2005年11月01日
海外情報(2005年11月分)
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ASEANガラス会議開催される
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本年のASEANガラス会議が、9月末、インドネシア・バリ島で開催された。この会議は、AFGM(the ASEAN Federation of Glass Manufacturers・東南アジアガラス製造業者協会、参加国はタイ、マレーシア、フィリピン、インドネシア)によって主催され、本年は第29回に当り、"Back to Glass"をテーマとしている。今回は世界の他地域からも業界関係者の参加があった。最近のこの地区の目覚しい発展に注目された結果と思う。
この会議を取り巻く環境と、課題について考えた。
この地域は、1997・1998年のアジア経済危機から立ち直り、例えばマレーシアの本年の成長率は約6%が予測されている。しかし、企業は更なる努力が求められている。何故なら、中国の低賃金と、元のなお割安であることが、東南アジア企業のコスト競争を困難にしているからである。
この地域の人口は5億4千万人、また2004年の輸出額は5,705億ドル(約65兆円)で世界の6.3%を占めた。この地域が今後も経済競争力を維持し、投資先、観光などで優位を占めていくためには域内諸国の協力が必要である。マレーシアのBadawi首相は、域内の自由貿易協定、中国、日本、韓国、インド、オーストラリア、ニュージーランドとの同様の協定締結を提唱している。また、専門家はこの地域の特許権取得数が中国、台湾、韓国、日本に比し極めて少ないことを指摘している。
ガラス製造業にとっての課題は、中国その他の国の同業者もしくは競合素材容器業者との品質、生産性、サービスの競争に勝つことである。そのために、教育や訓練のレベルアップの必要性、重要性が認識されてきており、その面の施策が強化されて行くだろう。
AFGMの現役員は、会長Leslie Struys氏(マレーシア、Fraser & Neaveグループ*の director of glass)、副会長はFerdinand Tumpalan氏(フィリピン)、Dibhyaraks Sukhum氏(タイ)である。
(Glass International Sep./Oct.)
*注:Fraser & Neaveグループ:シンガポールに本拠をおく東南アジア屈指の大企業。乳製品・ビール・飲料・マスメディア関連のほか製びんと多角的な事業を行っている。
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San Miguel Yamamura Asia Corporation、窯増設 |
マニラ市近郊のCavite provinceの工場で1窯を増設する。予算は70億円、新窯の溶融能力は91千トン/年で、工場トータルでは157千トンとなろう。
増加した能力は、国内で需要が増加しているビールびんと、タイその他東南アジア向けの販売増加のために当てられる。
現在同社は、フィリピンに4製びん工場、1壜型工場、ベトナムに1製びん工場を持ち、中国にも進出している。
(Feve news Jul./Aug.'05: www.glassonline.com- 27Jul.'05)
(Glass International Sep./Oct.)
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このところ、南米における経済の回復は著しく、アルコール飲料もノンアルコール飲料も消費が伸張している。
Quilmes Industrial社は、アルゼンチン、ボリビア、チリ、パラグアイとウルグアイに両方の飲料を供給しているが、出荷は好調で、2005年前半にビール8%増、ミネラルウォーターとソフトドリンク合わせて22.5%増を記録した。これらに対応するため、パラグアイで新製びん工場を建設中である。
また、アルゼンチンで販売しているペプシコーラと、チリのBeckerビールにはリターナブルガラスびんを導入した。これらの国では、PETと缶のコストが上昇している。
(Glass International Sep./Oct.)
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O-I社(本拠・米国)業績低下懸念
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当社は、2005年第2・4半期までは、次のように好業績を挙げていた。
2004年度(1-12月)
(全部門)売上高 6,263百万ドル(前年比+23.6%)
純利益 235.5百万ドル(前年▲990.8百万ドル)
(O-I Annual Report 2004 より)
2005年度
第1・4半期営業利益(operating profit)(前年同4半期比+37.2百万ドル +22.5%)
第2・4半期営業利益(operating profit)( 〃 +56.7百万ドル +30.0%)
増益の理由として、出荷量増加、価格改定、セールスミックスが良かったこと、生産性向上、為替の有利のほかBSN Glasspackの統合効果を挙げていた。
(Feve news Apr.05:O-I,27 Apr.'05, Feve news Jul./Aug.'05: O-I,20 Jul.'05,)
しかし最近O-I社は「本年度(2005年1-12月)の利益は期待を下回るだろう」と発表した。原因として、先ず第3・4半期中にインフレのペースが速まり、エネルギー、原材料、包装材料の価格が高騰したことを挙げている。また、欧州工場のおける在庫調整、北米において2窯が修繕後の立ち上がりの非効率、BSN Glasspack統合後の経過費用も減益の理由としている。
(Glass International Sep./Oct.)
