2007年05月01日

海外情報(2007年5月分)

Feve news最近号から、興味あるニュースを拾った。
 
1.ガラスびん世界企業3社の2006年業績
 
概して、ガラスびん部門の売上高は増加しているが、収益は厳しい様子である。
 
1 O-I社 売上増加、損失大幅に減少
 
2006年の決算の概要
  単位:百万ドル、%
  2006年 2005年 2004年
  前年比   前年比  
総売上高 7,724 +7.4 7,190 +13.0 6,263
ガラスびん売上 6,650 +6.1 6,267 +16.8 5,366
利益(損失) (27.5)   (558.5)   235.5
注:2004年6月に、フランス最大手の一つBSN Glasspack社を合併した。

ガラスびんの売上は、北米・南米・アジア太平洋地域で増加したが、欧州では減少した。出荷量は、全世界トータルで本数・トン数ともに1%増加した。
新CEO Albert Stroucken氏のコメント
「早く利益体質に戻したい。そのために新採用凍結、売上量を犠牲にしても値上げ、今年中の一部プラント閉鎖、設備投資の削減までを含めて検討したい。O-Iはこの産業のリーダーである。それに相応しい行動をしなければならない。」
両年の損失には、アスベスト障害への補償問題が重く影響している。(但しホームページ掲載の2006 Annual Report, CEOのLetter to Shareholdersの説明には、この記述は見当たらず。)
(Feve news Jan/Feb'07- www.o-i.com 31 Jan.'07, www.emballagedigest.fr 07Feb.'07, www.glassonline.com 06 Feb.'07、及びO-I社 Home Page)

 
2 Rexam社 びん部門・売り上げ増、営業利益横ばい
 
2006年の決算の概要
単位:百万ポンド、%
  売上高 営業利益
2006年 前年比 2005年 2006年 前年比 2005年
ガラスびん 437 +7.9 405 36 ± 0 36
2,490 +14.0 2,235 292 -7 313
プラスチック 720 +52.9 471 82 +44 57
その他 91 -27.0 126 5 +67 3
3,738 +13.2 3,237 415 +1.5 409
      税前利益 303 -1.3 307

ガラスびん部門の売上増は、数量増・値上げ・ミックスの改善による。今後は原材料値上がりを反映した価格引上げと、効率改善を目指す。
(Feve news Jan/Feb'07-www.rexam.com-22 Feb '07)

 
3 Saint-Gobain Group ガラスびん部門:売上高微増・営業益微減
 

グループとしては、10年来の好業績を挙げた。Beffa氏(現在No.2、6月CEOに就任予定)は、「1995年には、ガラス(板・びん)部門が、売上の60%を占めるガラス会社であったが、近年は建設市場を重点目標としてきている。」と述べている。

 
単位:百万ユーロ、%
  売上高 営業利益
2006年 前年比 2005年 2006年 前年比 2005年
ガラスびん 4,080 +1.8 4,008 376 - 2.3 385
板ガラス 5,083 +8.6 4,680 480 +6.0 453
建設材料 10,876 +62.5 6,694 1,376 +124.1 614
高機能材 4,938 +1.2 4,880 500 -2.2 511
ビル販売* 17,581 +13.8 15,451 1,001 +12.7 888
調整 -962   -603 -19   +9
41,596 +18.5 35,110 3,714 +29.9 2,860
      税前利益 1,702 +32.6 1,284

注)* :ビル販売のオリジナル表記はBuilding Distribution
(Feve news Jan/Feb'07-www.emballagesmagazine.com-01 Feb.'07及びSaint-Gobain Group Home Page)

 
 
2.3社のその後の動向
 
1  O-I社 プラスチック部門売却を検討
 

当社はこの部門について、売却を含み戦略再検討のため、アドバイザーと契約したことを公表した。プラスチック部門ビジネスは、製品がヘルスケア用容器・クロージャー・特殊製品。地域は米国内である。部門売上は2006年6月までの1年間で約770百万ドルであった。
O-I社ホームページCEOの「Letter to Shareholder」でも、この件について「成功しているプラスチックビジネスの戦略について検討している。この部門を相応の価額で売却できれば、借入金負担を減らし、世界のガラスびん産業における当社の戦略的地位を維持することに集中でき、株主の利益にもなると考える。」と述べている。
(Feve news Jan/Feb'07- www.o-i.com/News Release- 12Jan.'07、及びO-I社 Home Page)

