2021年02月22日

海外情報(2021年2月分)

1. エンサーク社がバイオ燃料を使用し超低炭素負荷のガラスびんを生産

2月5日 エンサーク社とグラスフューチャーズは、北アイルランドに立地するエンサーク社デリリン工場で、リサイクルカレット100%に加え、超低カーボンのバイオ燃料を使用して、カーボンフットプリントが非常に低い(最大90%削減)ガラスびんを生産することができたと発表した。これは世界初の先導事業で、ガラス業界がこれまで使用してきた化石燃料から離れ、低炭素の代替品に向かうという業界全体の二酸化炭素排出量の削減への道を開くと考えられている。
この実証試験は、英国のビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のエネルギーイノベーションプログラムの一環で、詳細な報告が提出される予定になっている。
エンサーク社の親会社であるヴィドララ社のサステナビリティー担当役員のオドネル氏は次のように述べた。「このバイオ燃料試験で得られた成果は、本当に驚くべきもので、当社および業界にとって非常に明るく持続可能な未来を描いている。水素や、(中略)電気溶融の進歩についても検討している。(後略)」、「グラスフューチャーズと協力し、ネットゼロ対応のガラスびんの開発を行うことは、ライフサイクル全体を通じて環境に悪影響を及ぼさないということを意味する。」

出所:glass-futures.org/encirc360.com

訳者注:発表ではバイオ燃料の組成は記載されておらず不明。しかし、関係者がブレイクスルーと言っており、今後、詳細報告が公開されることを期待したい。
記事詳細は以下のURLを参照ください。

2. ヨーロッパの19社連合で大型ハイブリッド炉の実証実験

ドイツのアルダー社は、同社のオベルンキルヘン工場(Obernkirchen、アムステルダムから東へ約390km)にハイブリッド炉(350t/d)を建設し、CO2排出50%削減を目標に、大規模電気溶融炉の技術的、商業的評価を行う。これはF4F(Furnace for the Future)と呼ばれるプロジェクトで、EUで事業を展開する19社が連合して資金他を拠出して行う。プロジェクトはEUのETSイノベーション基金の資金入手も検討している。

出所:glassworldwide.co.uk

訳者注:アルダー社のHPによれば大型ハイブリッド炉建設は2022年、最初の評価を2023年に行う予定。これには相当な資金、人的資源、技術的知見などが必要となり、業界全体の問題でもあることから、業界団体であるFEVEが各社に呼びかけてとりまとめを行った模様。その中でアルダー社が手を上げ、ハイブリッド炉を建設することになったようだ。FEVEによると連合19社で、ヨーロッパで生産されるびん90%をカバーしている。
現時点、英国ではグラスフューチャーズが中心となって2050年カーボンニュートラルに向かって開発スタート、大陸側ではF4Fがスタートという状況になっている。他に次の記事にあるように水素を利用した実験炉規模でのハイグラス(Hyglass)と呼ばれるプロジェクトがドイツガラス連合(国内のGIC相当)で予定されている。
記事詳細については以下のURLを参照ください。

3. ドイツガラス連合がハイグラスプロジェクトへの資金を州政府から受領

ドイツガラス連合(BVglas:Bundesverband Glasindustrie eV、日本でのGIC相当)は、同連合がエッセンのGWIインスティチュートと共同して行う水素を化石燃料代替としてガラス溶融に使用する事を研究するハイグラス(Hyglass)プロジェクトに対して、北部ライン-ヴェストファリア州政府からの基金を受領した。このプロジェクトでは実験炉を使用して最終的には100%水素燃焼を目指し、水素混合割合を様々に変更して実験を行う。

出所:glassworldwide.co.uk

訳者注:記事詳細については以下のURLを参照ください。