ガラスびんの中に移りゆく時代を見つめて

東京都中野区にある、庄司さんの私設博物館「ボトルシアター」。館内には明治から大正、昭和初期のびん製品がコレクションされています。30年ほど前から集めたガラスびんは、現在 5万点以上にのぼり、その数は今も増え続けているそうです。
庄司さんがガラスびんにひきつけられる理由のひとつは、「ガラスびんが時代を表現している」こと。製品としての役目を終えたガラスびんを手にとって見ていると、その使われていた時代背景、使われていたものの匂いを感じることができると言います。庄司さんはガラスびんにしたためられた時代の息吹を保存し、モノが語りかける声に耳をすましているのです。
捨ててしまったらそれまでのモノが、ここ「ボトルシアター」では、何か雄弁に語っているようにも感じました。庄司さんはこのガラスびんを通して、今の日本人が忘れてしまっている大事なことを伝えているのです。

ファーストアルバム「壜博士の“ボトル・フラグメント”」

庄司さんはびんの収集にとどまらず、びんに関する執筆活動や、音楽活動も精力的に行っています。これまでも、学園祭やライブハウスなどで、「ボトルソング」と称するミュージシャンの活動も定期的に行っていて、独自のジャンルを確立しています。そして、この度「ボトルソング」の決定版であるファーストアルバムが完成しました。
タイトルは「壜博士の“ボトル・フラグメント”」。庄司さんが「ボトロジア」と呼ぶ「ガラスびんの世界」が全9曲に表現されています。ご自身が作詞・作曲・歌・演奏を行ったアルバムは、クラシックギターを基調とした優しいメロディと澄んだ歌声が聞く人を魅了します。

壜博士の“ボトル・フラグメント”」
●曲目
1.びんのイリュージョン
2.蜃気楼の海辺
3.びんのハリケーン(牧歌的念仏錯乱ロック)
4.午前三時の天気予報
5.ゼンマイ時計の街
6.星屑の街の天使
7.古いアルバムの中の街
8.ガラスびんパズル
9.ガラスびんのかけらとサラマンドラの竜


今後は、プロモーションビデオの作成や、都内でのライブも積極的に行っていくという庄司さん。ますます活動の場を拡げる庄司さんの動向に注目をしていきたいと思います。
今回ご紹介したCD、「壜博士の“ボトル・フラグメント”」は庄司さんが館長を勤める「ボトルシアター」のホームページ内で視聴・注文をすることができます。(ボトルシアターへの訪問は予約が必要です)