2006年07月01日

海外情報(2006年7月分)

今回も、世界の主要製びん企業のインターナショナルな活動ニュースを中心に掲載する。
 
1.O-I社 ヨーロッパに強固な基盤を築きつつある。
 

O-I Europeのマーケティング副社長・Ricardo Yunis氏の弁
「2006年は、当社にとって特に欧州市場において、そのidentityを確立するため新たな展開をすべき極めて重要な年である。ジュネーブにベースを置く欧州チームは新たなIdentityを案出しようとしている。ここのグループは新製品の開発をサポートする。(毎年、1500種類の新デザインを創造している)デザインは、市場ごとに次の4センターで分担している。スピリッツは英国、食品はオランダ、飲料とビールはフランス、ワインはイタリアで、ジュネーブはそれらをコーディネートしている。
O-Iはまた、世界に5つのR&Dセンター(米国2、欧州2、南米1)を持っている。


O-I社 売上構成比の変遷 単位:%
品種(地域) 2003年 2005年
Glass(北米以外) 38 61
Glass(北米) 31 28
Plastic 31 11
100 100
注:Glass(北米以外)の増加は、欧州(BSN:フランス,ドイツ, AVIR:イタリア)パシフィック(ACI)と各市場のトップ、もしくはトップクラスの企業を併合したことが大きく寄与したと思われる。

(Feve news Apr. '06-Emballage Digest(F)- Mar. '06)

 
 

(当社は、Saint-Gobainのフランスにおける主要子会社の一つで、Mersはメイン工場である。化粧品・薬品用小びんが主製品)
工場功労者表彰式の席上、directorのG.Tosin氏は、会社の希求する方向を述べ、この工場売却の噂を公式に否定した。しかし、彼は1,350名の全従業員が全社グループに対する責任を自覚することが、この2007計画の骨格であることを強調し、この計画について次のように述べた。「この計画の目標は、トップクラスの化粧品会社への供給に特化するために工場を変革することである。(マス・マーケットは新たに取得された当社の中国・ロシアの低コストの工場に譲らざるを得ない。)具体的には、寿命の来る2つの窯に代えて、専ら高級品市場に供給することを専門にする窯を建設する事である。今1つの目標は、我々の得意とするneutral glassを活かして特殊の薬品マーケットでのシェアを更に確固にすることである。」
(Feve news Apr. '06- Emballages Magazine/Flash 24 Apr. '06)

以上のニュースの背景を知るため、Saint-Gobain社のweb-site等より以下に引用する。
Glass Packagingの部門は、【1】食品・飲料用のbottle・ jar(広口びん)、【2】化粧品・薬品用のflask(小びん)に分けて説明している。
【1】Bottle・Jar
製造拠点は欧州(フランス・ドイツ・イタリア・スペイン・ポルトガル)、米国、南米(ブラジル・アルゼンチン)、中国に持つ。欧州ではNo.1、米国ではNo.2の地位を占める。2005年東欧進出を目指して、ウクライナでZorya Glass、ロシアでSitall,Kavminstekloの2社を取得した。
【2】Frask
欧州・アメリカに製造拠点をもち、品質・サービス等で傑出した評価を受けている。2005年、中国Zhanjiang(湛江)工場と、新たに取得したロシアSitall工場にflask用新ラインを建設した。

また、Saint-Gobain Desjonquères社売却の噂は、Feve news Nov. '05- Emballages
Magazine/Flashでも報じられ、Binkyo website 海外ニュース[2006.2]にも掲載した。

 
3.San Miguel Yamamura Asia Corp. 資本増加
 

東南アジアの食品・飲料分野でトップ企業のSan Miguel Corp.は、証券取引委員会(the Securities and Exchange Commission)から、そのガラスびん製造部門である標記の会社の資本を5億ペソ(約11億円)から17億ペソ(約39億円)に増資することの認可を得た。増資の目的は、オーストラリア・北米・アジア諸国への輸出需要増加に対応するために、Imusにある工場を拡張することである。
(Feve news Apr. '06-www.glassonline.com- 18 apr. '06)

 
4.調査「世界パッケージ産業の展望」
 

調査主体は、英国コンサルタント会社Piraと、The World Packaging Organization:WPO(世界パッケージング組織)である。その内容は次の通りである。
世界のパッケージング産業は拡大している。2004年の売上高は4,590億ドル(約51兆円)、現在の年成長率は4.2%、2009年の予測売上高は5,560億ドル(約62兆円)である。
地域別に、最大の成長率が予測されるのはアジア、東欧が次いでいる。
西欧で最も重要な市場はドイツで、市場規模は210億ドル(約2.3兆円)である。
素材別の市場規模は、紙器(paper and board)、プラスチック容器等(rigid)、プラスチック・フィルム等(flexible)、金属、ガラスの順である。
用途別では、食品がトップであるが、薬品が最高の成長率が期待される。
(Feve news Apr. '06- http://www.verpackungsrundschau.de- 18 Apr. '06)

 
5.米国業界ガラスびん出荷状況(2002年~2005年)
 

米国・調査局(U.S. Census Bureau)より、ガラスびん出荷2005年確報が発表されたので、下記に要約を掲載した。

用途別 2002年 2003年 2004年 2005年
百万本 百万本 前年比 百万本 前年比 百万本 前年比
Beer ビール 18,680 19,115 102.3% 19,563 102.3% 19,735 100.9%
Food 食品 6,810 6,764 99.3% 6,468 95.6% 6,330 97.9%
Beverage 飲料 3,469 2,797 80.6% 3,012 107.7% 3,217 106.8%
Liquor リカー 1,113 1,135 102.0% 1,073 94.5% 1,154 107.6%
Coolers* クーラー等 1,971 1,245 63.2% 1,220 97.9% 1,218 99.9%
Wine ワイン 1,734 1,842 106.2% 1,812 98.3% 1,856 102.4%
Other その他 1,548 1,430 92.4% 1,363 95.3% 1,754 128.7%
Total 35,325 34,328 97.2% 34,511 100.5% 35,264 102.2%
注:*Coolersの原標記はReady-to-drink alcoholic coolers and cocktails。
2000年発売の'Smirnoff Ice'の大成功から同種商品の発売が多く一市場を形成したので、2001年よりLiquor・Wineから独立した分野に計上された。

2005年確報では、前年比102.2%の352.6億本と3年ぶりに350億本を超えた。出荷本数の過半を占めるビールが増加トレンドを維持していること、飲料で多様な新製品がブランド浸透のツールとして容器にガラスびんを採用していること、などが寄与している。何れにしても日本市場(約80億本)に比し遙かに多量のガラスびんが需要されていることは羨ましい限りである。