海外情報
2026年03月31日
海外情報(2026年3月分)
1. FEVE欧州エネルギー転換 2025年進捗報告
3月2日にFEVEは、業界の脱炭素に向けたエネルギー転換の2025年の進捗状況報告(Accelerating the European container glass industry’s energy transition Our progress in 2025)を公表した。
この報告では、溶解炉の全電気溶融、ハイブリッド、バイオ燃料・バイオガス、水素の利用などの他、様々な脱炭素に向けての事例や、脱炭素を進めるための環境条件の加速などについても言及され、報告の最後に進む方向は明確(the direction is clear)として以下が挙げられている。
| 01 | インフラが許容する範囲で、全電気溶融やハイブリッド溶融を大規模に展開する。 |
| 02 | グリーン水素、バイオ燃料、バイオメタンが、地域に適した、実現可能な入手経路で提供されるところでは、その使用を推進する。 |
| 03 | 高品質なカレット、強力な収集システム、良く設計された再利用モデルを通じてガラスびんの循環性を最大化する。 |
| 04 | びんデザイン、原材料、(輸送用の)二次包装について引き続き革新を進める。 |
| 05 | スコープ3排出を削減するスマートでクリーンなマルチモーダル物流ネットワークを構築する。 |
出所: FEVE
報告は以下のURLより入手可能。
| 訳者注: | 非常に良くまとまった進捗報告で、参照文献等も充実しており参考になると思う。 |
2. AI活用によるガラス製造改善
米ボウリング・グリーン州立大学(BGSU:Bowling Green State University)の研究者らは、ガラス溶融工程にAIを導入し、プロセス制御とエネルギー効率の向上を目指す3年間の研究プロジェクトを開始した。センサー不足によるデータ課題を補うため、未測定データを推定するアルゴリズムや、多目的最適化技術の開発を進める。本プロジェクトは、ガラス・イノベーション・ハブ(Glass Innovation Hub)を設立した非営利団体NOICから65.2万ドル(約1億円:160円換算)の助成を受けている。また本プロジェクトには、BGSUおよびトレド大学とともに、地域に本社を置くグローバル企業が産業パートナーとして参加している。
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
- https://www.glass-international.com/news/us-researchers-to-investigate-ai-use-in-glass-manufacturing
| 訳者注: | AI制御と聞くとセンサーだらけの現場になるのかと想像していたが、記事によれば“ガラス炉内部の極端な高温および腐食環境のため、十分な測定を行うだけのセンサー設置が現実的でない”“このデータ不足を補うため、研究チームは既存のセンサーデータから未測定変数の値を推定するアルゴリズムの開発を計画”とあり、今後が楽しみである。 |
3. ビドララ社 スペインで約300億円の投資を計画
2026年3月18日 グラスインターナショナルは、ビドララ社がスペイン・アルバセテ県カウデテ(Caudete)にある同社の工場に、1.8億ユーロ(約300億円:180円換算)を投資し近代化すると報じた。この工場は立地するカスティーリャ=ラ・マンチャ(Castilla-La Mancha)のワイン産業と密接に結びついている。同工場には2基の炉と8本の生産ラインがあり、約300人を直接雇用しており、地域における主要な産業雇用主の一つとなっている。2基ある炉のうち1基を改修し、年間生産能力を10%拡大、その後、環境条件によるが、第2段階で第2溶解炉の改良、電力設備の拡張、敷地内に新たに再生可能発電設備を設置、さらに、大型成形機を導入する予定。
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
4. イラン情勢がインドの会社のエネルギー供給に影響
3月13日 グラスインターナショナルは、イラン紛争が薬品びんやガラス食器などを生産しているボロシルグラス社(Borosil)へのエネルギー供給(LPG)に影響を及ぼしていると報じた。同社はエネルギー供給会社よりLPG供給を制限するという通告を受け、ラジャスタン州ジャイプール(Jaipur, Rajasthan)にあるプレス製品用の硼硅酸ガラス炉の生産を一時停止、オパールガラス炉の生産を縮小している。
出所: glass-international.com
記事詳細は以下のURLを参照ください。
ボロシル社については以下を参照ください。
国内ではここまでの話は聞いていないが、2月28日に始まったイスラエル・米国によるイランへの攻撃の結果、3月23日現在、ホルムズ海峡がイランにより事実上封鎖され、中東に大部分を依存する原油の供給の先行きが懸念されている。一方、LNGについては、JETROの3月11日付け記事(https://www.jetro.go.jp/biznews/2026/03/7dc85f3bc19692d8.html)には「日本の貿易統計によると、2025年のLNG輸入量では、カタールが日本全体のシェア5.3%、アラブ首長国連邦(UAE)がシェア1.0%でホルムズ海峡依存度は6.3%だった。これとは別に、ホルムズ海峡を通過しないオマーンからの輸入量はシェア4.5%で、中東全体の依存度としては10.8%だった。なお、日本のLNG輸入量は、オーストラリアがシェア最多で39.7%、マレーシアがシェア14.8%、ロシアがシェア8.9%で続いた。」とあり、海峡を通過するLNGは比率的には少ない。しかし、価格は既に高騰(https://journal.jogmec.go.jp/oilgas/nglng/index.html)しており、先行きが気になる。
