沖縄の人の心意気「泡盛」と、 色濃い文化をあらわすガラスびん

取材に訪れたのは沖縄県の南部、糸満市にある比嘉酒造「泡盛まさひろギャラリー」。
明治16年創業の老舗で「まさひろ」や「島唄」などの銘酒で知られています。その酒造所の2階にあるのが、おそらく全国でもここだけと言われる「泡盛ミュージアム」。戦後から現在までに発売された珍しいボトルの泡盛をはじめ、県内48の酒造所の銘柄が一堂に展示されています。
「あまりにも多すぎて、展示されている泡盛の本数を数えたことありません」と話すのは、ギャラリーを案内してくださった安次嶺(あしみね)晃さん。かりゆしウエアーがよく似合う方でした。

展示の中に原料のコーナーがあり、泡盛はタイ米でしかできないことが書かれていました。沖縄が返還されるとき、基本は日本国内米で作るという製酒の原則を、「タイ米を使う泡盛は沖縄の誇りであり文化である」という信念を貫いたことで、昔のままの泡盛が今に息づいているというお話は、訪れた私たちに小さな感動を与えてくれました。
今も昔も変わらない泡盛。その品質をしっかり守るガラスびん。「泡盛ミュージアム」は、美しいガラスびんが見られるとともに、こうした沖縄の人たちの心意気まで伝えてくれました。

さて、沖縄の伝統工芸のひとつに「琉球ガラス」がありますが、これはもともと戦後のアメリカ統治時代にアメリカ兵が捨てたコーラなどの空きびんをリサイクルして生まれたものです。本土では最近ようやくリサイクルや資源の再利用に積極的になってきましたが、資源が不足していた沖縄では戦後すぐに始まりました。
泡盛のびんは、ほとんどの酒造所の規格が同じものを採用し、きれいに洗浄して各泡盛メーカーのラベルを貼り、新しい商品として世に出て行きます。傷ついて再利用ができなくなったガラスびんも、砕いてまた新しいびんとして生まれ変わっていくそうです。
文化として「リサイクル」が語れる沖縄に、ちょっと脱帽でした。そして、今回の沖縄取材中にガラスびんに入った食品に良く出会いました。泡盛に島とうがらしを漬け込んだ「コーレーグース」と呼ばれる調味料や、沖縄の美しい海からできる「天然塩」などがありますが、どれもかわいらしい「びん」に入っています。
南国の暑さの中で大切な商品をきちんと保つために、ガラスびんが役立っていることを感じました。


比嘉酒造「泡盛まさひろギャラリー」では、泡盛の試飲や、工場見学をすることもでき、気軽に泡盛のことを知ることができます。(工場見学の際は事前にお電話にてお問い合わせ下さい)

■比嘉酒造「泡盛まさひろギャラリー」

住所:沖縄県糸満市西崎町5-8-7 TEL:098-994-8080
http://www.masahiro.co.jp/