2006年09月01日

海外情報(2006年9月分)

 
1.ロシア ガラスびん需要急増と生産の対応
 
1 生産量の増加
 
ガラスびん生産量は、下記の通り5年間で38億本(68%)増加した。
2005年 94億本
2000年 56 〃 

(Feve news June '06-Glass May '06)

この生産量の増加は、ロシア経済が重油・天然ガス価格の高騰の恩恵を受け、活況を呈し消費水準が上昇しているため、ガラスびん需要も旺盛になっていることを反映している。特にアルコール飲料の消費では、若者層を中心に、ウォッカからビール等低アルコール飲料に移行する傾向が顕著であるために、ガラスびん需要に好影響を与えているものと思われる。
参考までに、日・米・ロのガラスびん生産量とビール生産量を比較してみた。

日・米・ロの比較(2005年)

人口 ガラスびん ビール
生産本数 一人当 生産量 前年比 一人当
百万人 億本 千キロリットル ± % リットル
日本 128 80 63 6,360 -3.7 50
米国 296 353 119 23,078 -0.7 78
ロシア 143 94 69 8,924 +6.5 62

注)
1.人口:米国では人口増加(特にヒスパニック系等)が、ロシアでは人口減少
  (1992年1億4870万人をピークに減少傾向)が問題となっている。
2.ガラスびん:日本では業界全体の本数生産統計がないため推測
3.ビール:データ・キリンビール社調べ 但し一人当は編集で計算

 
2 企業の増産対策
 

1)Pokrov Glass社 増設
当社は、トルコSisecamグループのAnadolu Cam社に属し、工場はロシア西北部にあり、ビールびんを主に生産している。この程、窯増設のため、親会社の保証で欧州復興開発銀行から3百万ドルの融資を受けた。
(Feve news May'06- www.glassonline.com-25 May'06)

2)ZAO Yelizovo社 新窯始動
当社は、ベラルーシ・オーストリア系資本で、工場はYelizovo市にあり、2005年には各種サイズの広口びん3億本を生産した。新窯は2月にスタート。ビールびんを生産する。国内のほか輸出も計画している。
(Feve news May'06- www.glassonline.com-29 May'06)

2)Russteklo社 シベリア(最西部)に新工場を計画
当社は、現在、the Sergiev PosadとVelikodvorsky の2工場を持つ。3番目の工場(年産6.5億本)の立地をシベリアの西部地域で物色中である。既存工場も能力増加を図っており、計画が完成した場合は3工場合わせて年産17億本に達する。
(Feve news May'06- www.glassonline.com-31 May'06)

 
2.米国業界本年前半(1~6月)出荷量 前年同期比 0.1%増
 
 
2006年1~6月 17,772百万本(前年比100.1%)
2005年1~6月 17,750 〃

(US CENSUSBUREAU による)

米国ガラスびん市場も、中身の消費が前項に表示したビールの消費停滞に見られるように、全体として伸びが期待されない中、他素材容器との競合が一層厳しくなっている。
しかし、ガラスびん出荷量が上掲のように微増のトレンドを維持している。その事由の一つに有機食品・飲料の増加と、その分野でのガラスびん選好があげられている。
以下に、そのことを報じたGPI(米国ガラスびん協会)のホームページから、関連記事を抄訳引用した。
「有機食品・飲料(Organic food & Beverage)の大幅な伸びが、ガラスびんに新しい市場を提供してくれている。The Organic Trade Associationによれば、その市場サイズは、2005年150億ドル(約1700億円)。以後2年間に倍増して、2007年には300億ドルに達すると見込まれている。Ocean Spray社のような有機飲料を重視している会社は、その容器にガラスびんを採用している。この社の調査によれば、一般の消費者は持ち運びやすいプラスチック容器を選ぶが、有機食品の購入者はクリーンで美しいガラスびんを選ぶ傾向がある。同社の新製品"Organic 100% Juice Blends"はガラスびん入りである。また、GiantやKrogerなどのsupermarkets chainsでは、有機食品・飲料のプライベート商品を発売して利益を稼いでいる。」