2008年05月01日

海外情報(2008年5月分)

1.米国関連


GPI(北米ガラスびん協会)のホームページから

協会は、そのホームページに、毎月"Inside Glass Packaging"と名づけた報道記事を掲載している。3月号はトップ記事の標題が"Glass Returns to the Spotlight"(ガラスびんに再びスポットライト)となっていたので、興味を持ち以下に抄訳した。
ガラスびん原料は自然に存在し、完全にリサイクルされる。中身を純粋に保持し、安全・安心であることでガラスに優る容器はない。FDA(米国食品薬品局)が、(generally safe)全般に安全と認めている容器はガラスのみである。ガラスびん産業に属する者が常に自らの製品に誇りを持っている理由もここにある。
O-I社 北米地区マーケティング担当副社長は「当社は最近、20年ぶりに哺乳びんの生産を再開した。飲料の巨大会社も最近、再びガラスびんに関心を持ってきている。」と述べている。
GPIのCattaneo会長も、最近、飲料・牛乳等に新規加入した企業や、一般に新製品の発売に際してガラスびんが好まれて使用されている事例を上げ、何れもガラスが中身の微妙な味を保持し、地球環境に優しいことが事由とされていると述べている。
米国におけるガラスびんに対する需要状況は、2007年の商務省統計局の生産・出荷統計に反映している。生産は能力一杯に稼動している上に、国内消費の13.3%を輸入に頼っている。そのため2008年には2窯(米国とメキシコで)が増設される計画である。


O-I社 ペルー工場の能力倍増計画

当社は、ペルー Lurinの新工場に2号窯を増設し、製造能力を倍増する。予算30百万ドル(約30億円)で2009年第2・4半期の始動予定。ペルーのガラスびん需要、特に輸出農産物、国内ビール向けの増加が顕著なためである。
(GPI,homepage,inside glass Packaging Mar.'08)


O-I社(米国本拠,グローバルNo1企業)黒字へ

2005年・2006年の赤字から、2007年は299億ドル(約300億円)の黒字に転換した。売値を上げたにも関わらず、売上量を増やすことができた。当社のChief Executive Stroucken氏は、「2007年はO-Iにとって成功の年であった」とホームページの中でも述べている。
(Feve news Feb.'08-www.glassglobal- 10Feb.'08、O-Iホームページ)
注:05,06両年は、多くの合併後の統合作業のコストと、アスベスト関連の補償が収益悪化の原因との報道があった。)


米国ガラスびん業界3月出荷実績

現在の経済情勢から、米国本年のガラスびん業界の出荷状況を逐月注視している。
1・2月は前年比それぞれ1.4%、2.1%増加したが、3月は次の通りかなりの減少となっている。
3月出荷本数:1,682百万本(前年比92.4%)
品種別前年比:ビール93.1%、食料81.5%、飲料85.0%、リカー93.0%
          クーラー等116.9%、ワイン93.2%、その他107.2%



2.中国情報


中国ガラス(びん)協会について

Glass International誌が、the China National Association of Glass Industry(CNGI)(中国ガラス協会)副会長兼事務総長Liu Jian Ping氏より得た情報を掲載したので、以下に抄訳した。
同氏は電機産業のエンジニアであったが、5年前にこの協会に入りシニアエンジニアとして勤務した後、現職に付いた。写真で見る限り若い人である。
この協会は、主にガラスびん・テーブルウェア・実験室用ガラス器具と、魔法ビンを管轄している。中国人は暖かい水を携帯することを好み、魔法ビンの世界の3分の1は中国で使用されている。2006年4億本が中国で生産された。
この協会はガラス生産者の他に、設備・機器の供給業者も会員に含む。


生産量について

ガラス生産の75%はAnhui(安徽)、Guangdong(広東)、Hebei(河北)、Henan(河南)、Jiangsu(江蘇)、Shandong(山東)、Sichuan(四川)省-四川省以外は海岸部-で生産されている。
政府の統計によれば、CNGI会員の2006年生産は、前年比14%増加し995万トン。2002年から2006年の間の平均年成長率は11.48%であった。Liu氏は、「この数字は低すぎる。この統計は飲料会社が使用したびんをベースにしている。我々は2006年は1,300万トンと推定している。」と述べている。4年前に、中国は板ガラス生産量で世界のトップになった。2006年、びんでもトップになったと言っても不思議ではないだろう。
2003年以降、生産の増加と併行して輸出も急速に増加した。2006年のCNGI会員の輸出額は1,200百万ドル(約1,200億円)に達した。その3分の1は魔法ビンであった。
このような、ガラスびん生産の急速な増加は、主に生活水準の上昇に伴う消費材生産の増加による。ビール消費量のブームがその1例である。


生産技術の向上について

今日までの生産量の増加は、エネルギーと労働力の集約的な使用に負っている。我々は今後、世界の品質レベルに到達するために、技術の改善に大きなチャレンジをしなければならない。
先ず、省エネが必要である。我々は最近、省エネに関する専門家会議を持った。政府は産業(先ず鉄鋼と化学)に環境汚染対策を強く求めている。政府は排気ガス規制の新ルールを導入した。我々はこれら省エネ・環境対策について、外国の同じ業界と協力関係を持つことに強い興味を持っている。
中国のガラスびん製造は、主に石炭ガスを使用している。石炭が石油に比し安価であるためである。
我々は生産技術の向上、特に軽量化に興味を持っている。そのために、外国のパートナーの援助が必要と考えている。
昨年、フロートガラスの生産量は初めて国内需要を上回った。ガラスびんは、未だその水準には達していない。
将来、多くの新製びん工場が建設されるかは疑問である。新工場には政府の許可が必要であり、省エネや排ガスについて厳しい基準を充たさねばならない。従って、現行設備の建替え、アップデートになるであろう。CNGIは低品質の新工場の建設に強く反対している。中国の投資家はガラス部門に非常に興味を待っている。過去3年間よいリターンを得たからである。しかし、我々は低品質・低コスト生産設備に大きな投資がなされることを憂慮している。この産業は現在では健全に成長している。しかし、状況変化の可能性があるからである。
中国でも多くの国と同様に、良き人材を暑い・汚れる現場のガラス産業に採ることが困難を増しつつある。我々は技術者や研究室の練達のスタッフを必要としているが、彼らがガラス産業に興味を示せてくれないことが悩みである。



3.欧州関連


オランダ Packaging Tax 導入

オランダは、2008年より"Packaging Tax"を課することを決めた。Taxの算定基準は、素材に含まれる炭素の量で決められている。(CE Delftという独立の研究コンサルタント組織が計算を管理した。素材の採取場所は考慮されていない。)環境省・自治体・産業界は、Taxの使途に、廃棄物管理基金、家庭における分別の奨励等を考えている。また、デポジットを付しているpackagingは軽減されると書かれているが、具体的な数字の説明はない。

2008年 Packaging 素材kg当たり税率
単位:ユーロ
素材
Primary packaging
(1次包装)
Secondary / tertiary packaging
(輸送用等)
ガラス 0.0456(約7.3円/kg) 0.0160(約2.6円/kg)
アルミニウム 0.5731 0.2011
その他の金属 0.1126 0.0395
プラスチック 0.3554 0.1247
生分解性プラスチック 0.1777 0.0624
0.0641 0.0225
木材 0.0228 0.0080
その他 0.1017 0.0357

(Feve news Jan.-European Environment & Packaging-18Jan.'08,
Feve news Feb.-www. Packagingnews.co.uk/- 19Feb.'08)