2016年12月12日
日本ガラスびん協会研修会に参加して
日本耐酸壜工業株式会社
山中 雅史
11月4日から5日にかけて開催された、日本ガラスびん協会の1泊2日の研修会に参加させていただきました。この度、受講者を代表し研修会レポートを作成する機会を頂きありがとうございます。僭越ながら今回の研修会の所感を述べさせていただきます。
1日目はオリエンテーションと自己紹介後に3テーマの講義がありました。
講義Ⅰは吉永専務理事による「日本ガラスびん協会組織と取組みについて」、「ガラスびんの動向について」でした。日本のガラスびん事情において近年までの出荷量のデータを目の当たりにし、大変厳しい状況下にあることを改めて認識しました。そんな厳しい状況下でも近年は地サイダーや地ビール等での需要増もあり、暗い話ばかりでなく明るい話題もあり、安心しました。広報活動では「びんむすめプロジェクト」、「ガラスびんアワード」等が展開されており、いかに消費者に知ってもらう、理解してもらうことが重要な事だということを学びました。今後もガラスびんの魅力を継続的に発信し、消費者意識に働きかけていくことで「良いものは、いつもガラスびん。」、「ビンってビジン」の認識が広まって欲しいと思いました。
講義Ⅱは岩本技術参与による、「びん協技術委員会の取組みについて」でした。
技術委員会では、関係法令への対応、ガラスびんの品質規格の見直し、リサイクリング関係への対応、業界内の技術的課題への対応等、様々な分野において取組んでおられる事が分かりました。また海外調査団の派遣も行われ、EU視察で訪問した工場の写真には「工場がキレイでないと良い製品は作れない」という5Sの徹底が実行されており、有り得ないほどキレイで、関心と同時に見習わなければならないと感じました。
講義Ⅲは兵庫県立工業センター 材料・分析技術部 食品・バイオグループ 担当部次長
井上守正先生による「日本酒の基礎とよもやま話」と、同じく主任研究員 原田知左子先生による「日本酒の利き酒体験」でした。講義では日本酒が出来るまでの工程や、蔵人の説明・役割、日本酒の種類(大吟醸酒、純米酒、本醸造酒等)は製造方法により名前が分けられるなど知らなかったことが多々あり、今回の講義で今までは単なるガラスびんから中身が入り初めてガラスびんと認識出来た事で今後の仕事に向き合う気持ちを変える事が出来ました。また、阪神淡路大震災の体験談も聴講出来ました。地震で被災した地域は酒蔵が多く日本酒を製造する季節と重なり甚大な被害を受け、井上先生が何か手助けになることはないかと酒蔵を訪ねたところ、日本酒造りで重要な水の変化の調査を求められ、交通手段がままならない中、歩いて水を集め地震の前後で変化が無い事を蔵元に伝えたそうです。また、被災により日本酒が製造できなくなった酒蔵に被災を免れた蔵人が来て米を預かり、代わりに日本酒を製造し返していたという当時の蔵人たちの助け合いの精神にも心を打たれました。
日本酒の利き酒体験では会社別対抗で6チームに分かれて、視覚・嗅覚・味覚を通して酒を評価し、どの会社が優秀かを競いました。会社別ということもあり白熱し盛り上がりました。
1日目の講義終了後は技術委員の方々と各社からの参加者で懇親会も行われました。
普段話す機会がない方々とお酒を交えながら意見交換し交流を深めることができ、大変貴重な時間を過ごすことが出来ました。
2日目はグループ別討議が行われました。
私たちのグループでは「びんの需要を増やすには」をテーマに選定し討議しました。需要を増やすために各々が意見を出し合い、「それ、いいね!」、「いや、それはどうかな。」など会社の壁を越えガラスびんに携わる者として選定したテーマについて活発に意見交換を行いました。さらに「今後の流れとしては高齢化が進むよね」という発言から高齢者にとって優しいガラスびんとは何か。使いやすいガラスびんとは何か。など高齢者の気持ちになって意見を出し合い、将来のことも見据えて討議し発表しました。発表した内容には無理難題もありましたが、選定したテーマに向かってグループで討議し導き出した答えを発表することができ非常に意義のある機会だったと思います。また、他のグループは私達には無いユニークな発想の内容で、ガラスびんへの高い意識と向上心を感じながら興味深く発表を聴きました。
今回の研修会に参加した事でガラスびんについて考える機会を与えて頂き誠にありがとうございました。様々な内容の講義を拝聴し私なりに感じたことや思うことが多々あり、色々と勉強させていただきました。また、同業他社の方々とも意見を交わしながら交流を深めることもでき、大変貴重な経験をさせていただきました。今後もガラスびん業界の発展のため、私たちに出来ることは何かを考えながら、日々努力していきたいと思います。
最後になりましたが、今回の研修会を企画、運営していただきました日本ガラスびん協会の技術委員の方々、関係者の方々に厚くお礼申しあげます。ありがとうございました。