2007年08月01日

海外情報(2007年8月分)

Feve news・Glass International誌等からニュースを選んだ。今回も、多国籍企業の事業展開・事業部門の売却関連が、ビッグニュースとなっている。


1.O-I社 プラスチック部門をRexam社へ売却


O-I社と、Rexam社の間で同意が成立。対価は18.3億ドル(約2,200億円)、移行時期は、本年度第3・4半期始め。
これによりRexam社のプラスチック部門の売上は、50%増となる。
O-I社プラスチック事業部門は、米国・メキシコ・ブラジル・ハンガリー・シンガポール・マレーシアに19工場、従業員2,800名の規模であった。
(Feve news June '07- www.o-i.com-11 June'07, www.rexam.com-11 June'07)

(なお、本件は、当協会web-site海外情報2007-5で一部既報である。O-I社についてはCEOの株主に対する説明として「売却検討中で、目的は借入金負担を減らし、ガラスびん事業の世界における戦略的地位の強化を図るため」との内容であった。)


2.O-I社 南アメリカ市場で売上高拡大を目指す


当社のthe Latin America divisionのpresidentは、この地域の売上を2010年までに50%増を目標としているとして以下の通り述べた。
現在は、ブラジル・ベネズエラ・ペルー・コロンビア・エクアドルで事業を展開している。特にブラジルとベネズエラが重要市場である。ブラジルでは約45%のマーケットシェアで、2007年は3億ドル(約360億円)の売上を見込んでいる。ベネズエラにはO-I社の南米最大の得意先Polar beer companyがある。この国のビールの消費量(一人当たり)は90リットルと極めて高い。
今後の重点目標は、メキシコ・アルゼンチン・チリ・ホンジュラス・コスタリカである。
(Feve news June '07-www.glassonline.com-22 June'07)


3.Rexam社 ガラスびん部門 Ardaph社への引渡し完了


この取引についてRexam社サイドの目的は、成長率と収益性のより高い部門への集中と述べ、一方Ardaph社サイドは、ガラスびん事業で欧州第3位、特に北欧における第1位への画期的変容と表現している。
もともとArdaph社は、イギリス・ドイツ・ポーランド・イタリアで9工場、従業員3,300人の規模。Rexam社は、デンマーク・ドイツ・オランダ・ポーランド・スウェーデンで13工場、従業員3,600人の規模であった。
(Feve news June '07- www.glassglobal.com-31 May'07, www.rexam.com-22 June'07)


4.スペイン ガラスびん業界 2006年出荷好調


スペインガラスびん協会による2006年業界出荷状況


売上高 732百万ユーロ(約1,186億円) 前年比 +8.6%
出荷トン数 2,180 千トン    
出荷本数 6,877 百万本 前年比 +3.5%
輸出トン数 226千トン 前年比 +34.0%(仏・伊が主)

出荷品種別では、ワインが32%を占める。
(Feve news June '07-www.glassonline.com-24 May'07)


5.ギリシャ 「Yioula Glassworks社」の物語


――ガラス・テーブルウェア手造りの町工場から、4カ国に、6社・7工場を展開する多国籍グループを経営するに至った成長企業の話――


この会社の驚異の成長については、既にFeve news Feb.'06に掲載されたので、海外情報2006年6月に、「Yioula Glassworks ギリシャのファミリー企業から多国籍企業へ」の表題で採録した。今回、Glass International誌June号が"Once a small maker is now multinational"の大見出しで、その起業から現在に至った歴史を掲載したので、夏休みの読み物として抄訳した。


<起業>
創業者Kyriakos Voulgarakisは、1914年生まれ。第2次大戦中、11才でガラス工場の職工として働き始めた。1947年、弟と共にGlassworksを起業した。小窯・人工で、テーブルウェアからミニチュアびん・カップ等へ種類を広げた。1950年、現在の本社の地へ移転。1958年、会社組織。1968年自動化。1980年、ギリシャ最大の製びん会社になった。創業者は亡くなるまでChairman。現在は長男が継承、その双子の弟がgroupのmanaging directorを勤める。


<拡大・国際化へ>
買収による拡大は、1993年、国内のテーブルウェア会社Coronosの工場買収から始まった。2004年、この会社を併合した。
国際化は、1997年と1999年に、ブルガリアの2社Stind社、Drujba社をグループに入れた時に始まった。この2社は2004年に統合された。2003年にはルーマニアのStirom社をグループ化した。ウクライナは、拡大のターゲットとして魅力の市場であった。2005年に、この国のBiomedsklo社・Bucha Glassworks社が、グループの新入生となった。前者は、バイアル・アンプル・血液用等の医療ガラス容器を、後者は型板ガラス製造の設備を持つので、グループの事業領域を拡大することとなった。


<グループの現状>
4カ国に6社を展開。
生産設備:7工場・15窯・49ライン
年産能力:ガラスび20億本・テーブルウェア1.25億個・医療用ガラス容器12千t・型板ガラス65万平方メートル
(Glass international誌June'07, 及びYioula Glassworks社ホームページ)