2008年07月01日

海外情報(2008年7月分)

1.2007年 欧州市場需要実績、製びん各社業績

米国商務省統計局が2007年業界出荷の確報数を公表したので、以下に掲載した。
トータルでは、容器素材多様化の中で、340~350億本の水準(わが国の4倍以上)を維持している。
品種別では、60%を占めるビールで他容器の分野に食い込んで堅調を維持していることの寄与が大きい。わが国とは反対に、かつてビール・飲料と共に需要の3大分野であった食品(食料・調味料)が、プラスチック等の侵入を受けて、減少している。飲料は、2001年以降、炭酸飲料以外の多様な新商品がガラスびんを採用してきているために、復活している。

米国ガラスびん業界・出荷実績(品種別)
単位:百万本、%
  2004年 2005年 前年比 2006年 前年比 2007年 前年比
ビール 19,563 19,735 100.9 20,355 103.1 21,218 104.2
食品 6,468 6,330 97.9 5,889 93.0 5,527 93.8
飲料 3,012 3,217 106.8 3,064 95.2 3,088 100.8
リカー 1,073 1,154 107.5 1,135 98.4 1,115 98.2
クーラー等 1,220 1,218 99.8 980 80.5 1,061 108.3
ワイン 1,812 1,856 102.4 1,885 101.6 1,901 100.8
その他 1,363 1,754 128.7 1,469 83.8 968 65.8
34,511 35,264 102.2 34,777 98.6 34,878 100.3

なお、世界を揺るがせているサブプライム問題が、米国ガラスびん出荷に影響を及ぼしていないかを見るために、統計局の各月の速報を掲載してきたが、2008年5月までの出荷には以下の通り大きな影響が見られない。

米国ガラスびん業界・月別出荷本数
単位:百万本、%
  1月 2月 3月 4月 5月
2007年 2,824 2,648 3,026 2,992 3,227 14,717
2008年 2,864 2,726 2,893 2,988 3,157 14,628
'08/'07 101.4 102.9 95.6 99.9 97.8 99.4

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Glass International誌が5月号で、再度活況を呈する中国とロシアにページを割いているので、以下に抄訳した。

ロシア

取材先は主として、Dr Alexander Gurov (dmg world mediaのロシア駐在員)である。
ロシアのガラス業界団体は、the Russian National United Council of Glass Industry Enterprises(StekloSouz)(ロシアガラス協会)で、板ガラス・びんガラスメーカーの70%、業界への供給業界の機械関係100%、築炉関係80%、珪砂関係60%が加盟している。
CIS(旧ソ連邦の12カ国)では、約250ガラス製造者が稼動しているが、その内、160がロシア、50がウクライナ、12がベラルーシである。2007年には、更に25の新工場が建設の途上にあり、この内18がロシアである。更に50(内ロシアが30)が検討段階にある。
2006年、ロシアのガラスびん生産数は104億本、内93億本が細口びんであった。2007年にはロシア経済が発展しているので、協会では生産は120億本に達したと見ている。
ガラスびんの主要ユーザーがビールで、全体の60%・約60億本が出荷された。国内生産量の増加と共に輸入品が置換され、輸入品の構成比は2004年の10%から、2007年には4%と推定される。産業・エネルギー省では、2010年、ガラスびんの生産は150億本・450万トンと予測している。
協会では、ガラス業界発展の特徴として外国資本の進出を挙げている。それは工場の建設・企業買収・ジョイントベンチャーの設立等の形がとられている。2008年には外資系の会社が生産量の50%を占めると予測している。びん関係では、2007年11月にトルコ Anadolu社とのジョイントベンチャーで、新たに1工場の建設が始まり、更に2工場が計画されている。
ロシアガラス協会主催によるthe 7th international glass industry exhibitionが、2007年11月、モスクワで開催され、国内外関係企業150社が展示に参加、盛況であった。

中国

取材先は前回(5月掲載)同様に、Jianping Liu氏【(the China National Association of Glass Industry(CNAGI)(中国ガラス協会)の副会長・事務総長)】である。
2007年の中国ガラスびん生産量は1,270万トンであった。2003年以来の平均年成長率は16%である。2003年以来、ビール・飲料・食品産業が急速に成長したことが、ガラスびん産業の拡大と相俟っている。
現在の業界の関心事は、省エネ・ファーネスデザインの最適化・生産効率の向上にある。小規模投資、短期の計画は、長期の展望に基づいた投資に置換されている。2004年の政府の統計によれば、びんガラス業者数は3,253(このうち大中規模1,472)、雇用者数は31万人であった。今ではジョイントベンチャーの設立が続き、この産業の多数派になりつつある。先進国企業が、その生産ラインを発展途上国へ移す傾向が、中国にガラスびん産業を急成長させる機会を与えた。
中国の特色は魔法瓶の生産で、2007年には545百万本に達した(2002年以降で80%の増加)。その90%は、河南・安徽・広東・北京・江西・重慶の各省・市で生産されている。
なお、the 19th China Glass exhibitionが、2008年4月10~13日、北京で開催され盛況であった。21カ国から、734社が展示した。この中には、旭硝子・Saint-Gobain・Emhart Glassがあった。入場者は最初の2日間で、16,000人に達した。
次回は2009年5月12日~15日、the Shanghai Expo Centerで開催の予定。

2007年・FEVE ガラスびんリサイクリング実績


2007年・FEVE ガラスびんリサイクリング実績
単位:千トン、%
年別 2005 2006 2007
回収量 回収量 回収量
国別          
オーストリア 207 214 84 221 80
ベルギー 318 [317] 91 [289] 92
ブルガリア - [54] 33 [48] 32
チェコ - [142] 76 153 50
デンマーク 119 [119] 75 121 84
エストニア - 11 32 -  
フィンランド 50 [50] 72 54 61
フランス 1,882 1,903 60 1,905 61
ドイツ 2,521 2,550 89 -  
ギリシャ 30 20 10 26 13
ハンガリー - 25 18 [34] 20
アイルランド 98 [98] 81 -  
イタリア 1,211 [1,256] 59 1,303 60
オランダ 423 432 77 -  
ノルウェー 54 53 90 -  
ポーランド 250 [270] 28 [290] 26
ポルトガル 156 181 46 186 46
ルーマニア - [16] 9 [15] 9
スロバキア - [40] 35 43 34
スペイン 745 840 51 936 56
スウェーデン 155 159 92 171 94
スイス 308 308 96 320 95
トルコ 96 93 22 81 19
イギリス 1,259 1,303 50 1,446 55
9,882 10,454 61 - -

注:[ ]書きの数字は、利用可能なデータからの推定を含む
従来に比し、異例に早く(昨年12月、本年7月)FEVEがリサイクル実績を発表した。しかも、ドイツの実績が出ない前に発表したことの事情は、不詳である。
何れにしても、フランス、イタリア、スペイン、イギリスの主要国の回収量が増えていることは、2007年ガラスびんの消費(生産)が堅調であった表れと考えられるので、一応ここに掲載することにした。(ドイツは、前回6月の海外情報で、需要が旺盛で、生産はフル稼動、3年ぶりに400万トンを超えたニュースを掲載した。)