2017年12月28日

海外情報(2017年12月分)

1. O-I社が初のグローバルデザインブックを発表

 O-I社が、ブランドオーナーとデザイン代理店にインスピレーションを与えるグローバルデザインブックを発表した。このデザインブックは、世界中のブランドオーナやデザイン代理店の協力を得て100以上のデザインを集めたもので、インスピレーションや新鮮なアイデアを求めるブランドオーナーやデザイン代理店に、他素材にはないガラスびんの持つ美しさ、多様性、ブランド差別化、色、形状や様々な印刷模様を提供するツールとなると期待されている。ガラスびんは消費者の心の奥底にあるニーズ、例えば、ピュアで、他素材にない質感があり、高級感を与え、環境に優しく、健康を害さない、といった深い感覚的なところに届くものを持っていて、消費者から愛されており、さらに、そのデザイン多様性もあって、独特の使用感があり、それが製品やブランドの価値を高めている。

 このデザインブックは、O-I社の得意先や世界中の主要なデザイン代理店に配布されていおり、入手希望の場合には info@o-i.com で受け付けている。

出典:GlassOnline 2017/12/14

訳注:このデザインブックを同業他社が入手できるかどうかは不明だが、希望を出してみてはどうだろうかと思う。

2. ウズベキスタンのAsl Ojna社が生産規模を3倍に拡大

 2009年に生産を開始したウズベキスタンのAsl Ojna社が、178百万ドルの設備投資を計画している。これによって同社は現有溶解炉2基の体制が5基体制となり、生産規模は年間200百万本から600百万本と3倍に拡大される。設備投資に必要な資金は、対外経済担当中央銀行はこのプロジェクトに3,000万ドルと、ウズベキスタン復興開発基金から1億ドルのローン資金が予定されている。また、Asl Ojna社は2019年までに清涼飲料水、ビールおよびアルコール飲料を生産する工場を建設する予定。

出典:Glass International Weekly Magazine 2017/12/05

訳注:他のニュースソースを見るとAsl Ojna社は輸入に頼っているガラスびんの自国生産と輸出を目指しているようだ。また、同社のHPの製品写真をみると現在はフリントびんを生産しているが、この拡張によってアンバーびんを生産できるようになる。同社については以下のURLをご参照ください。

3. Verallia社の従業員教育

 Verallia社は、2013年にベラリアグラススクールを同社のエンジニアリング部門の本拠があるフランスのシャロンスルソーヌ(Chalon-sur-Saône)に設立し、同社がフランス国内に保有する7工場の将来の技術部門のリーダや現場の責任者を養成している。このスクールでは、今年、9名の訓練生が、これまでだとエキスパートとして必要な知識移転に10年かかる訓練期間を加速した2年間の厳しい養成期間を終了し、成形現場のエキスパートとして、修了証書を受け取った。

出典:Glass International Weekly Magazine 2017/12/07

訳注1:Verallia社については以下をご参照願います。

訳注2:最近、各社、各国ともに現場技術者等の養成に力を入れているニュースが多い。当協会でも技術伝承は重要な課題と考え、ガラスびんに特化した初級中級技術者向けのコースを開催している。

4. Verallia社主催のデザインアワード

 Verallia社は、2010年から同社が主催して美術やデザインを専攻する現役学生や最近の卒業生といった若手のデザイナーを対象にテーマを与えてデザインを考えて貰う、ベラリアデザインアワード(Verallia Design Awards)を開催している。参加する学生達には同社のチームからガラス素材とガラスびん製造に関して知っておくべき詳細が教えられるというサポートがある。入賞者にはおおよそ2-6万円程度の賞金が出され、製品化されるデザインもあるといった事があり、毎年参加する学生達の数は増加し、2017年は1,000人程の学生が参加し、パリでグランドフィナーレが開催された。

出典:Glass International Weekly Magazine 2017/12/14

訳注:Verallia Design Awards については以下をご参照願います。

2017年はフランス、ドイツ、ポルトガル、スペイン、イタリア、ウクライナとブラジルの7ヶ国で開催された。基本的に参加募集などネット上で見ることが出来るものは各国の国内向けで英語版は無い。このため、2017年の結果を通知するVerralia社の英語頁、イタリアの選考動画とウクライナのサイトが英語バージョンだったので参考に上げた。
またVerallia社については以下を参照願います。

5. ドイツの裁判所がTIAM社のAtlas検査機特許に有利な判決

 2017年9月19日の判決(ファイルNo. X ZR 114/15)で、ドイツ連邦最高裁判所(BGH)はTiamaを支持した。Tiamaの欧州特許第1 147 405号について、デュッセルドルフの民事裁判所は、以前、侵害に関する最終的かつ拘束力のある決定を下していたが、この特許の有効性に疑問を持つHeye International社がTIAM社と争っていた。今回、ドイツ最高裁判所は、①特許は新規性と進歩性の要件を満たしている、そして、②特許に対する抗弁は根拠がない、とした。この結果、Tiama社はこの技術のユーザーに対して損害賠償請求を求めるとしている。これに対して、Heye International社は、特許を侵害しているとされた製品と同じ商品名の新製品Ranger2について、この検出システムは現在市場で完全に利用可能としている。

出典:Glass International Weekly Magazine 2017/12/05

6. Zippe社のVibrotubeバッチチャージャシステム

 Horn社は、Zippe社より2基のVibrotubeバッチチャージャシステムを購入し、スロベキアのVetropack Nemsova工場に設置する。Horn社はVibrotubeシステムを選択した理由として、他のバッチチャージャシステムに比べてドッグハウスが完全にシールされる、損耗が少ない、バッチの分散が良い、調整範囲が広い、省エネに寄与する、といった事を上げている。

出典:Glass International Weekly Magazine 2017/12/05