トラディッショナルなタイプのメープルシロップのガラスびん。縦長の楕円形で首のところに小さな取っ手がついているのが特徴。
お土産用に人気のあるメープルリーフ(楓の葉)の形のガラスびん。
デザインはブランドによってすべて異なる。
色でグレードを見分けることができる。
ここカナダでは、春はメープルシロップの収穫・販売の時期にあたる。国旗のモチーフに使用され、カナダの人たちの誇りでもある特産品のメープルシロップに使われる容器は、ほとんどがガラスびんだ。メープルシロップ特有の美しい琥珀色を、さまざまなデザインのガラスびんが魅力的に演出する。まさに相性抜群のコンビだ。
最も一般的なフォルムは、縦長の楕円形で首の部分に小さな取っ手がついている「Royal Oval」と呼ばれるタイプ。標準的なサイズが375mlと大きめであるため、ハンドルがついているととても使い勝手が良い。一方、土産物としてよく見かけるのがメープルリーフ(楓の葉)のフォルムのガラスびん。メープルシロップならではの上品な甘さ、色の美しさ、ガラスびんのデザイン、すべてにおいて高級感にあふれ、観光客に最も人気のあるカナダ土産の一つとなっている。
また、食の安全性という点からも、ガラスびんはメープルシロップと大変相性が良い。ガラスびんに保存すれば味うつりの心配がないうえ、濁りや沈殿など不純物の有無がひと目ではっきりと分かる。メープルシロップは他の甘味料に比べて味が繊細だといわれるおり、本来の味を食卓に届けるためにも、容器はガラスびんでなければならないといえる。
マニトバ州ホーランド市でメープルシロップ農家を営むダン・クラークさんは、「私が考えるガラスびんの利点は、消費者が自分の目でグレード(等級)を確かめて選ぶことができることですね」と語る。メープルシロップは色の薄い方が高級とされパンケーキなどに、濃い方は料理に使われる、という風に色の濃さで使い分けがされている。同じブランドでも複数のグレードを販売しており、色映えの良いガラスびんを使うことで、買う側は選ぶ際に手に取らずに各商品のグレードが分かるようになっている。また何より、濃淡の色をしたメープルシロップが店頭に並んでいる姿は見た目にも綺麗である。
メープルシロップに限らず、カナダではガラスびんは広く親しまれている。2008年の春、プラスチックの哺乳びんの安全性を疑問視する調査結果が発表されると、プラスチック製哺乳びんが店先から消え、代わりにガラスの哺乳びんのみが置かれるようになった。この後10月には、カナダ政府は乳幼児に与える影響を懸念し、世界で初めてプラスチックの哺乳びんの製造・販売・広告を法律で禁止した。アメリカもカナダの方針に続く世論が強いという
ガラスの哺乳びんは従来の形をしたオーソドックスなものから、
ユニークなデザインのものなども登場している。