2006年06月01日

海外情報(2006年6月分)

ガラスびん業界には、グローバルに事業を展開している企業が多い。その中には活動範囲が世界的な企業[例:O-I(米国), Saint Gobain(フランス),Rexam(英国)]と、地域的な企業[例:Sisecam(トルコ),Vetropack(スイス),Yioula(ギリシャ),Ardah(アイルランド)]がある。 注:( )内は本拠国   今回は、最近のFeve news, Glass に掲載されたニュースから上記に例示した企業の中、4社に関するものを採録した。

2005年当社の売上高は、70.8億ドル(約7,800億円)前年比15.5%増を達成した。素材別内訳は次表のとおりである。

品種別 2005年(百万$) 2004年(百万$) 2005/2004(%)
ガラスびん 6,266.9 5,366.1 116.8
プラスチック包装 812.1 762.3 106.5
7,079.0 6,128.4 115.5

注:O-I社は2004年6月21日、欧州の大手製びん会社BSN Glasspackを合併しているので、それ以降はその数字を含む。


当社のCEO, McCracken氏は次の通り述べた。「この結果に満足している。会社はCash flowを増し、グループの負債を減らす事ができた。2006年の目標は、欧州における事業活動の統合とCash flowを増して負債を減らす事である。グループは製品価格の引き上げと、適度の売り上げ増を目論んでいる。」
(Feve news ,Feb. '06-www.o-i.com-22 Feb. '06)

 
2. Rexam社 2005年業績-全体としては好調、但し欧州ガラスびん市場は厳しい
 

総合的包装生産企業であるが、中でも飲料缶が主力である。その部門が大きく寄与してコストアップ要因(特に年後半)を吸収して、次の業績を上げた。
売上高-3,237百万ポンド(約6,800億円)前年比105.1%、営業利益-420百万ポンド(約880億円)前年比113.2%、
(Feve news ,Feb. '06-www.rexam.com-22 Feb. '06)


当社のガラスびん部門の主力は欧州で、ドイツ・デンマーク・スウェーデン・オランダ・ポーランドに13工場を持っている。この中、オランダ・ポーランドは2004年に取得、英国の工場を2005年Ardaph社へ売却した。
2005年欧州の市況は厳しく、工場閉鎖やライン停止があったが、なおオーバーキャパシティにある。特にドイツ市場では、食料びんが減少、プロダクトミックスが悪化した。しかし、当社のガラス部門の売上は、405百万ポンド(約850億円)前年比7%増、営業利益36百万ポンド(約75億円) 前年比微増を達成した。エネルギーコストは上昇したが、製品値上げで一部吸収できた。2004年取得の2工場は統合効果を出し得た。また、2005年、glass business head officeを英国からドイツへ移した。
(Glass Mar. '06)

 
3. Vetropack社 2005年業績好調、東方指向
 

当社はスイス本拠で、工場はスイス・チェコ・オーストリア・クロアチア・スロバキアに持つ。
2005年の業績は、連結売上高519.8百万スイスフラン(約480億円)前年比7.1%増(但し、為替調整後は5.0%増)連結利益は50.9百万スイスフラン(約47億円)前年比22.1%増を計上した。売上高の増加と厳しいコスト管理で、エネルギーコスト増を吸収した。
(Feve news ,Mar. '06-Vetropack Holding AG, 22 Mar. '06)


当社は、スイス工場の1窯を2006年初、3ヶ月をかけて最新技術を装備した窯に改修する。省エネと30%の排ガス削減を目論む。欧州ガラスびん市場は、将来も安定需要が見込まれる。これが、欧州の指標企業(a European dimension company)と目されている当社が生産設備にかなりの投資を決定した事由である。
(Feve news ,Jan. '06-Vetropack Holding AG/ News- 18 Jan. '06)


当社は、ウクライナの主要企業の一つ、Gostomel Glass社の75%の株式を取得した。これは当社の東欧への拡大戦略に則っている。この会社は4窯で、全色(white,green,brown)を生産し、最新のリサイクル設備も有するウクライナ唯一の会社である。従業員は約900人、2005年の生産は175千トン・545百万本・売上は56百万スイスフラン(約52億円)であった。株式取得価額は公表されていない。
(Feve news ,Feb. '06-www.vetropack.com- 23 Feb. '06)

 
4. Yioula Glassworks社  ギリシャのファミリー企業から多国籍企業へ
 

当社は、現在4カ国(ギリシャ・ブルガリア・ルーマニア・ウクライナ)の5社・6工場からなっている。生産設備は13窯・42ライン。生産品種・年産量はガラスびん20億本、テーブルウェア125百万個、医療用ガラス13,000トン、型板ガラス650,000である。
構成会社の概要
1. Yioula Glassworks S.A.(ギリシャ)
グループの母体会社。1947年 現Chairman Voulgarakis氏により設立される。1窯・4ライン。ガラスびん。
2. Drujba Glassworks S.A.(ブルガリア)
1998年取得される。2工場・3窯・13ライン。ガラスびん。
3. Stirom S.A.(ルーマニア)
2003年取得される。4窯・12ライン。ガラスびん・テーブルウェア。
4. Biomedsklo PubJSC.(ウクライナ)
2005年末取得される。2窯・6ライン。医療用ガラス(アンプル・バイエル)・ガラスびん。
5. Bucha Glassworks S.A.(ウクライナ)
2005年末取得される。3窯・7ライン。ガラスびん・型板ガラス。
(Feve news ,Mar. '06-Glass Feb. '06、Yioula Glassworks Home page)


Stirom S.A.は、欧州復興開発銀行(the European Bank for Reconstruction and Deveropment)から10百万ユーロ(約14億円)の融資が決定した。この会社は、生産増加、コスト削減、品質向上のため、44百万ユーロ(約62億円)の投資を計画している。
(Feve news ,Feb. '06-www.glassonline.com-3 Feb. '06)

 
5. 日本山村硝子 杉本博氏 アセアン硝子会議で省エネに関する講演
 

アセアン硝子協議会(the ASEAN Glass Conference)は、2005年10月の総会において、日本山村硝子・窯業チームリーダー 杉本博氏より、ガラスびん熔炉の省エネに関する講演を聴いた。
Glass International 1・2月号は"Energy saving measures for glass furnace"の表題で、2ページにわたりそのリポートを掲載した。また、Feve newsも、2月号でそのことを紹介した。以下はそのリポートの概要(項目)である。
省エネルギーの達成には、次に列記した課題に取組むことが必須である。
1. 熔炉からの熱ロスの極小化
2. 溶解しやすい原料を使用することによる熔解エネルギーの削減(カレット比の増加など)
3. 熔解中のガラスへの熱転移の効率化(炉内のバッチ山の分布の適正化、ブースティング、バブリング等)
4. 熱回収の増加(蓄熱室の構造)
5. 窯の使用年数増加への対応