 
1  Rexam社 ガラスびん部門をArdagh社へ売却
 

Ardaph Glass Groupは、Recxam社より、そのガラスびん部門を660百万ユーロ(約1,060億円)で取得することで合意に達したと公表した。Rexam社のガラスびん部門はドイツ・オランダ・ポーランド・スウェーデン・デンマークで13工場、従業員3,600名の規模であった。この取得の結果、Ardaphは7カ国で22工場を持ち、年商約12億5千万ユーロ・欧州でNo3・シェア18%のガラスびん会社となる。
Ardaph社のChairman Coulson氏は「この取得により、わが社はより高い経営効率と、より広いカスタマー関係を築く機会を持つことになろう。」と述べた。
また、RexamのCEO Walle氏は「当社のガラスびん部門は、強固で良好な経営をなしてきているので、ガラスびん主力のArdaph社に良くフィットするであろう。当社の今後の戦略は、コアの飲料缶とプラスチック容器部門で利益ある成長を達成することに集中するであろう。」と語った。
(Feve news Mar.'07-Ardaph Glass-Press release-12 Mar.'07)

 
3 Saint-Gobain Group 特殊ガラスびんビジネス部門を投資ファンド2社へ売却
 

香水・化粧品・薬品用ガラスびんビジネスを世界で展開している、Saint-Gobain Desjonquerés社とその子会社を、2投資ファンドへ売却することで合意した。対価は690百万ユーロ(約1,100億円)である。Saint-Gobain groupはその20%をそのビジネスに再投資する。
この部門は、2006年、売上高607百万ユーロ・営業利益50百万ユーロを挙げた。従業員4,500名・工場はフランス・ドイツ・スペイン・米国・ブラジル・中国・ロシアに持ち、グローバルにビジネスを展開していた。
この売却はグループの進行中の新ビジネス展開戦略の一環をなすもので、関係独禁機関によって承認された。
(Feve news Jan/Feb'07-www.emballagesmagazine.com-15 Feb.'07及びSaint-Gobain Group Home Page)

 
 
2.3社のその後の動向
 
1 ドイツ ガラスびん業界フル稼働
 

2006年の出荷は、東欧への輸出増にも支えられ1.5%増加した。2007年に入っても状況は変わらず、フル稼働が続いている。エネルギーやカレット価格高騰に起因する価格改定も実現できた様子である。
品種別に見る。ビールが増加した、輸出とディスカウントショップによるワンウェイびんの採用増加が影響した。ワイン・スパークリングワインは、輸出増加傾向が帰ってきた。ジュースやミネラルウォーターは、市場をPETと紙器に奪われたが、プレミアムジュースは残った。化粧品は国内向け5%以上増加、輸出2桁増加。薬品は輸出より国内向けが増加。
(Feve news Jan/Feb'07-Euwid Verpackung 22 Jan.'07)

 
1 スイス Vetropack Group 将来のための投資増加
 

2006年決算概要

単位:百万スイスフラン、%
  2006年 前年比
売上高 594.7 +14.4
利息租税前利益 67.4 +9.1
純利益 43.2 -15.1

(Vetropack Groupは、スイス本拠、中東欧中心にガラスびんビジネス展開。スイスの他、オーストリア・チェコ・スロバキア・クロアチア・ウクライナに工場を持つ。)
2006年には、成長する東欧の需要に応えるため積極的に投資を行った。4窯を省エネ新窯に置換したのを始め、インフラの再開発等、営業外の支出が増加した。それが純利益減少の理由である。
(Feve news Mar.'07-www.vetropack.com-21 Mar.'07)

 
3  日本山村硝子 フィリピン・サンミゲル社の子会社へ資本参加
 

4月27日、当社より概略下記内容のプレスリリースがあった。
当社と永年の事業提携先であるフィリピン・サンミゲル社は、その100%子会社で、包装容器事業部門の2社、San Miguel Packaging Specialists,Inc.社(国内)と、San Miguel Packaging International Ltd.社(海外展開)の一部株式を取得することで大筋合意し、手続きを開始する。
○目的と狙い
サンミゲル社は総合飲料・食品メーカーであり、フィリピン国内はもとより中国・東南アジア・オセアニアで幅広く事業を展開している。当社はその包装容器事業の戦略的パートナーになることにより、当社が策定している海外事業戦略を加速化させ得ると考える。
○事業内容と規模
フィリピン国内・中国・ベトナム・インドネシアで、ガラスびん・ペットボトル・クロージャー(メタル・プラスチック)・アルミ缶・プラスチックケース・パレット等のすべて、もしくはその一部の製造、販売を行っている。
■事業規模(2006年12月末現在、2社単純合算値、単位:億円)
売上高:452・営業利益:37・当期純利益:26・総資産:738・資本金:159・従業員数:約4,000名
○出資後の出資比率
35%