広報委員会取材レポート
2026年02月04日
広報委員会取材レポート 木村飲料株式会社様
日本ガラスびん協会広報委員会では、ガラスびんに関する広報活動と日頃からのご愛顧に感謝を込めて、ガラスびんに関連した様々な場所を訪問しています。
今回は「第21回ガラスびんアワード2025」においてリリー・フランキー賞を受賞した「東海道サイダー」を製造されている、木村飲料株式会社(静岡県榛原郡吉田町)を訪問し、ガラスびんへの思いや会社の将来の展望など、様々なお話を伺いました。
【ご対応者】
代表取締役 社長 木村英文様
生産管理部 部長 大村英之様
1.木村飲料株式会社について
サイダーやラムネなど様々な清涼飲料水を製造・販売する木村飲料株式会社は、1953年に設立されました。今回訪問した浜工場と、吉田工場の2工場を有しており、浜工場では自社ブランドのびん入りサイダー・びん入りラムネ、OEMでPETボトル入り炭酸水などを製造しています。今回リリー・フランキー賞を受賞した「東海道サイダー」も同工場で製造されています。
2.工場見学
木村飲料の「東海道サイダー」は、浮世絵「東海道五十三次」の中から静岡県内の宿場を描いた原画を1本ずつラベルにデザインし、20種をそろえた商品です。製造ラインで中身を充填した後、手作業でラベルを貼っています。そのため、今回は類似のびん入りサイダーの充填の様子を見学させていただきました。


浜工場では2025年に設備を更新し、生産能力が大きくアップしたそうです。木村社長からも製造設備への投資を進め基盤を強化し、成長を拡大していきたいとのコメントがあり、早速有言実行されていることがわかりました。
また工場の建つ静岡県榛原郡吉田町は、大井川の近くという立地から地下水が豊富であり、水が大切なソフトドリンクの製造には最適な場所です。工場の近くには、豊富な水源を生かして、古くからうなぎ養殖場も多くあるとのことでした。
さらに驚いたのは、ラムネやサイダーの商品によって、充填時の炭酸のガス圧を変えているということです。果汁が多い商品は、炭酸が多いと酸味を感じやすいためガス圧を控えるなど、商品の特徴によって微調整しているそうです。数多くの種類のソフトドリンクを手掛ける木村飲料のこだわりが感じられました。
3.質疑応答
広報委員からの質問について、木村社長にお答えいただきました。
| Q: | 商品の企画から上市までの流れを教えください。 |
| A: | まずアイデアが先にあり、それからレシピをつくり、それに合わせたラベルをつくり、ガラスびんを選びます。木村飲料の強みはアイデアから製品化までが早いことで、早くて2週間、遅くても1ヶ月以内には製品化できます。 アマビエサイダーも1ヶ月かからず製品化し、2019年の売り上げトップ商品になりました。注目を浴びて多くのメディアにも取り上げられました。 思いついたらすぐ行動し、製品をつくってしまう。失敗も多いが、それを会社の強み、エンジンとして考えています。 |
| Q: | ユニークな商品のアイデアは、社内の開発部署か、それともお客様の声や社外からのオファーか、どちらか生まれることが多いですか? |
| A: | ユニークな商品は私のアイデアが多いです。おいしい商品は社員が考えています。 |
| Q: | チョコバットサイダーやカレーパンサイダーなどの変わった風味は、どのように開発・調整されるのですか? |
| A: | 県内にあるアンテナショップに試作品を置いて、お客様の意見を聞きます。わさびラムネを出した時は「もっとおいしくした方がいい」「一口飲んで帰った」という意見が多くありました。そこでわさびのツンとする味を抜くように調整すると、ネガティブなご意見がなくなりました。このようにお客様と対話しながら味づくりや調整をして商品をブラッシュアップしていきます。 |
| Q: | 商品アイデアを思いついた時、それが商品化に向くかどうかを判断する基準はありますか? |
| A: | とりあえず飲んでみて、「おいしい」と思ったら発売して、「まずい」と思ったらお蔵入りです。アイデアが面白くてもおいしくないとだんだん売れなくなっていきます。最終的にはおいしさが大事です。 ただ、「まずい」と判断した場合でも「まずい」の分析が必要です。人間は誰しも初めての味はまずいと感じます。だから、「まずい」というのは今まで覚えのない味ということになるので、むしろ誉め言葉だと思っています。「まずい」と言われてすぐに直すのではなく、お客さんはどう思っているのかを探求していきます。 |
| Q: | 「絶対売れないと思ったけど、やってみたら好評だった」逆に「絶対売れると思ったけど反応がいまひとつだった」という商品はありますか? |
