばれており高さは約100mの大きな炉です。羽口から約1,200度の熱風を吹き込み鉱石を化学反応によって還元溶融させ銑鉄(溶けた鉄)をつくります。高炉に使用される煉瓦は、昔は5~6年しか持たなかったそうですが、今では煉瓦の厚さも薄くなり20年~25年は持つように進歩を遂げていて、高炉内部の体積も広がり生産効率も各段に向上したとの説明でした。
 階段を登り高炉の心臓部である高炉制御室を見せていただきましたが、巨大な設備は電子制御により僅かな人数でコントロールされています。
 加古川製鉄所では、厚鋼鈑、熱延鋼鈑、線材など様々な鉄製品がつくられていますが、次に見せていただいたのは、厚鋼鈑をつくる厚板工場です。厚板工場は、連続鋳造工場より送られてきたスラブと呼ばれる長方形の鉄の塊を圧延機で圧延し造船、橋梁、各種産業機械などに使用する厚板をつくります。
 発注先から寄せられた発注指示に従い、長さや厚さなど細かな条件に従い圧延されていきます。何やらすべてオーダー品なので寸法もまちまちだそうで、発注から納品まで1~2ヶ月を要するとのことでした。圧延工程はコンピューターで管理されていますが、説明によりますと細かな条件に合わせるために熟練した技能が必要でオペレーターの方は手足を使いまるで「ガンダム」を操縦しているかのような雰囲気だそうです。
 圧延工程では真っ赤に焼けた鉄の塊が圧延機のローラー上を、水を掛けながら行ったり来たりを繰返します。見学通路とはかなり離れているのですが行き来する度に水は一瞬にして弾け飛び、感じる熱風は相当なものでした。迫力満点の圧延工程は製鉄所の花形なのかも知れません。
 今回、原料ヤード、高炉、厚板工場を見学させていただきましたが、現在、加古川製鉄所には関連会社を含め約8,000名の方々が従事され、その内の1/4が交替勤務者とのことでした。昨今は交替勤務を敬遠する人も多く、人材確保にご苦労されている点は我が業界と共通の課題認識でありました。
 また、女性の現場勤務者も神戸製鋼だけで50名程度(内、20名が交替勤務)いらっしゃるとのことで、主に成分分析や検査業務などに就かれているとのことでした。
 広大な敷地の中に製品別に様々な工場施設が存在していますが、製鉄所内で使用する電力や燃料などのエネルギーを運用するために自家発電設備を設置し、廃熱回収設備とガスタービン設備を導入し、効率的なエネルギー運用と省エネルギーを図られているとのこと、環境配慮とエネルギーのリサイクルに根ざした製鉄所との印象を強くした見学会でありました。
 最後になりましたが、今回の訪問に際し、ご対応をいただいた飯塚課長様、そして、何かとご調整の労をお取りいただきました、神鋼造機株式会社管理部総務室の伊藤室長様にはこの場を借りまして心より厚く御礼申し上げます。

 株式会社神戸製鋼所様のホームページでは、加古川製鉄所の製造工程を動画でご紹介されています。
 こちらの画像もご覧ください。
 http://www.kobelco.co.jp/products/visual_tour/kakogawa_works/index.html

飯塚課長様より加古川製鉄所の概要についてご説明をお伺いする。

工場見学終了後に総合事務所前にて参加メンバーとの記念撮影

以上

日本ガラスびん協会 労務委員長