2009年11月18日
海外情報(2009年10月分)
1. GPI(米国ガラスびん協会)関連
2009Clear Choice Awards受賞者公表
本年度についてはGPIが重視している行事"Recycle Glass Week"に併せて9月の公表となった。GPI websiteから"YouTube"でvideoを見ることもできる。
本年度のAwardの特記される点は以下の通りと考える。
1.全部門を通しての"Design"賞1作品と、部門別は次の4部門(前年は10部門)に大別されている。Alcoholic Beverage, Non-Alcoholic Beverage,Food, Cosmetics。部門ごとにCrystal, Emerald, Amberの3賞(但しCosmeticsはCrystalのみ)が10作品に与えられている。
興味を引くのは、Food部門Emerald賞に哺乳びんが選ばれていることである。4オンスと、8オンスの2種類。ガラスは安全、安心、洗浄・再使用が容易等の利点が上げられている
2.昨年度から"Conversion Recognition"(ガラスびんへの転換)賞が新設され、本年
はTraders Point Creamer社が受賞した。当社は主要製品(牛乳・ヨーグルト・プディン等)を、プラスチックからガラスびんへ変え成功している。
昨年までは、有機食品・有機飲料部門を分離し受賞作品を選定していた。本年度は、
乳製品部門から2作品が選定されている。審査にGPIのマーケティング戦略の指向分野が配慮されているとも推測される。
3. 受賞作品の製びん会社
12作品の製びん会社別は、O-I 2品、Saint-gobain 4品、Vitro 4品、Anchor 1品、その他1品である。
2. FEVE News( 欧州ガラスびん連合)October 2009号等から
世界のガラスびん業界も、不況の影響を免れず、需要減・売上減少・減産に関するニュースが多くを占めている。積極的なニュースは、前回同様ロシア・インドとドイツの1社に限られる。それらのニュースを先に掲載し、次に他からの資料を併せ、世界のガラスびん業界の現状を見た。
設備拡大等に関するニュース
1. ドイツ - Glashutte Ernstthal社 新窯始動
当社は、the A.Pohli GmbH & Co. KGグループに属する。主製品は化粧品・食品・スピリッツ用びんである。この程、海外市場を拡大するため3号窯を始動した。新窯により製造能力は倍増し、150万本/日となり、雇用は100名増加した。所要資金は48百万ユーロ(約65億円)であった。
(Feve news Oct.'09- www.euwid-verpackung.de)
2. ロシア - Sisecam社(トルコ)所有のRuscam-Kirishi社の設備拡大
(前月号の続報。投資額が拡大し、拡大設備の内容が報じられている。)
投資額(融資額)は70百万ユーロ。融資銀行はThe EBRD(欧州復興開発銀行) と2商業銀行。設備グレードアップの計画は、1号窯は2010年中頃、2号窯は2011年中頃目標。会社と地域行政府は本件について、7月29日メモランダムにサインした。
(Feve news Oct.'09-Glassonline.com)
3. インド - 国外で会社の買収を検討
インド最大の製びん会社Hindustan National Glass and Industries Ltd (HNGI)は、国外(西アジア・東南アジア・アフリカ)で製びん会社の買収を考えている。当社の専務は、「これらの地域の3会社と交渉している。半年以内に具体化すると見込んでいる。」と述べている。
(Feve news Oct.'09- Livemint.com)
減収・減益・減産・工場閉鎖等に関するニュース
1. O-I社(世界最大のガラスびん専業企業)関連
(1)2009年1-6月期業績
4半期ごとの決算がweb siteで見ることができるので、以下に掲載した。(単位:百万ドル)
売上高 | 2009年 | 2008年 | 前年比% |
---|---|---|---|
欧州 | 1406.8 | 1934.6 | 72.7 |
北米 | 1054.7 | 1137.2 | 92.7 |
南米 | 463.9 | 548.3 | 84.6 |
アジア太平洋 | 374.8 | 492.3 | 76.1 |
その他 | 25.8 | 58.7 | 44.0 |
合計 | 3326.0 | 4171.1 | 79.7 |
営業利益 | 704.2 | 982.0 | 71.7 |
(2)工場閉鎖
2009年後半に次の2工場を閉鎖する。
Reims (フランス)、Karhula(フィンランド)
生産を集中し、コスト削減・省エネルギーを図る。
(Feve news Oct.'09-Lunion.presse.fr & Glassonline.com)
2. Saint-Gobain Oberland社 Bad Wurzach工場(ドイツ)労働時間短縮
期間は2009年11月~2010年3月
需要減に対応して減産する。
(Feve news Oct.'09- www.euwid-verpackung.de)
3. Vetropack社(スイス本拠/中東欧に工場展開)
2009年前半:売上減少、利益は維持(ウクライナの通貨変動による)。
全工場にわたり生産ラインの一時停止を余儀なくされた。需要は5,6月やや回復したが、会社は近い将来にフル生産に戻れないと見込んでいる。
(Feve news Oct.'09- www.packaktuell.ch)
Carbon Labelについて
Carbon Labelとは、販売される商品ごとにその商品の原料製造から廃棄されるまでの一生を通じ排出される地球温暖化ガスの量を、そのラベルに表示する制度である。
今夏に発行されたEurobarometer調査によれば、欧州人の2/3は地球持続可能な生産・消費を促進する方法として強制的なcarbon labelingを支持していると述べられている。
しかし、現在、欧州でもそのような制度は導入されていない。2008年12月に召集された委員会でも国による意見の差が大きいために進捗は無かった。消費者の支持で最小はチェコの47%、最大はギリシャの90%であった。全体として消費者の半数近くが商品購入に際し、エコラベルを重視するだろうと言われている。
(Feve news Oct.'09- Souce : European Environment & Packaging Law)