市場で売られていた自家製のベリージュース
フィンランド語で「メフ・マイヤ」(ジュース・マイヤ)と呼ばれる大なべ。これで10リットル分弱のジュースをつくることができる。
ジュースづくりに必要な「メフ・マイヤ」とガラスびん
夏の短いフィンランドでは、収穫できるベリーや果物などを最大限に活用して寒い季節の貴重なビタミン補給の保存食とする食文化が根付いている。
例えば、6月半ば頃から最初に市場に出回るのはイチゴ。これを何キロも買い込み、砂糖を入れて煮込んでとろとろにし、ジュースにする。そして定番のジャムもつくる。これらは自宅で行うのが普通で、忙しい現代でも家族総出でつくる、楽しく、美味しい行事の一つとなっている。
イチゴだけに限らず、次はラズベリー、そしてブルーベリー、栽培しやすいカシスは庭から収穫をする。また日本ではあまり見かけないグーズベリー、そしてフキに似た外見のルバーブからもデザートやジュース、ジャムができるのである。秋にはリンゴが収穫時を迎え、アップル・サイダーやジュース、そしてジャムがつくられる。これらをつくる時に大活躍するのが、ガラスびんなのである。
伝統的なジュースのつくり方は、まずベリー類などを煮込む、伝統的なMehuMaija(メフ・マイヤという通称で呼ばれるチューブのついた大なべ)にベリーと砂糖と水を入れ、コトコト煮込む。火が通ってから熱いジュースがチューブから出てくるので、それを熱湯で満たした容器につけておいた清潔なガラスびんに直接注ぎ込んでいく。
これには耐熱性に優れたガラスびんが最適なのである。また、ガラスびんは中身の味をよく保ち、ワイン・ボトルなど色のついたガラスびんは光から中身を保護してくれる役割をもっているので、こうした保存食にはぴったりの素材なのである。ちなみにワイン・ボトルなど果実の皮が混ざるガラスびんは、洗浄・消毒をしっかり行い繰り返し使用する。お酒の好きな人が多い北欧で多く飲まれる、高アルコールのウォッカの容器は、熱湯ですすぐだけで十分きれいになり、どこの家庭でもジュースに詰め替えられたウォッカのガラスびんを見ることができる。どうしても壊れてしまうフタやパッキン部分は、スーパーなどで袋入りのものが安価で売られているので長い間ガラスびんを使うことができる。フィンランドではガラスびんはこうして繰り返し使われ続け、生活になくてはならない大切な容器となっているのである。
秋冬になると、過ぎ去った短い夏を思い出しながらガラスびんに入ったジュースやジャムを食べる。家族みんなでつくった思い出とともに、何とも言えない優しい味がするのだ。
こうしてキャップだけ販売し、
自分で取っておいたガラスびんを有効利用する