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米国製びん2社、連邦破産法11条(会社更生)適用 |
米国ガラスびん業界の2社(GPIメンバーの時期あり)、Anchor Glass Container社と、Glass Group社が、連邦破産法11条の下で、会社再建のための収益改善策を模索している。その中で、工場閉鎖、工場売却も検討されている様子である。
(Glass International Sep./Oct.'05)
Gerresheimer社(ドイツ本拠、薬小びんなどに専門化された世界企業)がGlass Group社のMillville 工場を買収することで合意に達した。
(Glass Sep.'05)
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Rexam社(国籍・英国)減益 |
当社は、2005年前半、24百万ポンどの損失を記録した。英国で唯一のBarnsley工場を同業のArdaphグループ(Rockware glassが所属)へ売却した損失も一因となっている。
当社は、ガラス容器関連の事業を北・東欧に集中するため、business head officeをドイツに移した。当社では「英国市場の見通しは、Quinn社の新工場参入で益々難しくなり、その中で1工場、No.3の企業として、良いポジションを占めることはできない(ので撤退した)」と述べている。
一方、当社はブラジルに製缶工場の建設を計画している。
(Glass International Sep./Oct.)
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Vidrala社(スペイン)増収、増益 |
2004年、O-I社がフランス本拠のBSN社を買収する際、EU当局が付した条件の中に、イタリアの2工場を売却することが含まれていた。その2工場を購入したのが当社である。当社では、その2工場とポルトガルのRicardo Gallo工場の合理化を進めた結果、業績を伸ばした。
当社の発表によれば、2005年1~5月の売上高は前年同期間の44.9%増の116.8百万ユーロ(約163億円)、純益9.9百万ユーロ(約14億円)を挙げた。2005年通年の売上は、前年比58%増の300百万ユーロ(約420億円)を見込んでいる。
(Feve news Jul./Aug.'05: www.glassonline.com- 28Jun.'05)
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"Top"ワインは、ガラスびんに入っている。 |
本項は、スイスにおける消費者調査、及び有名デパートのセールスマネージャー、ワインメーカー、製びん会社の責任者が「ワインとワインびん」について語った記事を要約したものである。
・ 予め購入ワインを決めて来店する消費者は約20%に過ぎない。
・ 消費者はセールススタッフによるワインに関する説明を望んでいる。またガラスびんやラベルが影響力を持っている。特にガラスびんの形・色と、ラベルの形と貼付場所・そのデザインが調和して醸し出す印象が重要である。
・ 一般に、重く、ダークカラーのびんは、その中身がこくのある(full bodied)である印象を与え、軽く、淡いカラーのびんはフルーティーでフレッシュなライトワインの印象を与える。しかし、ガラスびんにとって最も重要なことは、中身のワインが長く消費者の記憶に止まるユニークなイメージを持つことである。
(Glass Sep.'05)
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英国、ガラスびんリサイクル進捗 |
英国では2005年前半のガラスびんリサイクル量は619千トンの新記録を達成した。
British Glassの担当Directorは「我々は目標を越えた。しかし、これ以上の増加ペースを保つためには、自治体の色混合収集への動きをストップし、色分別のカレット量が増すことが前提となる」と語った。
(因みに、英国のガラスびん国内消費量は年間約200万トンであるので、半年619千トン収集はかなりの高率といえる。)
また、ガラスびん業界では、ワイン輸入業者に対し、リサイクル問題解決を支援するため、透明びん入りで輸入することを懇請している。英国ではグリーンカレットのユーザーがないためである。
(Glass Sep.'05)
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ガラスびんが、缶に代わる |
英国、製びん会社Beatson Clark社が、Lyle社へ"Golden Spread"用のガラスびんの供給を始めた。この容器には、従来缶が使用されていたが、ガラスびんの方が、消費者が中身を見ることができ、使いやすく、新しいイメージを持つと考えられ、切り替えられた。
(Glass Sep.'05)
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