| A: | 「絶対売れないと思ったけど、やってみたら好評だった」のは、イカの塩辛サイダーと納豆サイダーです。両方ともつくってみて早々にお蔵入りになっていましたが、ある企業からクリスマスパーティーを盛り上げるアイテム用として「まずいサイダーはありますか?」との問い合わせがあり、「ありますよ」と提案したらすぐ採用になったことがあります。 まずはどんどん開発して、失敗品や保留品もたくさんストックを用意しています。 |
| Q: | 「東海道サイダー」浮世絵「東海道五十三次」をラベルに使おうと思ったきっかけを教えてください。また、今後のシリーズ拡大の構想はありますか? |
| A: | 「東海道サイダー」は、実は20年前に登録商標を取っていたのですが、長らく商品化できていませんでした。そうしたら2025年にNHK大河ドラマ「べらぼう」が始まるというので、江戸時代の町人文化を描くという舞台設定から東海道に関連する商品が注目されるかもしれないと思い、慌てて製品化しました。 宿場は全部で55宿あるので、まだまだ拡大できそうです。 |
| Q: | 貴社でびん入りラムネを初めて生産されたのはいつでしょうか? |
| A: | 木村飲料は1953年に設立しましたが、その5年前の1948年に島田食品としてラムネの製造を開始しました。現在は浜工場と吉田工場両方でラムネを製造しています。浜工場をはじめ多くのメーカーでは、ビー玉が押し込まれた状態で納品されたキャップを使用しています。一方吉田工場では、ビー玉の入ったびんに炭酸ガスと中身を充填したあと、逆さまにして、炭酸ガスの内圧によってビー玉で飲み口をふさぎ密封する「反転式」という昔ながらの方式を、75年前からずっと続けています。 |
| Q: | ラムネは海外で人気とのことですが、人気の理由を教えてください。 |
| A: | ラムネは直飲みできます。ビー玉のカランとした音色が響き、中身が見えて、ひやっとした口当たりを体感できる。まさに五感で楽しめるソフトドリンクです。世界でラムネを製造しているのはインドと台湾、日本くらいしかありません。海外はまだまだ拡大の余地があると思いますので、今後も注力していきたいです。 |
| Q: | ガラスびんを使い続けていただいている理由をお聞かせください。 |
| A: | まず世界的にはSDGsなど環境面の観点からガラスびんが好まれていることもあり、輸出用の商品には積極的にガラスびんを使っています。国内でも、大手メーカーとの差別化を図り当社らしさを出すために、ガラスびんを採用しています。 |
4.今後の展望について
引き続き、今後の展望について木村社長にお話をお伺いしました。
1)「ラムネ学校」
廃校となった小学校を活用し、びん入りラムネの見学体験型工場(通称「ラムネ学校」)を開業する予定です。
昔ながらの「反転式」のラムネ充填機の展示やオリジナルラムネづくりなど、ラムネについて学び、体感できる場所にしたいと考えています。
実は、これまでも近隣の小学校から工場見学の依頼があったりしていたのですが、工場に見学通路がないため泣く泣くお断りしていました。そこでこどもたちにラムネづくりや木村飲料を知っていただく場所をつくろうと、「ラムネ学校」構想がスタートしました。
こどもたちや地域の方はもちろん、観光客にもたくさん来てほしいですね。海外からのお客さんにも来てもらって、ぜひ日本の文化であるラムネを世界に発信してもらいたいです。このような発信拠点、観光拠点、そして木村飲料のファンづくりの場として考えています。
アイデアはたくさんあって、例えば運動場を整備してマルシェを開いたり、音楽室でカラオケができるようにしたり。あとは、災害時の避難拠点としても活用できるよう、ヘリポートや発電機、太陽光パネル、段ボールベッドなどの備蓄も設置したいと思っています。社長業の傍ら地元の防災訓練の取りまとめも行っているので、その経験を生かして、企業としても災害時にお役に立てればと思っています。
2)海外戦略について
現在、約40か国にラムネを輸出しています。当社が農林水産省に提出した輸出事業計画では、2022年時点で約1億本である輸出量を、2028年には約2億本に倍増すると宣言しています。今後も意欲的に営業活動をしていきたいと思います。
また、ラムネ・サイダーの製造会社はかつて全国で2,000社以上ありましたが、現在は数十社まで減少してしまいました。静岡県内では、20年前から当社だけです。寂しいことではありますが、これからも各社で力を合わせて、世界にラムネの魅力を伝えていきたいと思います。
5.おわりに
今回の取材では、ユニークな商品が生まれる背景から海外での展望、さらにはラムネを通した地域貢献など、様々なお話を伺うことができました。また容器をガラスびんにこだわっていらっしゃることを大変うれしく思いました。これからも日本ガラスびん協会では、ガラスびんの良さをもっと世の中に伝えていけるようにしたいと思います。
この度は広報取材にご協力いただきありがとうございました。


