2005年06月01日

海外情報(2005年6月分)

昨秋以降の欧米のガラスびん業界情報を、主要国別に主要製びん企業別にまとめた。


1. 英国

1 Rexam Group(英国本拠)増益

2004年の税前利益は24%増加し、3億ポンド(約600億円)に達した。同社では更なる企業買収の機会を窺っていると述べており、北欧ガラスびん業界統合の動きが続くと思われる。

当社のニュース・発光(コーティング)ガラスびんをフランスChivas Brothers社へ供給
このびんは無色に黒のコーティングを施し、弱い光でイルミネートされた場所に置くと発光する。Chivas社は、the Pernod Ricard飲料グループに属し、スコッチウィスキーをブレンドした"Clan Campbell"にこのびんを使用している。グリーンの標準びんに対する特別版でトレンディーなバー等への販路拡大を狙っている。(Glass Mar.'05)

 

2 Quinn Glass新工場建設問題―中央政府が差し止め

当社の新工場建設は壮大な規模であった。2.5億ポンド(約500億円)の予算でChester市の発電所跡にフィリングラインを併設した新工場を建設する構想であった。フィリングラインは、中身商品の瓶詰めまでを引き受けることで空びんの物流費削減を目論んだ様であった。
この構想が公になった時点から、ライバル会社(Rockwareを傘下に持つArdaph社ほか)や労働組合から猛烈な反対運動が行われていた。(訴訟の提起、中央政府に対するロビー活動等)。理由は、この計画ではEUの公害廃棄物基準を侵すことにおかれたようである。
一時、この計画は地元Chester市が認可し、着工したと報じられた。(Glass誌Mar.'05)この程、副首相John Prescott氏によって、公的審議を行うためとの理由で、このプロジェクトを中止することが決定された。Chester市の計画局長は「基本的には地域の問題に中央が関与してきたことに驚いた」と述べている。
仮に今後"go"が出ても生産開始は1-2年遅延すると見られている
(Feve news  Mar.'05 : www.timesonline.co.uk-20 Mar.'05)

情報補充
(1). Quinn Glass について、Feveに質問した。Somogyi事務総長より以下の回答あり。
 同社は Feveには未加入である。Quinn氏の会社で、代表のSean Quinn氏は北アイルランド出身の成功した起業家の金持ちである。ガラスびんのほか、保険、レジャー、セメント、採石等の事業に関与している。詳しくは同社のweb siteを見て頂きたい。

(2). (http://www.quinn-group.com)より

製びん事業の開始 1998年
現状
所在地 北アイルランド・Derrylin市
年産 7億5千万本 
2窯、B&B ,P&B50ml~1.75L 
各種色、各種加工 
ISO 9001, ISO 14001等取得
北アイルランドとアイルランド共和国へ供給(アイルランド共和国には製びん工場なし。)
計画
Chester市、100acre(約40万平方メートル)の土地に7万平方メートルの工場を建設する。
13製びんライン、(年産12億本)
5 filling line(能力6億本)を併設
25万パレット収容の自動倉庫

 

2. ドイツ

1 ガラスびん業界、強制デポジット法の影響・マイナス効果

2004年は、強制デポジットのガラスびん需要に対するマイナスの影響から、年末を向え在庫増加を避けるために、操業短縮が行われた。その結果、業界生産量は以下の通り前年比減少が見込まれる。
( )内は前年実績

生産量 約4,100千トン(4,207) 約16,900百万本(16,913)
売上高 約1,500百万ユーロ(1,563)
従業員数 約9,400人(9,491)

2005年に対しては、更に20万トン以上の減少が計画されている。
 (Feve news Mar.'05 : Neue Verpackung(D)-15 Dec.'05号 にドイツガラスびん協会公表)

 

2 フルーツジュース・ネクターびん、強制デポジット免除

強制デポジット法の改正で、フルーツジュース・ネクターのワンウェイガラスびんは同法の対象から外れる。これにより、ガラスびんの他素材との差別は無くなる。既に、同法施行以降、流通はガラスびんを紙器、最近では特にPET容器に切り替えてきた。
"Glas Klar誌"によれば、今回の改正は消費者の要望に基づくものとのこと、ガラスびんへの回帰が期待される。
(Feve news Mar.'05 : Neue Verpacking(D)- 2 Mar.'05)

 

3 Owens- Illinois社の欧州における合理化計画

同社は今後2年間に欧州において、総従業員11,500人の中、950人の減員を計画している。またドイツでは、5工場の生産を15%削減する。
なお、同社は2005年4月以降、ビジネス上の呼称にO-Iを使用する。また欧州の本社をスイス、Lausanneにおく。(Feve news Mar.'05 : Euwid Verpackung(D)- 29 Mar.'05)

 

3. フランス

1 Saint-Gobain グループ、化粧品びん・装飾を充実

系列会社(Saint-Gobain Desjonquerés)や、系列工場(Saga De´cor)において、研究開発チーム、設備改善に注力し、需要先の多様な要請に応える体制を充実し、この分野でリーダー的役割を演じている。(Feve news Mar.'05 : Verre(F) Feb.'05)

 

4. その他の国

1 タイ国で製造能力増加

Bangkok Glassは、親会社Boon Rawd Breweryからの投資を受けて、年間生産能力を513千トンから657千トンへ拡張する。この結果、当社はThai Glass Industry(年産543千トン)を抜いてタイ国No.1となる。
増加量の60%はビールびん、30%はスピリッツと清涼飲料水びん、10%は輸出向けとなろう。今回の拡張は、Thai Glassが競争相手のChang Beverageの傘下に入ったことにより自社のびん不足が見込まれるに至ったためである。この拡張計画は国の投資局(Board of Investment)からもサポートされている。
(Glass International  Mar./Apr.'05)

 

2 南アフリカ、Consol社、ガラスびんに注力

Consol社は、南アフリカ最大の容器包装製造会社である。最近ヨハネスブルグ株式市場に上場された。これを機会に当社は、プラスチック、缶よりもガラスびんに注力し、そのシェアを伸ばしたいと述べている。同国の経済好調により、その通貨Rand価値は上昇している。このためガラスびんは中近東からの輸入が増加している。当社はきめ細かいマーケティングによってガラスびんのシェア拡大を計画している。
(Glass International  Mar./Apr.'05)

 

3 南米、パラグアイで新製びん工場

パラグアイのビール、飲料製造のQuilmes Industrial社が新製びん工場の建設に着手している。ガラスびんは自社でも使用される計画である。当社の飲料の供給先には自国のほか、アルゼンチン、ボリビア、チリ、ウルグアイが含まれる。
(Glass International  Mar./Apr.'05)