2020年02月26日

日本ガラスびん協会 研修会に参加して

石塚硝子株式会社
大口 真依

 この度、11月15・16日と2日間に渡り、日本ガラスびん協会(技術委員会主催)1泊2日の研修会に参加させて頂きました。僭越ながら今回の研修会の所感を述べさせて頂きます。
初日は講義を3テーマ拝聴し、2日目はグループ討議を行いました。

講義Ⅰ 吉永専務理事

  1. 日本ガラスびん協会組織と取組みについて
  2. ガラスびんの動向について

 日本のガラスびん事情では、年々出荷量が減少する中で、近年他素材容器へのシフトの影響を大きく受けさらに減少しているという厳しい状況を再確認しました。しかし、インバウンド需要などから薬品・ドリンクびんと化粧品びんは需要が伸びていることも学ぶことが出来ました。ヨーロッパではガラスびんの需要が増加しており、環境への配慮や保存性の高さ等の意識から容器を選ぶところが日本との大きな違いであると感じました。また「ガラスびんポスト」の普及により、消費者はびんの処分がしやすく、カレットの回収率も高い環境が出来ていることも日本との違いだと思いました。広報活動においては、「銭湯コラボ企画」等が展開されており、他業界の中にガラスびんの需要を発見して、積極的に消費者意識に働きかける活動も行っていることを学びました。

講義Ⅱ 岩本技術参与

  • 業界トピックや海外のガラスびん情報などの話題提供

 2018年に欧州視察を行った工場の紹介ビデオを見せて頂きました。工場の設備など日本とは異なる部分も多く見られました。欧州の新しい技術や設備の情報を仕入れる重要性を学ぶことが出来ました。

講義Ⅲ 株式会社小杉湯 平松佑介氏

  • 新たな発想の中からこれからの銭湯のあるべき姿を考える

 銭湯業界の推移から、今後の銭湯の在り方に対する平松様の考えや小杉湯の取り組みについてお聞きしました。講義の中で、銭湯の価値を再定義し新たな文化を創るという考え方がとても印象に残りました。銭湯が毎日入浴するために必要ではなくなっても、精神面で支えとなったり、新たな文化の交流場としての価値を見出すことで利用者数を伸ばしているということを伺って、ガラスびんも飲料や食品の運搬容器としてだけではなく、ガラスの素材の特性などを生かして新たな価値を定義することが出来れば、現状の解決につながるのではないかと感じました。

 初日の講義後には、研修懇親会が開かれ大変楽しい時間を過ごさせて頂きました。各社より若手~中堅の方々が参加されており、部署も営業や製造、品質管理、検査、総務等々・・・と多岐に渡っていました。様々な立場からガラスびんに対する思いなどを共有することが出来、普段では感じられない良い刺激を頂くことが出来ました。また、同業他社の年齢層が近い方々とコミュニケーションを取ることが出来る貴重な機会にもなりました。

グループ討議

  • 第15回ガラスびんアワード受賞作品の中から1点を使い、その商品を拡販するためにガラスびんの今までに聞かないようないいところを10個以上挙げてPR

 今回は上記テーマについてグループごとに討議と発表を行いました。私たちのグループは、討議の中でびんをインテリアとして再利用することが出来るのではないかと考え、発表しました。他のグループは、びんと飲料のイメージを生かした他業種とのタイアップ企画案や、びんの形状を活かした再利用案を発表し、どのグループもびんの常識に捕らわれないPR方法を提案しており大変興味深い内容でした。
各グループ発表後、牧野技術委員長より総評を頂き、解散となりました。

 今回の研修会を通じて、ガラスびん協会の取組みについての知見が深まっただけでなく、各ガラスびんメーカーの方々と意見を交わしながら交流を深めることができ、大変貴重な経験になりました。ガラスびんの需要が減少し続けているという厳しい現状ではありますが、今回の研修で学んだことや、同業他社・他部門と出来た繋がりを活かして、ガラスびんの新たな価値を生み出せるよう、これからも日々研鑽を積んでいきたいと思います。

 最後になりましたが、今回の研修を企画・運営して頂きました日本ガラスびん協会の技術委員の皆様、ならびに関係者の皆様に厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。

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