2006年05月01日

海外情報(2006年5月分)

最近のFeve news(欧州ガラスびん連合ニュース)や、雑誌Glassから海外のガラスびん産業界に関するニュースをピックアップした。


1.O-I社、中国において事業を拡大-天津進出
 

(海外情報【2006.3】で、「O-I社、合弁会社で、中国・天津に進出(Feve news Dec.'05-www.glassonline.com.-16 Dec.'05)」の記事を掲載したが、その後のGlassの記事・O-I社ホームページでの確認から以下に一部訂正・補足する。)
O-I社は、Tianjin New World Glass Containers Co.Ltdから、その事業と資産を約9百万ドル(約10.8億円)で取得した。新会社名はO-I Tianjin Glass CO.Ltdとなる。この会社の株主構成はO-I社95%、その地方政府軽工業局(the local light industry bureau)5%となる。
Tianjin工場は、1窯・2ライン・従業員200名・年産65,000トンで、中国北東部のビール・ワイン工場のためのガラスびんを生産する。
O-I社会長・CEO, S.McCracken氏は「この取得は当社の急成長市場への進出戦略、中国市場でのリーダーシップを補強する戦略の重要な一環をなす。この工場は大市場に近接する好立地にあり、既存のGuangzhou(広州)、Shanghai(上海)、Wuhan(武漢)の3工場を補完することとなろう。」と述べている。
(Glass International Jan./Feb.'06)
註:上記既存3工場は、1994年ACI社によって現地資本との合弁で建設された。その後、O-I社によるACI社の取得に伴い、1998年、O-I社の完全子会社になった。
現在O-I社は、Asia-Pacific地域において次の通り子会社(Subsidiary)を通して大きな勢力を持っている。


国名 子会社 工場数
中国 Owens-Illinois China 4
インドネシア KCI Indonesia 1
オーストラリア ACI Australia 5
ニュージーランド ACI New Zealand 1
 
2.エジプト、ガラス産業・ガラスびん産業の概要
 
1  ガラス産業

エジプトのガラス産業の現況は、19工場で、高品質フロートガラス・ガラスびん・テーブルウェア・シャンデリアを含むクリスタルガラスが工業生産されている。
この産業を代表する業界団体がないため、正確な統計の入手は困難である。しかし、この産業で高成長が見込まれることは、広く認識されている。30年前までは国営が主流であったが、現在は殆どが民営化された。外国資本の進出はミニマムである。

 
2  ガラスびん産業

■現況
ガラスびん産業は、次の4社が支配している。
●MIsr Glass Manufacturing(シェア:28%)
●Middle East Glass Manufacturing(27%)
●National Glass(27%)
●Arab Pharmaceutical Glass(18%)
●Kuma GlassとWadi Food が参入を計画している。
現在の需要量は19万トン、なお年率8%の成長が見込まれている。現在の製造能力は17万トン、不足は輸入で充足されている。
■計画
MIsr Glass Manufacturing は、国営のEl Nasr Glass が2004年に民営化された会社で、アンプル生産工場も併有し、最大の規模を持つ。また事業を近代化・拡大する計画を持っている。2005年の生産量は47千トン、2006年は70千トンを見込んでいる。窯拡張はSorg 社(ドイツ)、技術コンサルタントはGPC 社(ドイツ)と契約している。
Middle East Glass Manufacturing は飲料会社の所有であるため、飲料びんの生産が主である。160トン/日の1窯稼動で、2007年に窯修繕を計画している。(Sorg 社 へ発注 )
また、当社はカレット処理設備への投資を計画している。(ドイツ、Zippe社へ発注)
Arab Pharmaceutical Glass は3窯稼動。最近、Bottero 社(イタリア)からIS機を購入した。
(この記事の取材に協力された業界関係者、特にThe National Research Center, The Glass DepartmentのProfessor AA Ahmed氏に感謝する。)
(Glass International Jan./Feb.)

 
3.Schaeffer博士、2005年Phoenix(フェニックス)賞を受賞
 
この度、Helmut A. Schaeffer博士は、ガラス業界(学界)で最も権威のある賞の一つ、Phoenix賞(第35回)を受賞した。同氏は、ガラス国際委員会(The International Commission on Glass)の理事長( President)・HVG(ドイツガラス産業研究協会)とDGG(ドイツガラス技術協会)の専務理事(Managing Director)を勤められた。この度の受賞は、ガラス産業に対する研究者・科学者・教育者・著述者・リーダーとしての多くの寄与・貢献が認められた結果である。
 (Feve news ,Jan.'06-Glass Worldwide(GB) Jan./Feb.'06)
 
4.日本の製びん会社 エムハート社の最新マシンを導入
 
日本耐酸壜工業は最近、エムハート社のQuadruple gob(クォード)NIS machine1号機を導入、本社工場に設置した。
エムハート社はこのmachineについて以下の通り説明している。
「適切なハンドリングと型クーリング等の最新技術を装備しているので、トリプルと同じcavity rate(スピード)で運転できる能力を持っている。このため、大幅な生産性改善が達成できる。また、広汎にservo electric mechanismを取り入れた最初の製びん機であり、この技術は従来のIS machineでは不可能であった製びん工程の最適化を可能にするばかりでなく、エネルギー消費量も低レベルとなる。加えて、ノイズレベルがかなり下がるので、作業環境も改善される。」
(Glass International Mar./Apr.'06)(Feve news,Feb.'06-Glas-Ingenieur (D)- Jan./Feb.'06)